その子の名前はクレア
暫く開けてしまいました!申し訳ありません!
少し雑になってるかもしれませんが…どうぞ!
例の討伐依頼をこなし、ルインのクローンと思われる子供を保護して数日が過ぎた。今現在太陽は天高く上り、穏やかな時が流れていた。そんな穏やかな時間の中、城のある場所にシオンとフォルカの影があった
「ふぁ…ん…」
「寝不足か?」
心地よい気温と日光、城の中庭は平原と小川、小さな丘には花畑が再現されていた。眠くならない方が不思議である
「いや…この状況は眠ってもいい状況だろ」
「どんな状況なんだよ…」
丁度良い木の幹に寄り掛かるシオンの隣では場所に似合わず、レーヴァテインを振り回すフォルカに若干非難の色を示すシオン
「と言うより、何故俺の隣で振り回す。危ないだろ」
「そりゃ、シオン以外に見つかると怒られるし…黙っててくれよ‥?」
「大人しくけがの治療に専念するのが強くなる一番の近道だと思うぞ」
「うぐ…」
渋々と言った様子で鞘に剣を収めるフォルカに溜息を吐くシオン
「そもそも、何であんな無茶な戦いを?」
「いやぁ…なんつうか…」
「言葉に表せられない焦りとかか?」
「…的確に突いて来るよな…」
「…鎧からの情報だ」
予想外の所からの情報だったのか本気で驚くフォルカ、俺もそう思う
「あいつ…馬鹿だけど観察眼はすごいよな…」
「その観察眼を今回の様に使ってくれればいいんだけどな…」
ほんとに…それ…。昨日のキラーメイルの吹っ飛びようは凄かったなぁ…と遠い目で空を眺めるフォルカ
釣られて空を見れば、その光景にデジャブの如く吹き飛んでいく鎧が映ったのを錯覚としよう
「な、なぁ…「気のせいだ」お、おう!」
場所は変わり、城内のラウンジにて平和な会話に華を咲かせていた
「そう言えば、ファーベルに新しいお店が出来てね!」
興奮気味にラリサはアナンに話しかける、話を振られたアナンは錬金術の材料を纏めていたのか眼鏡をはずして首を傾げてる
「新しいお店…?えっと、珍しい生地や装飾品を売って居る所かしら?」
「ちーがーう!洋服屋さんだよ!」
アナンの言葉に口を尖らさながらラリサが答えればアナンは[あぁ…」と言って再び眼鏡を掛けリストに目を落とす
「アナンさん、興味ないの?!」
「興味はあるけど…ほら、まずは必要な物を買い揃えたいし…ね?」
アナンの様子に落胆しながら確かにそうだけど…むぅ。と不満そうにすれば目の前に紅茶の入ったカップが
テーブルにそっと置かれる
「洋服店ですか…私は気になりますので買い出しの際にお供しましょうか…?」
「ほんと!?」
嬉しそうにニルヴァを見るラリサの横でアナンが申し訳なさそうにニルヴァにお礼を言う
「気にしないで下さい、アナン様はお忙しそうですし…他の方にも声を掛けてみましょう。フォルカ様とか」
「あ、そうね。フォルカが居たの忘れてたわ…」
「ちょっと不遇ね…ベルはどうする?」
「…アナンと同じ場所行く。ルインも来る」
少し離れた場所で無数の本をが広げられたスペース。ベルの巣とキラーメイルが命名した場所から顔を出すベルに微笑みを浮かべるアナン
「ふふ、すっかり巣になってるわね…えっと、じゃ…買い出しは私とラリサ、ニルヴァとルインさんにベル、荷物持ちにフォルカね」
「そうと決まればさっさとリストをまとめるわ!」
紅茶を飲みながら必要な物を書き込んで行く、無論。確認しながら
「…ほほう…洋服…洋服…試着…ぐふふ」
約一名窓から帰って来ては盗み聞きをしていた鎧が居たのは別のお話
一人の少女は城の中で迷っていた、見た事の無い透明な水の様な液体…清掃用のスライムなのだが、少女に追い掛け回されて困った様子で中庭に案内し、そのまま遊んでいたのだ、少女が飽きて帰る時までと…
しかし、スライムの目の前では遊びに疲れ花畑の中、眠りについてしまった少女。放っておくのはまずいと考えたスライム誰かが通り掛るのを待つ事に
