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Paradox-魔王姫を守護するは召喚されし剣士-  作者: 雪月花
洞窟に潜む魔獣
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宮殿魔術師 アルダ

おはようございます!こんにちは!こんばんは!

雪月花でございます!

最近は暑かったり寒かったらり大変です。体調には気を付けましょう!

恐ろしい程に真っ白な部屋の中心、身体の至る所に管を付けられた男が呻きながら身体を動かす。すると、淡い光が男を包み込みゆっくりと消えて行く。深く息を吸い込み、腕や胸、首に繋がれた管を乱暴に抜き取り床に捨てる男、黒桜の一撃を受け、意識不明になっていたステルベル


「ふん、重症だったから死んだと思ったんだが…生きているのか」


「うるせェ…さっさと出ていけ」


帝国軍の制服に身を包んだ女性が部屋に入って来ては嘲笑う様にステルベルに声を掛けては近くの椅子に腰を下ろし足を組みながらステルベルを眺める


「釣れないな?死に掛けて戻って来た貴方を助けてやったと言うのに」


「出て行けと言ったはずだ、てめェの残り少ない一族を全滅させるぞ、雌猫」


「…彼女には会えたか?」


ステルベルの言葉に目を細めるも気にした雰囲気も無く、質問をする女性。舌打ちと共に彼女の首目掛け放たられる氷の剣…だが、その刃は届く事無く直前で霧散する


「てめェ…いつ俺のクローンを作った?いや、今すぐテメェコロス…!!」


「今のお前では無理だな、いや、お前には無理だ」


「あぁ、質問の答えは4年前だ。一応お前の妹になるぞ、喜べ」


「…っ!!」


「くくっ、今は休め。そのうち次の命令が来る」


ステルベルの腕を弾き、部屋を出て行く女性の背後を睨み付けながらステルベルは冷静に思考する。戦闘力の無い研究員に殺す気で放った魔法が受け止められた…どうなっていやがる?俺の力が弱まっている…?それとも…何かの力が作用したのか…?



馬車に揺られる事、数時間。岩肌の露出する風景を眺めなら周りをぐるりと見回す、木も草も生えていない。岩の割れ目から雑草ぐらい生えているが、茶色に変色し枯れているようだ


「…何もないな」


「此処は元々帝国の基地があった場所なのよ。大分昔だけどね?もしかしたら今回の機兵(キメラ)は帝国にとって遺産なのかもしれないわね…過去に作られたが故に強力な物かもしれないわね」


