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Paradox-魔王姫を守護するは召喚されし剣士-  作者: 雪月花
始まり、王都ファーベル冒険者失踪事件
11/48

新たな協力者と被害者の生き残り

こんばんはこんにちはおはようございます!

雪月花です!

今回はほんの少し長いです!

「全く…良い護衛じゃないか?」


「そのようですね。少し心配だったんですが…問題なさそうです」


シオン達が退出した後、アーロンが呟きに紅茶の注がれたティーカップを置きながらルーが反応する


「へぇ、どの辺が心配だったんだ?実力か?」


「いえ、良からぬ事企んでいるのではないかと、一瞬そう思ったんです…はっきりとした理由は無いのですがね。でも、あれを見たら、彼を信頼しないといけませんね」


くすりと先程の様子を思い出したルーが微笑む


「成る程、ね…さてっと、僕も仕事の方を終わらせないとねぇ~」


書類の山を見てため息を吐くアーロン、その横にジト目のルーが近寄る


「…これ、先週が期限では?」


「ぁ…そうだっけ…?」



少女の案内により、一つのテーブルに六人が集まった。今日は顔合わせで終わらせるため、時間帯もあってか美味しそうな料理と軽いエールが注がれたジョッキが用意されている。肉料理、魚料理はどちらも美味しそうで食欲を引き立てるスパイスの効いた香りを立ち昇らせている


「さてっと、そろそろ自己紹介から始めてもいいかな?」


黒髪の少年が一同の顔を見回して声を出す


「あたしは問題ないわよ?」


「私も大丈夫です」


「ん…」


「よし、んじゃ、俺から…俺の名前はウォルカ。このパーティーのリーダーをやらせてもらってる。主な仕事は魔物討伐とダンジョンの調査…なんだが、ここ最近は機兵の討伐が多いな…まぁ、よろしく頼むよ」


ははっ!と笑いながら頭を書くウォルカ


「次はあたしね、あたしはラリサ。えっと…ウォルカとはこの街で最初に組んだ人なの。なんだかんだ言って長く組んでるわね、ほんと…後は…あ、魔法を得意としているわ。武器はあまり使わないの、よろしく」


ピンク色のポニーテイルを揺らしながら笑うのはラリサ


「次は私でいいのかな…?私はアナン、得意な事は…そうね。料理とか好きよ?戦闘に関しては割と何でも…?あ、エルフだけど人間嫌いとかないから安心してね?ウォルカとは…ああ、ラリサと喧嘩してるのを仲裁に入ったのが最初ね」


くすくすと笑うアナンと黒歴史?を話された二人が騒いでいる


「…ベル、雇われ、よろしく」


もぐもぐと料理をかなりの速度で食べ進めるベル、フードは外さないらしい


「え、えっと…?い、いいのかしら?」


「あー、気にしないでくれ、いつもの事だから」


戸惑うルインに肩をすくめて呆れるウォルカとため息を漏らすラリサ


「そ、そう…こほん、私はルイン、よろしくね?」


因みに、見た目は綺麗な赤髪に瞳の色は緑色になって居る。何時もの格好なんだとか、名前に関してはルインと言う名は多いらしくそのまま使っている


「シオンだ、よろしく頼む」


俺の番になったので短く名前と軽い挨拶をする。その他の事に関しては聞かれれば答えるつもりでいるが進んでは答えるつもりはない


「ルインにシオンね…ルインさんは何度か見た事あるわ…えっと、お二人はどんな関係で…?」


少しずつ食事を進めながら質問の受け答えをする、勿論正体がバレない程度の答えだ


「ギルド長に呼ばれてシオンと組む事になったのよ、ほら、あの事件は色々と危険だし…」


「ギルド長に?っと、言う事はシオンさんはギルド長の紹介で…?」


じーっと、視線が俺に集中する。どうした?急に?