用事を思い出したフォルカが居なくなった後、中庭に珍しくスライムが居るのを見つけたシオン、なんとなく近寄ってみると花畑に一人の少女が眠っているのを見つける
「…昼寝か…?」
そう呟くと足元に何かを訴えるように震えるスライムがすり寄って来る、ひんやりと心地良いが取り敢えずルインを呼んで来るようにお願いすると見た目とは裏腹に俊敏な動きで廊下に駆けて行った
『ふむ、地面に直接と言うのも難じゃろう』
手に持っていた黒桜の重さが消えると少女の横に正座をした黒桜が人型となり現れた
「あら…?貴女は家に戻らないの?」
買い出しの準備と少女を探していたルインは中庭の横を通りかかった際、飛ぶように近寄って来るスライムに優しく問い掛けると、スライムは数回跳ねた後中庭に向かって行く。後を追うように中庭に来れば、静かに黒桜の膝を枕に眠る少女を見つけては驚きの表情を浮かべた
「ふふ、此処にいたのね…うーん、ちょっと可哀そうだけど起こしましょっか」
そう呟いたルインはシオンと黒桜にお礼を言いながら、少女を揺すり、起こしにかかる。遠くから見ていたニルヴァはその様子をばっちり記録しのちにルーに送っている姿をフォルカが目撃していた
「で、なんで俺もいるんだ…?」
「ほら、折角だし?」
「…まぁ、いいか」
あの後ルインに起こされ少女。名前…クレアと言う事を聞いていると買い物に付き合わされるフォルカに泣きつかれ仕方なく付いて来ている。俺が居てもお前は荷物持ちになるぞ?いや…多少減るのか…
「おかあさん、あれって何…?」
ルインと手を繋ぎながら歩く少女は初めて見るものに興味津々なのか、ルインを引っ張る勢いで色々な物を聞いていた、もちろん。その質問にはルインやニルヴァなどが答えている。残念ながら田舎出の俺では説明は難しい
「…何て言うか、最初は魔王軍に加わる時はここまで平和と言うか…毎日戦う覚悟だったよ」
その光景を俺と一緒に後ろから眺めるフォルカが苦笑いしながら言う、確かに魔王軍は帝国軍と戦争状態だ。いや、向こうからしてみれば何時でも潰せる烏合の衆なのだろうが…それでも奴らの行いを何もせずに見る事はできない
「そうだな…王都が動く気がない以上俺達でどうにかするしかない。フォルンやギルド、戦力は足りていないが…な」
考えれば考える程問題が山の様に積もって行く、仕方ない事だが…いや、今は止めよう
「あ、これとか良いかも…♪」
ルインが一つの店の前で立ち止まると商品を眺め始める、ペンダントや指輪と言った装飾品店の様だ。
ルインと一緒にクレアも店の商品を眺めていると、店員が出て来てルイン達に似合いそうな商品をお勧めしているようだ。俺とフォルカは少し離れた場所から騒がしくも楽しそうに商品を選ぶ彼女達の後ろで、時間潰しの雑談をしていた
「はい、シオン。多分に似合うと思うんだけど…」
店から戻って来たルインから差し出されたのは正方形の薄い箱、丁寧にプレゼント用のラッピングがしてある
「すまない、ありがとう。後で付ける」
素直にお礼を言えば箱を受け取り上着の内側に仕舞い込む、隣のフォルカは荷物が追加されたようでうめき声を漏らしながら頑張っているようだ
その後はラリサが行きたがっていた服屋に移動し、此処でも店の外から眺める事に。あの会話について行けないのだ、許せ
様々な服を買い終えた、女性陣はかなりの上機嫌、日も落ち。ちらほらと街並みに光が灯り始める頃、乗って来た馬車に集まる、馬車まで来ればお手伝いとして連れて来たスライム達が積んでくれる。フォルカが元気になるのも分かるな…
ひとりでに動き始める馬車に揺られながら隣を見れば疲れて静かに眠るクレアがルインに寄り掛かっていた、その首には銀色のネックレスが掛けられており、真ん中にはネックレスのサイズにカットされた緑柱石が小さく揺れていた。夕日が宝石に反射し、少し目を細めながら外を眺める。この平和な時間がまた来ると信じて
最後まで読んでいただきありがとうございます!
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