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Paradox-魔王姫を守護するは召喚されし剣士-  作者: 雪月花
洞窟に潜む魔獣
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洞窟の奥は

シ「ところで、フィルとはどんな関係なんだ?」

ア「…弟子だ」

シ「そうか…は?」

あ「あんな敬語も使えない頭の悪い冒険者が私の弟子だ。得意なのは炎系の魔法、好きなのは肉。未来の宮殿魔術になりたがらない」

シ「…苦労してるんだな」

あ「…(ぐすん」

シオン達と別れた後、キラーメイルの入った袋を担ぎながら奥へ奥へと進んで行く。奥へ向かうにつれじめじめとした生暖かい湿気が身体に絡み付き嫌気が差す、それに加え腐臭にカビ臭さ、帰ったら絶対に風呂に入ろうと思いながら袋を担ぐ


「おーい、フィルの嬢ちゃん。俺が重いなら袋から出した方がいいぞ?」


「もう少し離れた方がいいかなぁって、思ったんだけど。大丈夫かい?」


袋の中のキラーメイルの声に問い掛ける様に聞き返すと、キラーメイルは笑い始める


「何笑ってるんだよ?と言うより、揺れるからやめろ」


「悪い悪い、アルダの姐さんならもう気が付いてるぜ。まぁ、流石にルインが要る事は分かってないみたいだけど、どこかに居ると思っているのは間違いないな」


「げっ。ホントに勘がいいんだなぁ…」


「魔術師なんてそんなモンだ、宮殿魔術師になれる程の奴なんざ変わり者さ」


「…まぁ、あいつは変わってるな」


よいっしょ、と言いながら袋を地面に置くと、中からガチャガチャと金属音が響きゆっくりと口が開きキラーメイルが姿を現す


「ふぅ…やっぱこの方が落ち着くわぁ…」


「顔が無いのに溜め息が吐けるって…器用なんだな」


「顔じゃない、頭部が無いんだぜ、嬢ちゃん」


無駄なイケボでサムズアップしながら答えるキラーメイルに対し笑いながら腹を抱えるフィル


「その調子だ、明るく行こうぜ!環境が悪いのは仕方ないからねぇ」


「ああ、ありがとうよ。この先を調べてさっさと無効と合流しよう」


キラーメイルの言葉に頷きながら二人で並んで歩きだす、ランタンで奥を照らせば光が届かないのか闇に覆われている


「なぁ…キラーメイルは魔物なのか?」


「俺がモンスター?うーむ、魔族ではないな、多分。モンスターモンスター…まぁ、怨霊?」


「あー。骨とか透明系のと同じか?」


「あんな奴らより俺は強いけどな!」


同属に加えられる魔物の特徴に軽くコケながら慌てて俺は違うと主張するキラーメイル


「だって、怨霊ってそんな感じじゃないか?」


「ぐぬぬ…否定できない。いや、それでも俺はリビングメイルよ?!」


「頭部が無いからデュラハンじゃないか?」


「ちゃうは!?」


そんな感じで騒ぎながら進んでいるとお互いに急に黙る。目の前に巨大な空間が広がっており言い合いに夢中だった為か臭いがより強くなっている事に気が付かなかったのだ


「嬢ちゃん、腐乱死体の山を見るのは耐えられるか?」


「あんまり得意じゃないね…正直」


「んじゃ、ここで待っていな。口から魔力出されても困るからよ」


「誰が吐くか!」


笑いながら空間に足を踏み入れるキラーメイルは後ろにいるフィルに手を振りながら周りを見回す


「予想通り、こっちは素材の廃棄場所か…ん?…こりゃ…」


「何かあったのか?」


「あった、あった。とびっきりのヤバいのが」


普段の雰囲気ではなく心底呆れた口調で答えるキラーメイルが気になり、入ろうとすると奥のキラーメイルが来るなと言いたげにジェスチャーをしている


「ぐぬぬ、早く戻って来い!」


「ほいほいっと、あ、俺臭い?」


「めちゃくちゃ」


「まじかー…ま、死体の山があったの間違いない」


機兵(キメラ)の素材なった奴らのか…?」


「ああ、だが、それよりもえぐいのがあってな」


「それよりも?」


「そ、嬢ちゃんはクローンってわかるか?」


「くろーん?」


キラーメイルの言葉に思はず首を傾げながら聞き返す


「そ、同じ人間を魔科学で複製、製造する。それで出来た奴を『クローン』って呼ぶんだ」


「な、なんだよ…それ。同じ人間が何にもいるって事か?」


「そ、簡単に言えばな。そんでもって機兵(キメラ)もそれに近い…素材となった者の経験、能力を持った個体が居るのはその所為だ、まぁ…全部の機兵(キメラ)がそうとは限らないけどな。だが、中にはここが残ったままの奴もいる」


そう言いながら胸の部分をコンコンと音を立てるように叩いて


「…魂か…?」


「ああ、そこは絶対に安らぐことは無い。永久生き地獄だ」


「…それで…そのクローンがどうかしたのか?」


「あぁ…そのクローンの失敗作の山が転がってんだ。気分の良いもんじゃないだろ?」


「…っ」


キラーメイルが見たものは血まみれに死体の山、同じ顔同じ体格同じ表情をしてゴミの様に積まれていたのだ


「さてっと、報告しに戻りましょうか…っと…」


「なっ!?」


キラーメイルが歩き出そうとした瞬間、黒い触手がキラーメイル目掛けて飛翔する。僅かに身を捻ってソレを避けると同時に、輝く剣を一閃…黒い血を散らしながらそれは落ちる


「…こいつはぁ…あいつら…製造法も適当になったか…?」


「キラーメイル!大丈夫か?!」


「平気平気、嬢ちゃん構えな。来るぞ…!」


キラーメイルの掛け声と共に先端が鋭利な無数の触手がキラーメイル達を襲う!顔を狙う触手を右に顔を逸らし避けると同時に胸を貫かんとする触手を赤い剣で切り裂くフィル、向かって来るモノ全てを切り裂き、薙ぎ払い、正体を看破するキラーメイル


「ちっ!死体の多さに引き寄せられたか!」


「何がですか!?」


「みりゃぁわからぁぁっ!!」


気合と共に放たれる斬撃、防ごうと集まる触手を切り裂き一つの亡骸の前で霧散する。黒い脈が全身を覆い、振動の鼓動の様に光を放つ一つの亡き者…


「死体に憑く…影だ」


「ネクロシャドウ…!」


周りの亡骸が一斉に立ち上がり中途半端に機兵(キメラ)になった部分を展開する…!


「嬢ちゃん!フォローは出来ない、ただ生き残れ!」


「言われなくても!て言うか、私も冒険者だよ!」


フィルから放たれる業火が洞窟を照らし、亡骸を焼き払う!それが合図となり一気に肉薄して来るネクロシャドウ、迎え撃つ為に振るわれる輝く剣…Aランク冒険者が5人程で討伐が許されるSランクの魔物…討伐戦が始まる…!

ル「アルダ…って、意外と苦労人…?」

シ「尚更分からないな…俺を無理やり引っ張り出した意味も意図も」

ア「何をしている?」

シ「がんばれ、魔法よりも剣技の方があいつは得意そうだぞ」

あ「わたし、脳筋、きらい」

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