無事ならそれで…
おはようございます!こんにちは!こんばんは!
雪月花でございます!
今回はフォルン編最後になります!(ギャグ回とか色々)
それではお楽しみください!
…
…
…
薄っすらと瞼を上げれば美しい歌声が聞こえる、心地良く目覚めたばかりの為か眠気を誘うほどだ。だが、寝てはいけない。そう思いながらゆっくりと身体を起こそうとすると優しく額を押さえられ起きる事が出来ない
「まだ起きちゃだめだよ?…心配したんだから…」
そう言いながら手を退かされると優しく微笑むルインの顔が見える、黒桜が此処まで来た時既に俺は気絶していた。気絶していたと言うよりは眠っていたと言った方がいいか…?
「…毎度毎度すまない」
静かに目を閉じながら申し訳なさそうに言えば、ぺちっと頬を軽く指先で弾かれる。再び目を開けば目尻に涙を溜めたルインの顔が映る
「私こそごめんなさい…折角新しい魔法を作ったのに…何の役にも立てなくて…」
「…いや、お前の歌で大分落ち着いたよ…治療魔法まで組み込んでいたのか…それよりも、そっちは大丈夫なのか?」
哀しそうに悔しそうな表情をするルインの頬を撫でる、きっと気絶している間…ルインが歌いながら治療してくれたのだろう
「私は大丈夫、貴方に比べれば、ね?」
「俺と比べるな…」
くすくすと笑うルインに苦笑いで返しながら身体の調子を確かめる様に右腕を軽く動かしてみる、ズキリと痛みが走り顔を顰めると再びルインに注意された
「動いたらダメだって、外傷は治ってるけど筋肉とか骨とかはまだ直せてないんだよ?」
頬を膨らませながら怒るルインに素直に謝りながら、身体を預ける。するとルインが顔を覗き込んで来てはまじまじと隅々まで顔を眺めた後、おずおずと胸部をペタペタと服の上から何かを確かめる様に触って来る
「どうかしたのか…?」
触診か?と思いながら声を掛けるとルインがうーん…と唸りながら首を傾げる
「ううん、その、ね…シオンが女の人になってたから…実は女の子なのかなぁ…って?」
「…は…?」
真剣な表情で問い掛けて来るルインに思はず声が漏れてしまう、そうか、そう言う事だな…!?思はず横に置いてある黒桜を見れば、幻聴なのか誤魔化す様な口笛が聞こえる
「狐の尻尾と耳も生えてたし…あ、でも…シオンの髪色とその女の人とだと違う…」
「そ、そうなのか…俺は男だからな?」
「う、うん?」
念入りにルインに言い聞かせる様に宣言すれば若干引かれながら頷かれた
「でも…その、何で女の姿に…?」
「…黒桜…っと、言う名の刀を聞いた事はあるか…?」
「貴方の刀よね…?」
「ああ、…妖刀何だが…人格が憑いている」
それを聞くと考える様に腕を組むルイン、そして
「あ、じゃ…その人格がシオンの身体を完全に乗っ取るとあの姿になるのね!」
「理解が早い…と言うより、良くそこまで考えられたな」
私は魔王だし!とえばるルインを適当にあしらいながら、相槌を打っていると落ち込まれたのでフォローした
「戦闘で疲労困憊の俺を此処まで連れてきてくれたんだ。まぁ…あの姿になるとは思わなかったが…」
「すごく綺麗だったよー♪」
「嬉しそうに言うな、俺は御免だ…はぁ…」
くすくすと笑うルインを眺めながら長い溜め息を吐く
「其れよりも、みんなはどうしたんだ…?」
「よくぞ聞いてくれたぁぁぁぁぁっ!!!」
そう叫び声を上げながら大きな協会の扉が開け放たれる、其処には包帯でぐるぐるに巻かれ所謂ミイラ状態の人形?を右肩に担いだキラーメイルと心底呆れた顔でキラーメイルを睨むニルヴァが居た
「何だ、いたのか」
「何だ、居たのか。じゃなぁぁい!何イチャイチャしてんだ!?俺にもさせろ!」
「ルイン、あいつを早く追い出した方がいいぞ」
「これの状態ってイチャイチャなの?枕はセレナが使ってるから膝枕してるんだけど…」
こてんと首を傾げるルインに対し騒ぎ始めるキラーメイルの腰に鋭い蹴りを一撃、勿論ニルヴァがしたのだが
「ぎゃふん!?」
「!?_!?!?!?!」
キラーメイルは派手に吹っ飛び、担がれていた人形は奇声を上げながら床をのたうち回る。何この混沌
「失礼しました、フォルカ様は…大丈夫そうですね」
「ふがっー!!ふご、んごぉぉぉぉ?!」
顔をまで巻かれている為か何を言っているのかわからない、取り敢えず、どんまい、フォルカと心の中で言いながらその様子を眺めていた
「アナン様は里の皆を集めて修復作業を進めています。今回はフォルカ様とシオン様、セレナ様だけが重症ですね」
「ふふ、重症でも元気ならそれでいいわ…本当に良かった」
因みに後ろの方ではフォルカを落としたキラーメイルがフォルカと言い争っていた、その言い合いを聞きながら寝たふりをしていたセレナが笑いを堪えるように震えていたのは秘密である
次のお話をどうしましょうか…わくわく半分緊張半分で取り組んでいきます!
ではでは、次回お会いしましょう!