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聖十字教国にて(3)

戦雲にわかに急を告げる。ロードポリス周辺の村々、諸都市からは援軍が集まりつつあった。ロードポリスに残ったわずかな兵力を中心に、何とか数だけは諸部族の別動隊に近いものをそろえることに成功し、聖十字教国(クルーセイド)軍は北西に面した城壁および門の防御を固めた。ある限りの矢が集められ、城壁の上には多くの弓兵たちが陣取る。聖職者の多くは大小差こそあれ、騎士や諸侯でもあり、甲冑に身を固め防衛軍に加わっていった。魔法学院(アカデミー)の生徒たちも教官たちも、例外なく市街の各所に配置され、敵の攻撃に備えていた。

ロードポリスの北西の城門に近づいた諸部族軍も、それまでに抜いてきた都市との違いを肌で感じていた。

「さすがに聖都か」

ズアーヴ族の指導者、ヤグーディンはそう言うと、全軍で隙の無い方陣をしく。宮殿騎士団(テンプルナイツ)の虐殺を逃れた生き残りの兵も各地から徐々に合流し、当初六千名だった彼らは現在七千名を超える兵を有していた。

「どうするのだヤグーディン」

ツチ族の長、ミロスラフがヤグーディンに歩み寄る。

「見た目はどうやら数を揃えたように見える」

「ああ」

ヤグーディンは配下の騎兵を十名程呼ぶと、全速力でロードポリスを一周してくるように告げる。

「南西城壁までこの防御態勢が続いているようであれば、この町は打ち捨て、他を焼く」

ミロスラフは得たり、という顔をする。

「では、彼らが戻り次第、搦手からの攻撃を準備しよう」

「そういうことだ。攻撃が可能ならここは任せる。俺はこの門を強攻する気はさらさらない」

「道理だな」

投石機(バリスタ)を組ませてくれ」

「分かった」

諸部族軍の斥候が、ロードポリスの城壁の外、矢の届かない距離を二手に分かれて巡り始めた。それが何を意味するか、守備側では一兵卒に至るまで理解していた。理解はしていたが、現状では兵力の不足をどうすることもできない。長大なロードポリスの城壁を全て等しく守るには、あまりにも兵力が不足していた。

四時間ほどの後、ロードポリスの半周ずつを調べた騎兵たちが、ヤグーディンのもとに帰還する。

「八つある門のうち、ここと両隣を除く五つにはほとんど守備兵がおりません。南西側からは、数百の援軍が入ったようです」

ヤグーディンは北東門、北門、東門の三つの門にしか守備隊が配置されていないことを知るや、即座に部隊を三分した。一つは投石機(バリスタ)などでこの北東門を攻撃する部隊。もう一つは手薄な南東門へ。そして北西門を攻撃する部隊。数はそれぞれ四千、二千五百、五百である。

ヤグーディン自身は、最も少数の五百を率いて、北西門付近に潜ませた。


翌朝―――

日の出とともに、諸部族軍の猛攻が始まった。俄作りの為、さほどの巨石は飛ばせないものの、投石機(バリスタ)による砲撃が城壁のいたるところに命中し始めた。間断ない砲撃に、城壁からの長弓による反撃もなかなかうまく行かない。撃って出て投石機(バリスタ)を破壊できる兵力も、それを率いることのできる猛将も、その多くは前線に出てしまっていた。

そのうち、手薄な南東門からの攻撃が始まった。聖十字教国(クルーセイド)軍としては、マリューが主力を連れて出陣した南西側から、まさか攻撃があるとは思っていなかった。城門に幾度も巨木の槌が叩きつけられる。慌てて南東門に部隊を回した聖十字教国(クルーセイド)軍に、さらなる凶報がもたらされたのは、正午前のことであった。

「北西門が、北西門が破られました」

ヤグーディンは大きな戦斧を振り回し、人影と見れば無差別に両断しつつ進んでいった。彼らはまっすぐにロードポリスの中央、聖ヴルム大聖堂を目指す。最早彼らの前に、それを阻む兵はいなかった。多くの建物が石造りであるロードポリスでは、簡単に放火はできなかったが、それでも繁華街や商店等は略奪を受け、火の手がいくつも上がっていた。