「どうかしたのか…?」


手を止めて首を傾げるとラリサが答える


「えっとね、ギルド長が護衛で組ませるっと言う事は…かなりの実力者なのかなぁ…って?」


「そう言う事か。それなりと言っておこう」


冒険者ではないのでランクによる評価については分からない、当たり障りのない答えでいいだろう


「そう…それなり、ね」


往復するように言葉を零すラリサ、一方フォルカは興味津々と言った感じだ


「へー…ルインさんはギルド長と何度かやり取りしてるのを見た事あるけど…シオンさんは初めてに来たの?」


「いや、昔に来た事があるが、今回は呼ばれてやって来たんだ。ここまで深刻だとは思わなかったがな」


「確かに、冒険者を狙った犯罪は大抵は冒険者なんだけど、今回は違うみたいだし。帝国が一枚噛んでるって方向で調査してるみたいだけど、おかげでピリピリしてるし、はぁー…ぁー…」


がっくしと肩を落とすラリサに慌ててアナンがフォローを入れる


「まぁまぁ、早い所犯人を捕まえないと色々問題があるだろうし…ね?」


隣のアナンがそう言いながらラリサの肩をさする


「明日は早い…?」


「ん?取り敢えずは生き残りの奴から情報を聞こうかなぁって考えてるから、早いかな?」


「ん…」


我関せずそそくさと食事を終えて部屋へと帰るベル


「…なぁ、アナン…ラリサの飲み物も酒にしたのか?」


「え?…あ…」


「うぇっへっへ…」


ベルの姿を見送った後、前を向けば既に混沌と化していた。そっと、目を伏せて手を合わせた後、席を立つ。あまり、見て言いものではない


「あ、明日もまたここで!アナン!水!」


「飲ましてるわ!?」


「あー…うん、また明日」


完全に酔っぱらっているラリサを抑えるルインにジョッキ一杯の水を飲ませるアナン。最終手段は魔法か!?と叫ぶフォルカ、大丈夫なんだろうか…



翌朝、顔を真っ赤にしながら必死に謝って来るラリサをルインと二人で慰めた後、一行は重体の冒険者が搬送された病院へと向かう。ギルドのある北側の対面、南側に医療施設が纏まっているようだ。ギルド長の許可書を持っているので面会の許可は簡単に降りた、が


「三人までか…誰が行く?」


六人全員が面会に行くのは駄目だと言われたので訳にもいかないので三人で面会をする事になった


「うーん…ルインさんとシオンさん。俺でいいか?」


「妥当ね、リーダーはあんただし、シオンさん達はなんだか特務の様な感じだし」


「すまない、ありがとう」


「気にしなくても大丈夫ですよ。行きましょうか」


そう言って歩き出すウォルカの後ろを歩いて行く、104…扉にはそう書かれている。そっとウォルカがノックをすると中から男性の声で、どうぞっと返事が来る


「失礼します、冒険者ギルド調査隊のウォルカです」


「シオンだ」


「ルインです」


ウォルカに続いて名を告げながら男を見る、顔や腕に包帯を巻いており、足は折れているのか紐で釣ってある


「あはは、調査隊が組まれたんですね…私はレイン、よろしくお願いします」


「よろしくお願いします、レインさん。調査隊は私達を含めて12隊程組まれました…ですので、解決も早いかと…」


「それは良かった…では、出来る限りの話をしましょう」


「では、犯人の姿は…確認できましたか?」


真剣な表情で問い掛けるウォルカにレインは悔しそうに傷だらけの左手で握り拳を作る


「それが…見れなかったんです」


「見れなかった…?」


「はい、あの時私達は4人で買い物に行ったんです。朝は晴れていたんですが、襲われる直後…明るかったはずの物凄い勢いの雨が降ってきて…視界も悪く、気が付けば一人一人急所を一撃で貫かれて…倒れていたんです」


「場所は…分かりますか?」


「東地区の裏路地です…えっと、スラム街の…」


「…何でそんな所に?」


しまったっと言った表情を見せた。何か迷っているような表情だ


「…そ、それは」


「少しの情報でも手掛かりになります。言いたくない理由でも…?」


少し凄むウォルカにレインは観念した様子で小さく呟いた


「…魔科学兵器の取引です」


「っ!?…それは本当ですか…!?」


『ふぅむ、魔科学の兵器利用は禁止のはずじゃ。勿論、生産や使用ものう』


ふと、黒桜の独り言が聞こえる…良く知っているな


『くくっ…無駄に生きれおらぬからのう…と言うより関心ではなくて馬鹿にしておらぬか?』


気のせいだ、魔科学。魔術と科学を混ぜ合わせた新しいエネルギー、これの誕生により魔族、人間共に生活レベルが飛躍的に上がった。だが、この膨大なエネルギーを兵器として利用し始めたのが帝国…その結果死体と魔科学の結晶、機兵(キメラ)が出来上がった。無論、機兵以外の兵器も存在する


