目的の機兵(キメラ)
おはようございます!こんにちは!こんばんは!
雪月花でございます!
更新が遅れて申し訳ないです!銃の名前が付いた人形達と戯れてました、申し訳ない!
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アルダを後を追う様にルインと二人で歩いていると、洞窟全体が激しく揺れ始め、洞窟が崩落するような音が響く
「っ!?伏せろ!」
アルダの声と共にその場でしゃがみ込み、揺れから体を守る。暫く揺れていたが音が止むとゆっくりと揺れが止まる
「…音の方向は…フィルの方か…?」
アルダが心配そうに呟きながら音のする方向を眺める
「…戻るか?」
「いや、問題ないだろう。私達は目的の機兵の発見を急ごう」
かぶりを振り表情を元に戻す、ほんの少しだが彼女の紫色の瞳に不安が灯るが直ぐに消える
「彼が付いてるから…大丈夫よ」
「…そうだな」
ルインの言葉に頷き、アルダよりも少し前を歩き出す
「どうした…?急に?」
「近接戦闘が苦手なお前が前を歩くの危険だ、俺が先に行こう」
「フッ…確かにそうだな。任せたぞ」
アルダの言葉に頷き警戒しながら強烈な腐臭が鼻腔を刺激する、思わず口を手で覆いながら振り返れば。二人も同様に臭いを感じ取ったのか小さく頷く…天井が丸く切り取られたかのような空間に出れば、その中心に遺体の山が見える、やはりと言うべきか機兵に改造出来なかった者達のようだ
「これは…ひどいな」
アルダは眉間に皺を寄せながらぽつりと零す、すると後ろにいるルインが何かを発見し、目を見開いたまま震えている。ルインの視線を追えば複数ある山の内の一つ…
「…ルイン…だと…?」
ルインの顔を持った遺体が積まれているのだ、どの遺体を見ても…
「この顔は…魔王のクローンを作ろうとしているようだな。此処は帝国のゴミ捨て場か」
遺体の山に近づきしゃがみ込み、目を見開き仰向けの遺体の覗き込むアルダ。そっと顔を撫でるように瞳を閉じさせる
「ルイン…外に出ていた方がいいんじゃないか…?」
「だ、大丈夫よ…」
少しふら付くルインは真っ直ぐにその山へと向かって行く
「ごめんなさい…私と言う存在が…貴女達を作らせてしまった…」
「ルイン…」
両膝を着き祈る様に両手を組むルイン
「お前が気にする必要はない、罪を償うのは奴らだ」
「それでも、よ。セレナと出会うまで私は帝国がしているのは機兵の製造と侵略だけだと思っていた…けど、それ以外にもこんな事をしていたなんて…」
震えるルインの肩に手を置きながらその遺体達を眺める、ぴくりとその内の一体の手が動く
「ぅ…ぅっ…」
「「!?」」
声…?ルインと二人で声のする方向を見れば無数の遺体の間に動く手が見える、慌ててその手を取れば僅かな力で握り返される
「っ…!」
ルインがその上に乗っかる遺体を退かし、その手を優しくゆっくりと引けば呼吸をする幼いルインが現れる
「生きてる…!」
そう言いながらルインが駆け寄りその子を抱き抱える。この環境に晒されていた所為か真面な反応は無い、だが…この中でも生きている命があった
「どうした?…!この環境で生きていたのか!」
周りの様子を調べに行っていたアルダが気が付き戻って来れば、ルインに抱えられる少女を見て驚きの表情を浮かべる。シオンの上着を被せては洞窟の壁に寄り掛からせるように座らせる
「酷く衰弱しているわ…それに何本か骨も折れている。このまま動かすのは危険ね…多分、生き埋めの様な状態になっていたのね」
素早く脈や呼吸、外傷を調べるルイン。だが、調べ状態を知る事が出来てもそれ以上の事はルインには出来ない
「私が治療する、お前は…いや、魔王はこの子の状態を詳しく私に伝えてくれ」
少女を挟む様に対面にしゃがむアルダ
「…ふふっ、何処で気が付いてたの?」
「何、私の勘さ。ルインなんて名前は王都では普通だからな、お前の名前にあやかっているんだとか…それよりも指示を頼む。シオン!…言わなくても分かっていたか」
ルインに指示を仰ぎながらシオンに何をを伝えようとした所で黒桜を引き抜き、周囲を警戒するシオンを見ては満足そうに笑う。ルインの的確な指示に従い、高度な医療魔法を施すアルダ。応急手当は程なく終わり正常な呼吸と脈を取り戻す少女
「終わったわ…ありがと、アルダ。けど、危険な状態なのは変わりないは今すぐここを出ましょう」
「此処を出る事には私も賛成したいが、機兵をまだ発見できていない…お前達二人で先に出ていると良い」
「いや、その必要は無さそうだ…お前の探し物はあれか?」
シオンの刀が差す方向に蜘蛛の様に多脚を持ちその上には包帯で顔を覆いカマキリの様な鎌に右腕を改造され左腕には複雑な模様が彫られている機兵が姿を現す
「…どうやらその様だ、奴が言っていた機兵にそっくりだ」
「古代と最新、どっちなんだ?」
「恐らく忘れ去られていたものだろう。ここはゴミ捨て場、捨てられた機兵が今になって活動を始めたんだろう…理由は分からんがな」
(主、こやつ…今までの機兵とは毛色が違うぞ)
『どういう事だ?昔はあった技術でも使われているとかか?』
(その可能性もあるのじゃが…何よりも奴は埋め込まれた魂では無く、"自らあの器を選んだ魂が入っておる")
『…自ら進んで虐殺をしているという事か』
(うむ、助けを求めて或いは為されるがままに暴れていた奴らとは違う)
「私の正体がバレて居るなら隠す必要は無いわね!」
後ろからルインの声が聞こえると同時にアルダと俺に最終攻守強化が施される
「ほぉ…流石魔王と言った所か…無詠唱でこれが使えるとは」
感嘆の声を上げながらニヒルに笑うアルダ、黒桜を無造作に横に振り抜き感覚を確かめるシオン
「さぁ、こいつを破壊して早く帰るぞ。あいつも心配だがその子が危ない」
「ふふ、やっぱり優しいのね貴女…少し勘違いしてたみたい」
「その事は後で説明しよう」
「二人とも、来るぞ…!」
前足を上げなら吠える機兵にシオンが突撃し、アルダが詠唱に入る。ルインの周りには魔法陣が展開される…!
フォ「いでで…ッ――――!!!」
ベ「無理に動く、馬鹿」
ア「それよりも包帯を持ってきて!なんか色々と出てるわよ!?」
ハ「…(フォルカにこけた拍子にトマトスープ(濃)を掛けてしまった顔)