聖ヴルム大聖堂の南側、各諸侯の上屋敷が集まる街区では、各所にバリケードが敷かれ、長槍と盾で武装した護衛兵と、各諸侯の私兵、そして魔法学院の生徒たちが諸部族軍の最精鋭五百名に向き合うことになった。アレクサンドラが、サイモンが、立て続けに古代語魔法(ルーン)を唱える。道の真ん中で、直径五メートルほどの火の玉が爆発する。四、五名の戦士が吹き飛ばされ、倒れる。しかしその屍を乗り越えて、新たに屈強な戦士達が突撃してくる。アレクサンドラは息を切らし、呪文を唱えることができない。

戦士達の前に、小さな光の玉が投げつけられた。

「伏せて、アレクサンドラ!」

フェリアが叫ぶのとほぼ同時に、光の玉が爆発する。襲ってきた戦士達は、爆風に身体を引き裂かれ、高熱に灼かれてバラバラと倒れ伏した。威力は小さいものの、「核撃(ティルト)」であった。流石に諸部族軍の足が鈍る。たった一発の呪文であったが、フェリアは既に肩で息をしていた。

三度の突撃を、その都度攻撃魔法で跳ね返されたヤグーディンは、部隊の先頭に立った。彼は対峙した敵を見る。若年の、恐らくは魔法学院(アカデミー)の生徒であろう。ほんの子供も混じっている。だがその力は本物であり、踏み潰して通る以外の選択肢は無かった。

「狼狽えるな、敵はそう大きな魔法を連発できるわけではない!続け!」

ヤグーディンは戦斧を構え突撃する。速い。

魔力を消耗し、息を切らしたアレクサンドラもサイモンも、そしてフェリアも、死が蛮族の戦士の形をして迫ってくるのをどうすることもできなかった。

護衛の兵が、何とかフェリアを護り、逃がそうとする。構えた槍と盾ごと、ヤグーディンの戦斧が両断する。兵士の上半身が輪切りにされ、鮮血が辺りに飛び散る。忽ちバリケード前は血の海になった。

「死ね!」

ヤグーディンはフェリアに斧を振り上げる。ああっ…と叫んで、フェリアは地面を転がり、すんでのところで躱す。フェリア!と、アレクサンドラは声を上げ、整った息で素早く古代語魔法(ルーン)を唱える。

『我が敵を打て』

フェリアに斬りかかろうとしていたヤグーディンを、アレクサンドラの放った光の矢が打つ。鎧のお陰で致命傷にはならなかったが、フェリアが立ち上がりひと息つくには十分であった。

「アレクサンドラ!」

「逃げて、フェリア!」

小癪な!と一声叫んで、ヤグーディンはアレクサンドラに駆け寄る。フェリアは呪文を唱えようとしたが、明らかに間に合わない。

「死ねっ、小娘!」

アレクサンドラにヤグーディンの戦斧が振り下ろされる。

もうダメ…。

アレクサンドラは観念した。


ガキッ


鈍い金属音がして、戦斧が受け止められる。ヤグーディンの顔色が変わる。

「貴様は」

それには答えず、蒼い大刀がヤグーディンを襲う。ヤグーディンは間合いを取る。数名の蛮族の勇士がヤグーディンに代わって襲いかかった。

フェリアの瞳に、涙が浮かぶ。

「リーシェ様!」

フェリアが名を呼んだその時には、彼は襲って来た五人の戦士達を二振りの蒼い剣で斬り殺していた。彼は諸部族軍とフェリア達の間に割って入り、剣を構える。

「ヤグーディン様、ここは我らに!」

そう言って、屈強な戦士がリーシェに斬りかかる。しかし、彼らの剣も斧も、リーシェを捉えることは無かった。風のように、リーシェは二振りの剣を手にして舞う。美しい蒼い剣気を放ちながら、彼はバリケードの後ろに一歩も引かず、また一人の敵も通さなかった。

「ヤグーディン、そう言ったね」

リーシェは言う。

「ヴィシリエンに名高い、剣聖ソルフィーが弟子、リーシェ・ロワール・フランシスだ。お相手するよ」

彼の大刀が、蒼い剣気を噴きあげる。諸部族軍の最精鋭達から、口々に声が聞こえる。

蒼い悪魔。

蒼の死神(セルリアン・デス)

