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Paradox-魔王姫を守護するは召喚されし剣士-  作者: 雪月花
エルフの隠れ里 フォルン
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孤独のエルフ

久しぶりの投稿になります!

雪月花です!

「…っ…」


目を覚ませば木造の天井が視界に入る、今は夜なのか近くにある燭台の光が部屋を照らしている…ゆっくりと視線を動かし周りを見れば普通の寝室のようだ


『黒桜…いるか?』


状況を確認しようと黒桜に声を掛けるが返事が無い…黒桜が無いのか…?

すると、ガチャリと音を立てて部屋のドアが開く、金色の髪と尖った耳が特徴的な女性が入って来る


「…良かった…生きて居るみたいですね」


凛とした声、と言うのだろうか?ルーやニルヴァとは違った落ち着きのある声だ


「…あぁ、どうやら助けられたみたいだな。感謝する」


上半身を起こし身体を見れば包帯が何か所にも巻いてあり、麻酔の様な若干の怠さを感じる


魔力枯渇(マナダウン)気力枯渇(ガイストダウン)を起こしていましたので少し薬を投与しました。暫くは安静に」


静かにそう告げながら女性は隣まで来ると俺の首筋に指を当てる


「…脈も正常ですね」


「色々と済まないな」


「私は状態の確認と薬を出しただけです、感謝するのなら彼女に」


そう言って部屋の外に手を向ける女性に釣られ視線を向ければテーブルに黒桜が伏せて寝ている


「ああ、そうするよ」


「そうしてください。また寝ると良い」


それだけ言うと部屋を出て行く女性、お言葉に甘えて今は休もう…ルインとのラインを元に戻し、再び横になる。少しは安心してくれればいいが…





「あれから二日…シオン青年は出て来ないねぇ…」


「ラインはある…だから生きてるはず、よ」


あの男との戦闘でシオンが崖から転落し二日が経過している、その間ラインが完全に消えておらず薄くなって居るのを感じているぐらい手がかかりは無い


「焦る気持ちも分かりますが…今は休みましょう」


ハーブティーを人数分淹れて来たニルヴァが静かに告げる


「えぇ…分かってる…でも、不安なのよ」


カップを受け取ったルインが顔を伏せながら呟く、アナンとフォルカは簡易的な地図を作り探索した箇所をマークしている、シオンが落ちた地点は直ぐに分かった、一帯が焼き焦げている場所が恐らく落下地点…だが、倒れているはずのシオンはどこにも居なかった


「魔王様…」


「ふふ、ごめんなさいね…それはみんな同じね」


くすりと微笑みながら深呼吸し、背伸びをする


「今日は休みましょう、明日…絶対に見つけるわよ…!」


ルインの言葉に全員が頷き、張ったテントに入って行く

信じるのよ…ラインは消えてない、なら…生きてる




「そうか…丸一日寝ていたのか…」


「えぇ、正確には二日間です。今日で三日目ですから」


エルフの女性…セレナから話では蒼炎楼で落下の衝撃を軽減した所を目撃していたらしい

勢いを殺す事には成功したが…まさか、自分が焼けるとはな…笑えない冗談だ


「それにしても魔力枯渇に気力枯渇…両方起こして降って来るとは…自殺志願者ですか?」


「残念ながら生きる事を諦めてはいない」


セレナの言葉に肩をすくめながら答えると、半分本気でした。と短く答えられた


「…お礼は言いましたか?」


「ああ、ちゃんと言ったよ。礼はいらん、と言われてしまったがな」


今は刀の状態に戻り静かに眠っている黒桜の柄に軽く手を置く、本当に感謝だな…


「ならいいですが。さて、そろそろ、本題に…何故あんな状態で倒れていたのですか?」


「…帝国軍の奴らと戦闘になってな…その結果崖から落とされあの状態だ」


奴の戦闘中常に鬼哭と燈雷を発動させていた、更に消費の激しい蒼炎楼を全力で放ったのだ、無理をし過ぎたのは間違いないだろう。と言うよりルインに後で怒られる事しかしていない


「…全身の火傷は帝国軍のですか?」


「いや、あれは…自滅だな」


「自滅…?…帝国は聖歌魔法を巧みに操れる物が多いようですね。火傷の方が居ひどいですが」


すっと、探る様に目を細めながら此方を見るセレナ


「尋問だな」


「素性を話せば少しは信頼するかもしれませんよ?」


そう言われると少し考え込む、果たして言って良いのだろうか?

帝国と組んでいる可能性も考えられなくも無いが、それなら俺を助ける必要も無い…機兵の材料は死体で十分だ


「素性か…お前を信頼していいのか?助けてくれた事には感謝するが」


「…私はここで静かに暮らしているエルフに過ぎませんよ」


「そう、か」


ふぅ…と溜め息を吐きながら考えをまとめる


「俺は魔王軍のシオンだ。ちょっと込み合った事情で所属している」


「魔王軍…?…魔王ルインは生きているのですか?」


「ああ、フォルンに手を伸ばそうとする帝国軍の動きが見えた為に調査しに来たんだが…」


「返り討ちに合った、と?」


静かに頷く、ニルヴァとキラーメイルが居なければ恐らく全滅。俺ではまだ届かない…いや、下手をすれば足元にも及ばないか…、そう言うと、セレナは無間に皺を寄せて考え込む


「貴方がたと戦闘を行った帝国軍は何処に?」


「逃げたよ、転移魔法であっさり」


「…その言い方だと相手は単独だったんですか?」


「ああ、創造魔術を扱う相手だ」


「創造魔術…」


小さく反復するセレナの表情は苦虫を噛み潰したかのような表情をしている


「頼みがあります、私を魔王ルインに会わせて貰えないでしょうか?」


「ルインに?」


「はい」


「理由を聞いてもいいか?」


「…帝国が此処まで来ているという事は恐らくフォルンの位置は割れているはず…創造魔術を復活させた奴が居るのなら…今のフォルンは簡単に墜とされる」


「俺達を一早く招き、戦って貰いたい…そう言う事か?」


「えぇ…フォルンを守って頂きたい。身勝手なのは分かって居ますが…私の故郷ですから…」


「問題ない、元々そのつもりで来ている」


「ありがとうございます」


顔を伏せていたセレナは安心した様子で頷く


「まずは合流しないとならない…それからフォルンへと向かう…それでも構わないか?」


「はい、問題ありません。それと…出来れば創造魔術は私に任せて欲しい」


「何?」


セレナからの申し出に思わず声を出す、あれを一人で相手にするのか…?


「…何か勝算があるのか?」


「あるにはあります。ですが…どれほど扱えるのかで変わりますが」


「…成る程…一つ約束してくれ、死にそうになったら逃げろ」


「ふふ、そのぐらい分かって居ます」


「ならいいのだがな」


静かに笑う彼女を眺めながら何とも言えない気持ちになる。いや、嫌な予感と言った方がいいのか…?


「今日はもう休んだ方がいいですよ。朝から探しましょう」


「ああ、そうさせてもらう」


嫌な感覚を振り払う様に軽く目柱を指で解しては貸してくれているベッドに向かう

あ、黒桜を置いて来てしまった

更新速度を取り戻していきたいと思います!


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