「…油断せずに行こう」


「えぇ…貴方もステルベルと戦ったばかりなのだから、無理は禁物よ?」


「…さてな、俺の勘だと無理だと告げている」


「はぁ…もう…」


遠くの景色に視線を移せば、隣から溜め息を吐いたルインが頬を膨らませながら肩をつついて来る


「遠くばかり見て黄昏るとおじさんみたいだよ?」


「…それは止めてくれ、まだ21だ」


「あたしは19ですよー!」


「聞いてないぞ…?」


自ら年齢を公開するフィルに苦笑いしながらルインのつつきを止める


「落ち着け、馬車が揺れる」


「もう揺れてるからもんだいないじぇー」


「その状態でも喋れるのか…喋っていたな」


地面にバラバラになった時によく助けを呼んでいたな、結局自力で元に戻ると分かってからは手伝ってないが


「ふっふっふ、俺に不可能は無いぜ…やろうと思えば腕を投げて単独で動かせるぞ!」


「…やめろ。それは怒られる」


「なんでだよ?!」


他愛の無い話に花を咲かせながら馬車は進む、新型なのか、型落ちなのか…機兵(キメラ)の待つ洞窟へと



「着いたよー!目の前の洞窟の入り口が集合地点だ、…もう来てるよ、あいつ」


フィルの声にゆっくりと身体を起こす、ルインに言われて直前まで寝ていたのだ


「…ついたか…」


「後、一日ー…むにゃ…」


「起きなさい、キラーメイル」


「ぼぎゃ!?」


起きないキラーメイルの入った袋を蹴り上げて無理やりたたき起こすルイン、何でも踏み付けると喜ぶとか…それで蹴り上げてるのか…


「早く下りてー、あ。ルインさんは変装をしっかりと…キラーメイルさんは合図があるまで袋の中で待機です!」


袋を担ぎ黒桜を腰に差しては馬車から飛び降りる、洞窟の方を見れば如何にも魔術師と言った格好をした女性が立って居る


「随分と遅い到着だな。…遠征場所は不明だったが…何処に行っていたんだ?」


「すまないな、これでも依存できたんだ。遠征先は悪いが言えない」


「ふん、まぁ…いい。後ろにいる彼女は連れか?」


気に入らなそうに腕を組む女…アルダはルインを睨みながら質問を変える


「ああ、任務の都合でな。急な要請だった故に連れて来たままだ、すまない」


「…謝る態度ではないように感じるが?」


「謝っているつもりだ、此方からも質問をしたい、何故俺を指名した?」


「お前の力を買ったからだ、それだけでは不満か?」


「アーロンに反逆罪を着せてまで俺を呼ぶ必要はあったか?」


「さて、何の事だか。私は調査書の確認を取る為にギルドを調べ上げると言っただけだ」


「…そうか」


…この女の目的が分からない…単純に戦力を欲するのであれば自前の軍力があるはずだ


「ああ、私の護衛を当てにしているのなら止めた方がいい。今回は私一人しかいないからな」


「何…?」


「そも、今回の任務は私の独断で動いている。だからギルドに頼んだのだ、何体もの機兵(キメラ)を一撃で屠れるほどの力を持ったものをな」


「それが俺だとでも…?」


「私の"目"はあらゆる所に潜んでいると伝えておこう」


目、か…つまり、あの事件を解決する為に俺達が動いてた時、こいつは高みの見物をしていたという事か

今回は念の為にとルインは別人に変装している、だが…魔法を使えばすぐにばれるか…


「成る程…戦闘を覗き見していたのか」


「ああ、悪く思わないでくれ、あれも仕事だ。だが、今回は魔王はいないみたいだ?」


「魔王?さてな、俺は偶々その場にいた優秀な魔法使いの力を借りたに過ぎない」


「そうか、なら構わない」


しっかりと見ていた、そう言いたそうだな。…曲者が多過ぎないか…?周りに


「アルダ様ー。そろそろ行かないと日が暮れますよー」


「相変わらず敬語は苦手か?はぁ、行くぞ」


フィルの適当な口調に溜息を吐きながら洞窟の奥へと歩き出すアルダ、その後を追うように俺とルインは歩き始めた


(ふむ…今回の機兵(キメラ)は嫌な予感がするのう、気を引き締める事じゃな)


『お前の勘は当たるから辞めてくれ』


(くくっ、それとルーからあまり怪我をしない様に。と言っておったぞ)


『そうか。…待て、いつ会話したんだ…?』


(少し歩き回っておったらのう、話し掛けられたのじゃよ)


『お前の正体に気が付いていたのか…』


(みたいじゃのう♪)


この妖刀、意外と自由だな…そう思いながら前を見れば、アルダが足を止めて周りを見回しているようだ


「一本道だと思っていたのだが…はずれたか」


「どう見ても分かれてるねぇ…どうするの?」


「…お前は右を行け、私とシオンは真っ直ぐ行こう」


何か言いたそうな顔でフィルを見た後、あきらめた表情で指示をするアルダ


「あたし一人!?もしこっちに居たらどうするんですか!?」


「お前一人で荷が重いと感じるのなら全力で逃げると良い、逃げるのは得意であろう?」


「あたしの扱いひどくない…?」


「気の所為だ、私はそう信じている。ほれ、さっさと行ってこい」


「これがギルドからの命令じゃなかったら斬りかかってる…」


ぶつぶつと不穏な事を呟きながら歩き出そうとするフィルの背中にルインがキラーメイルの入った袋を投げ付ける、寸前で気が付いたフィルは袋を受け止め驚いた表情でルインを見れば、察したのか嬉しそうに手を振りながら担ぐ


「何を渡した?」


「ただの道具です、敵の目を欺くための」


「ほぉ…あいつなら問題ないと思うがな」


「念の為ですよ、えっと…」


「アルダだ、宮廷魔術師の名ぐらい知っておくと良い」


ルインが態と名前を言えない演技をすると丁寧に名乗るアルダ、案外面倒見のいいのかも知れない


「ぼさっとしてないで行くぞ、私は早く帰りたいんだ」


シオンをジト目で見れば鼻を鳴らしながら再び歩き始めるアルダの後を追う様に歩き出す。見た事も無い奇形(キメラ)…恐れる事はしない、だが、決して無謀な事もしてはならない。そう言い聞かせながら黒桜の柄をそっと撫でる…




ラ「ねぇ…ねぇ…あたしの出番少なくない?忘れられていないよね!?ね!?」

フォ「顔ちかっ!?うるさ!?骨に響く!?」

ラ「あんたが怪我をするのが悪いのよ!?」

フォ「なんで八つ当たり気味なんだ!?」

ハ「お静かに」

フォ・ラ「「は、はいぃ…!?」」


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