「同胞の仇‼︎」

叫んで、若い戦士がリーシェに斬りかかる。当たらない。リーシェが剣を一閃する。左の肩口から、右の脇腹まで、袈裟掛けにリーシェは男を両断する。即死であった。

リーシェの後で、混乱していた聖十字教国(クルーセイド)軍は、徐々に統制を取り戻していた。隙無く槍部隊を並べ直し、徐々に街中の火の手もおさまりつつあった。

アレクサンドラは改めて、リーシェの実力を目の当たりにした。

周りの魔法学院(アカデミー)の生徒たちや教官たちは、自分たちを救いに神が遣わした使徒であるかのようにリーシェを見つめていた。

リーシェが一歩進む。諸部族の兵が三歩退った。

「さすがに強いな」

ヤグーディンが前に出る。白銀に光り輝く彼の戦斧は、全て魔法銀で出来ていた。

「ヤグーディン様」

「手を出すな。貴様等では、こやつは倒せん」

ヤグーディンは構えを取る。

「我がズアーヴの民を、よくぞ根切にしてくれたな」

リーシェは答えない。

「人の所業ではないと思ったが、貴様混血(ゲミシュト)か」

「それが何か」

ヤグーディンはリーシェを嘲笑う。

「所詮貴様は、人外の魔物、というわけだ。女子供を含め、一人で千五百を刻み殺すなど、人の心を持つものの所業ではないわ」

リーシェの気は全く揺らがない。しかし、その言葉にフェリアは蒼白になった。

「言いたいことは、それで全部かい、ズアーヴ族の長ヤグーディン」

リーシェは剣を構えなおす。

「その通り、僕はお前の部族の者を千名以上斬った。千から先は、数えていない」

「悪魔め!」

「悪魔と呼ぶなら、呼ぶがいい」

リーシェは剣に更に気を込める。ヤグーディンは戦斧を手に構え、禍々しい古代語(ルーン)の詠唱を始める。リーシェの顔色が変わる。

「皆逃げよ!聖ヴルム大聖堂に逃げよ!ヴァルス候の名による軍令状によって我、宮殿騎士(テンプルナイト)リーシェ・ロワール・フランシスが命ずる!」

「リーシェ様!」

フェリアの絶叫が響く。リーシェはフェリアに叫ぶ。

「お逃げ下さい、フェリア様!」

リーシェの声に、アレクサンドラはサイモンに目配せする。頷くと、サイモンはフェリアを横抱きに抱きかかえて走り始めた。その脇を、アレクサンドラがぴったり固める。

「離して、話してサイモン!リーシェ様が、リーシェ様が!」

ヤグーディンの詠唱は続いていた。禍々しい気が、ヤグーディンの周囲に集まっていく。

リーシェはこの詠唱が何を意味するかを、明確に知っていた。

紛れもなく、暗黒の魔法。「降魔の詠唱」である。ヤグーディンは自らの身体を依代にして、強力な魔族を呼び出し、聖都ロードポリスの民を無差別に殺そうとしている。それが自らの一族を惨殺された彼の、聖十字教国(クルーセイド)に対する復讐であることは火を見るよりも明らかであった。

空がにわかに黒雲に覆われ始める。ヤグーディンの詠唱が高さを増す。大地がグラグラ…と揺れた。

「蒼の悪魔よ。いかにお前が強かろうと、わが命を賭して生み出す魔物達には敵うまい。この都に住むすべての者を、我が一族同様に刻み殺してくれるわ、はっはっは…!」

その時。

リーシェは大刀を大上段に構え、あらん限りの気を込めた。

そして、ヤグーディンめがけて振り下ろす。

リーシェからヤグーディンまでは、二十歩以上離れていた。

が、その一瞬。

リーシェの剣から、蒼い剣気が迸った。

ヤグーディンは、脳天から真っ二つに両断された。

「ソニック・ブレイド」である。

リーシェが手にしたばかりのこの剣で、この技を全力で放つのは初めてであった。既に先日まで使っていた「両刃の(ダブルエッジド)ローラン」は、リーシェが全力で剣気を込めると、剣の側が悲鳴を上げるまでになっていた。しかし、大寺院の地下から持ち帰ったこの一対のブルーメタルの剣は、リーシェが全力で剣気を込めてもびくともしなかった。のみならず、彼の剣気は剣によってさらに増幅され、高められるようにも、彼は感じていた。