「ある時、一通の手紙が来たんです。帝国の紋章が烙印が押してあり、膨大な金と引き換えに。手紙に同封されていたリストに書いてある素材と取引だと…」


「…ギルドを通さない非公式の依頼…ですね」


「何の素材を集める様に書いてあったの?」


「えっと…鉱石類が多く、大半は此処では手に入らない物でした。ですが、全部を揃えなくとも良いと、書いてあったので。私達は手に入る限りの素材を用意して向かったんです」


「帝国の狙いは冒険者の死体、依頼で誘導し罠に嵌め。孤立した奴から殺された、と考えた方が良さそうね」


レインには聞こえない様に小声でルインと会話をする。恐らくそうだろう、そうなるとCランクの冒険者達は危険に晒されて居る事になる。それに、今回のレインの場合は帝国と名乗っているが他の被害は別の名義を使って依頼を出しているか、あるは、実力行使で取り囲んで袋叩き。そう言う事もしているだろう


「帝国からの依頼でしたので。最初は…無視していたんです、ですが…ダンジョンを攻略するよりも簡単に大金が手に入るなら…っと、考えてしまったんです」


レインはふるふると震えながらシーツを握り締める


「私が愚かだった…帝国を一瞬でも信じてしまった…私が!彼らを殺したも同然だ…ッ」


「…すまないが懺悔は後にしてくれ。今、お前がするべき事は情報を言う事だ…どういう形であれ仇は討つ事になる」


「っ…すいません。奴らは王都に侵入しあらゆる手段を使って冒険者を狩っています。依頼、人助け、裏道に入った者や酔っている者。手当たり次第に殺して歩いている…!奴らの魔科学は危険すぎる…」


涙を拭いながらレインが言葉を絞り出す、なるほど…ならば冒険者を一度集める事が出来れば…いや、時間が掛かり過ぎるか


「…怪我が治ったらしっかり弔いに行くといい」


そっと、レインから離れウォルカにパスする。何か言いたそうなウォルカだったが、大人しく頷いてくれた。何度かフォルカが質問をした後、病室を後にした。帝国のやっている事は許される事ではない、だが、止める事の出来る人間が居ないのも事実だ。後から聞いた話だが、冒険者ギルドも帝国とは敵対しているらしく。争いたくないと言う考えの王都政府からしてみれば戦争の火種になりかねないと危惧されている、其の為、王都政府と冒険者ギルドの仲も良いとは決して言えない状況だ




「って、事だ」


「ふーん…つまり、調査隊が組まれた事でばれるのが遅くなるか早くなるか、そう考えた結果あたし達に話したのね」


つまらなそうに呟くラリサと話を聞いて、考え込むアナン


「帝国軍が王都内部に…一度報告に戻りましょう。レインさんは違法取引で誘き出されて壊滅状態になった…だけど、姿形、声や気配まで真似る機兵(キメラ)が原因では無かった。何か他にいるはずよ」


「魔力、検査、必要」


ラリサ、アナン、ベルがそれぞれ意見を出し頭を悩める


「そうだな、ウォルカ達は報告に戻ってもらえないか?俺とルインは東区…スラム街に行ってみようと思う」


「取引で呼び出されて襲撃されたのなら、取引現場に行けば何かあるかも。それに態々東区に誘い出すのも変だわ。もしかしたらギルドや騎士団でも把握していない出入口とかあるかも」


「分かりました、シオンさん達は先に行ってください。俺達も直ぐに行きますので」


そう言うと、ウォルカ達は足早に扉を開けて出て行く。俺達も行こう

楽しめたでしょうか?少しでも時間が潰せたのなら幸いです!

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