断末魔の悲鳴を上げる間もなく、ヤグーディンの身体は真っ二つにされていた。

しかし…

ヤグーディンの両断された身体が石畳の上に倒れたその時、流れ出た血でできた小さな水溜りが、アッと言う間に暗黒の深淵(アビス)と化す。

リーシェは小さく舌打ちすると、穴に駆け寄る。穴の中から、悪霊が沸き上がって来る。

どう見ても、彼一人で塞げる状況ではない。そこへ、アンヴィル司教が駆けつけてきた。

「リーシェ殿、これは」

「ズアーヴ族の族長、ヤグーディンが、自らの身体を依代にして悪霊を呼び寄せているのです」

リーシェは剣を構えなおす。

「実体化した悪霊は、私が滅します。司教様は深淵(アビス)を塞いでください」

「心得た」

アンヴィルは高く祈りの言葉を唱え始める。彼の身体に、神の力が充ちる。リーシェはアンヴィルを守って剣を振るい続けた。

一方―――

アレクサンドラ達は、何とか聖ヴルム大聖堂に逃げ込むことに成功していた。多くの人々が傷つき、また倒れていた。彼女たちが逃げてきた通りの方向からは、禍々しい妖気が漂って来ている。フェリアはついほんの少し前まで半狂乱になってリーシェの名を呼び続けていたが、今はたださめざめと涙を流すのみであった。

「一体、何が起こっておるのじゃ」

ヨハネス枢機卿は逃げてきた者に尋ねる。

「誰ぞ、この妖気の原因は――」

「枢機卿猊下」

アレクサンドラはヨハネス枢機卿に声をかける。

「おお、そなたは…なんと、フェリア殿」

「猊下、リーシェ様が…!」

フェリアはヨハネス枢機卿の胸に顔をうずめて号泣する。

「泣いていては分からぬではないか、リーシェ殿がどうなされた」

アレクサンドラが言う。

「敵の族長が、自らの身体を依代にして深淵(アビス)を開いたのです」

ヨハネス枢機卿はアレクサンドラの言葉に仰天する。

「いかん、すぐに現場に向かうぞ」

彼はすぐさま数名の騎士と高位聖職者を呼び寄せた。

「バーランダー枢機卿、こちらはお願いいたす。私が現地に向かい、深淵(アビス)を封印してまいる」

「ヨハネス枢機卿、お気をつけて。皆、猊下をお守りせよ」

ヨハネス枢機卿に、フェリアが駆け寄る。

「猊下、お願いでございます、私を———私をお連れ下さいませ」

フェリアの言葉に、ヨハネス枢機卿は首を横に振る。

「ならぬ」

「後生でございます、どうか」

「聞き分けの無いことを申すな」

常になく、厳しく枢機卿は言う。

「リーシェ殿が、なぜそなたをこちらへ逃がしたか、分からぬのか―――」

その言葉に、フェリアは言葉を失い、その場にがっくりと膝をつく。

「彼を信じよ。そなたはここで、己のできることをするのじゃ」

そう言い残し、ヨハネス枢機卿は部隊を率いて出発した。


アンヴィル司教は一心に封魔の断章を唱え続ける。彼の魔力は高く、僅かずつではあったが深淵(アビス)の直径は狭まりつつあった。しかし、後から後から悪霊が湧き出て来る。休む間もなく、リーシェは両刀を振るい続け、魔を滅し続けた。

深淵(アビス)の入口に、それまでより巨大な魔物の腕が現れる。

大悪魔(グレーター・デーモン)の腕。

「ぐ…っ」

詠唱を続けるアンヴィル司教に、とてつもない負荷がかかる。大悪魔(グレーター・デーモン)は無理矢理深淵(アビス)の出口を押し広げ、押し通ろうとしている。いかに魔力が高いと言っても、アンヴィル司教一人の力で大悪魔(グレーター・デーモン)を抑え込むことは不可能である。

「ハアッ!」

リーシェが剣に気を込め、大悪魔(グレーター・デーモン)の腕に斬りつける。緑色の体液を撒き散らし、腕は肘から斬りおとされた。大悪魔(グレーター・デーモン)は崖から落ちるように深淵(アビス)に落ちていく。アンヴィル司教が一息つく。

「助かりましたぞ、リーシェ殿」

リーシェはアンヴィル司教に微笑んで見せる。しかし一瞬の後、更に立て続けに小鬼(インプ)小悪魔(レッサー・デーモン)が穴から現れた。

リーシェは二振りの剣を振るい続ける。全て一太刀。信じられない戦いぶりである。剣はさらに蒼く、明るく輝く。湧いて来る悪霊の中には、リーシェの剣が放つ光に触れただけで、塵になって消滅するものもいた。

どのくらいの数の魔物を斬っただろうか。リーシェは肩で息をし始めた。

シャーッ、と鳴き声を上げ、翼の生えた地獄の大蛇がリーシェに襲い掛かる。

「くっ」

リーシェはその一撃を大刀で受け止め、左手の長刀で大蛇の首を斬り落とす。少しの間でも、深淵(アビス)の入口から離れるわけにはいかない。彼が離れれば、あっという間にここは魔物の群れで埋め尽くされることだろう。今それを止められるのは、彼自身の他にいない。リーシェは肩で息をしながら、再び剣を構えなおす。

「リーシェ殿、まずい!」

アンヴィル司教がリーシェに叫ぶ。その時、大地が再び揺れた。アンヴィル司教の祈りにもかかわらず、徐々に深淵(アビス)の直径が広がろうとしていた。

「何かとてつもなく巨大なものが、無理に押し通ろうとしております」

「何ですって」

「私の魔力だけでは、押さえきれません!」

その時、二人の耳に禍々しい上位古代語(ハイ・エインシェント)が聞こえてきた。

『我を呼びし者の願い―――』

「なんということ―――」

アンヴィル司教は呟く。大悪魔(グレーター・デーモン)よりもさらに上位の、魔王(サタン)の眷属が地上に這い出しいてこようとしている。

リーシェは剣を構えなおす。アンヴィル司教はそれに驚く。

「おやめください、リーシェ殿」

「そうはいきません」

リーシェはアンヴィル司教に言う。

「僕が―――僕が力尽きたら、司教様もお逃げ下さい」

「リーシェ殿!!」

リーシェは魔王(サタン)の眷属、アークデーモンに相対する。アークデーモンの顔が、深淵(アビス)からのぞく。

『矮小なるものよ、よくぞ我が配下をそれだけ一人で倒したものだ。褒めて遣わす』

リーシェは烈々たる剣気を放ち、アークデーモンを牽制する。

アークデーモンは穴からでた指を一振りする。六本の魔法の矢が、同時にリーシェを襲う。―――しかし、それらは全てリーシェの身体を素通りする。

『ほう』

アークデーモンは驚きの声を上げる。

『見事だな』

リーシェの頬を、汗が一筋流れ落ちる。

『面白い。こんな感覚は先の戦以来だ』

そこへ、ようやくヨハネス枢機卿らが駆け付ける。ヨハネス枢機卿はリーシェとアークデーモンが対峙しているのを見て、すぐに詠唱を始める。

「アンヴィル、私を護れ」

「畏まりました、猊下」

アンヴィルはありったけの魔力をつぎ込んで、対魔法結界を張る。

「皆の者は封魔の断章を」

ヨハネス枢機卿が伴ってきた聖職者たちは声を合わせ断章を唱え始める。

『小癪な』

アークデーモンは再び指を振り、詠唱もなしで呪文を放とうとする。しかし、その指はリーシェが一閃した蒼い大刀に斬り落とされていた。

『諦めなさい、グワルダルガ』

リーシェの蒼い大刀から、美しい精霊が現れ、アークデーモンに相対する。

『貴様、何故ここに』

『我が主人(マスター)がお前の手下を滅し、我に力を与えたのよ』

アークデーモンは苦しみだした。リーシェの剣の精霊は、嘲笑うように言う。

『早く深淵(アビス)にお帰りなさいな。でないと、現世と魔界の狭間で、身体を引き裂かれるわよ』

多くの聖職者達の唱える断章が、深淵(アビス)の口をギリギリと締め付けていた。

「皆の者、身を伏せよ」

ヨハネス枢機卿の詠唱が完成する。天を覆った黒雲が割れ、天空から凄まじい光の束が降り注ぐ。

光はアークデーモンの身体を突き貫く。

枢機卿が放ったのは、「神の怒り」という呪文であった。

まともに大きな呪文を受け、アークデーモンは左手を残し深淵(アビス)に押し返される。

その左手に、リーシェがありったけの剣気を込めて斬りつけた。

蒼い剣が、アークデーモンの腕を斬り落とす。

『おのれ…矮小なる者ども…』

『我が主、リーシェ・ロワール・フランシスに刃を向ける者を、我は許さぬ…』

剣の精霊は、すっ…と大小の刀の中に消えていった。深淵(アビス)は完全に塞がれた。

リーシェはその場に片膝をつく。リーシェ殿、と叫び、アンヴィル司教が駆け寄る。

「司教様、ありがとうございます」

「何をおっしゃる、リーシェ殿がいなければ、我ら皆今頃魔物の餌食になっておったでしょう」

皆がリーシェに駆け寄る。

ズアーヴ族を中心とした諸部族軍の精鋭五百は、既に潰乱状態にあった。彼らは族長ヤグーディンを失い、組織だった戦いは既にできなくなっていた。リーシェに治療と体力回復の秘蹟を施しながら、ヨハネス枢機卿は言った。

「よくぞ、よくぞ駆けつけてくれた、リーシェ殿」

「遅くなり、申し訳ございませんでした」

施術を受け、リーシェは立ち上がると、

「まだ北東方面の敵が残っております。私はそちらへ」

「済まぬ」

リーシェは枢機卿に言う。

「まだ残敵が潜んでいるかもしれません。皆様、お気をつけて下さい」

そう言うと、彼は風のように北を目指して走り去った。

「…誠、良い若者ですな」

ヨハネス枢機卿は、アンヴィル司教の言葉に頷いた。


ヤグーディンら五百の精鋭による奇襲を防いだ段階で、ロードポリスでの戦いはほぼ決着がついていた。北東門に現れたリーシェは、ひとり城外に出ると、両刀を抜いて敵陣に突撃した。ヤグーディンが討たれたことを悟った諸部族軍の士気は、脆くも瓦解した。リーシェが城外で戦っている所に、ヴァルス候の率いる部隊が駆け付けた。血の海の中に立ち尽くすリーシェの後ろに、宮殿騎士団(テンプルナイツ)が整然と陣を敷き、勝鬨をあげた。

城門から凱旋した宮殿騎士団(テンプルナイツ)を、ロードポリスの民は狂喜して迎えた。

特に、たったひとりで諸部族軍の最精鋭の大半を退け、深淵(アビス)から現れた魔物を滅し、文字通り街を救ったリーシェに対する市民の歓声は尋常なものではなかった。列の先頭で、ソルフィーとともにヴァルス候と並んで馬を歩ませるリーシェを、伏し拝む老婆もあれば、彼の姿に十字を切り、祈りを捧げる娘もあった。当のリーシェ本人は、にこやかに彼らに応じながらも、その表情には深い憂いと悲しみが浮かんでいた。

翌日から、リーシェは毎日ロードポリスの街に出た。そして被害の大きかった地区を見舞ってまわった。アンヴィル司教とフェリア、そして二名の宮殿騎士(テンプルナイト)とともに、リーシェはロードポリスの人々の声に耳を傾けた。親を殺された姉妹。夫を失った若い女。彼らの歎きを、リーシェは黙って受け止め続けた。彼の心には、深い憂いとともに悲しみが刻まれていった。そんなリーシェの姿を側にいて見つめるフェリアの心の中にも、同じように悲しみが刻まれていった。

「フェリア様」

リーシェはフェリアに呼びかける。

「リーシェ様」

「少しお休みになって下さい」

フェリアは首を横に振る。

「リーシェ様こそ、ほとんどお休みになっていないのに」

「僕なら、いいのです」

リーシェは優しく答える。しかしフェリアは心配そうな顔を崩さない。

リーシェは苦笑して言う。

「すみません…お気を使わせてしまって」

「そうおっしゃって下さるなら、どうか少しお休みになって下さい」

リーシェは素直に頷く。ようやく平静を取り戻したアドリア侯爵邸の西館で、二人は静かな時を過ごしていた。

「何かお召し上がりになりますか」

執事のトゥッサンに尋ねられ、リーシェは少し考えて口を開く。

林檎酒(カルヴァドス)を」

「かしこまりました」

トゥッサンは一礼して、すぐにグラスと酒壜を銀の盆にのせて来る。

「お嬢様には、お茶をお持ちしました」

「ありがとう、トゥッサン」

「何かございましたら、お呼び下さいませ」

そう言うと、トゥッサンは次の間に下がる。二人は飲み物に口をつけ、どちらからともなく深い溜息をつく。そして、相手が同じように溜息をついたことに気づき、クスリと笑った。

「リーシェ様、お疲れでしょう…ありがとうございます」

フェリアの言葉に、リーシェは首を横に振る。

「フェリア様がご無事でよかった。何より嬉しいです」

二人はじっと見つめ合う。陽はやや西に傾き、午後の日差しが少しずつ部屋の中に入って来ていた。

フェリアの瞳から、涙が一筋流れる。

「フェリア様」

フェリアはごめんなさい、と言うと、暫く無言でリーシェを見つめてから、ぽつりとこう言った。

「自分が、不甲斐なくて」

リーシェはフェリアの両肩をそっと両手で支える。

「そんなことはございません」

リーシェの言葉にも、フェリアは首を横に振る。

「私、リーシェ様の足手纏いにしかならなかった」

フェリアはこらえきれずに、大粒の涙を流す。

「悔しくて、悲しくて―――」

リーシェはフェリアの頭を胸にそっと抱きしめる。フェリアはリーシェの胸に顔をうずめて、声を殺して泣いていた。柔らかな金髪の巻毛を、リーシェは優しく撫でながら、フェリアが落ち着くまでずっと抱いてやっていた。

フェリアの息が落ち着いてきたのを見て、リーシェはフェリアに言う。

「フェリア様は、決して僕の足手纏いではありませんでしたよ」

「嘘」

フェリアは再び目に涙をためる。リーシェは首を横に振る。

「多くのズアーヴ族の民を斬らねばならなかった時…二日二晩馬を飛ばし続け、馬上で眠りそうになった時…深淵(アビス)から湧き出す魔物を斬り続け、力尽きそうになった時…血の海で、倒れそうになった時…」

リーシェはフェリアの顔をじっと見つめる。

「―――そんな時いつも、フェリア様のことを思いだしました」

フェリアはリーシェを見つめ返す。

「すると、不思議なもので―――立ち上がり、再び剣を取る力がわいてくるのです」

「リーシェ様」

「貴方がいてくださるおかげで、僕は正気を失わず、絶望せずに戦うことができました」

「リーシェ様」

フェリアはリーシェの首筋に飛びつき、思いを込めた口づけをする。暫くの間、二人はそのままじっと動かず、お互いの温もりを確め合っていた。

フェリアが惜しそうにリーシェから口を離す。フェリアはリーシェの耳元で、リーシェはフェリアの耳元で言う。

「私達のために、リーシェ様が血にまみれて―――」

「フェリア様がご無事なら、それでいいのです」


ロードポリスでの戦いから三か月―――

聖十字教国(クルーセイド)の夏は短い。ウィルクス戦線での戦いを一段落させ、マリューが戻って来たのは街に秋の風が吹き始める頃のことであった。マリューの帰還を待って、聖ヴルム大聖堂で一連の戦いの論功行賞が行われた。

ロードポリスを守るにあたり、ソルフィーとリーシェの果たした役割は大きかった。教皇は二人の働きを重く評価し、聖十字教国(クルーセイド)への仕官を改めて求めた。ソルフィーはそれを感謝しつつも、丁重に断り、こう告げるのであった。

「教皇台下におかれましては、我等両名へのお褒めのお言葉、誠にありがたく頂戴いたします。しかし、北方の情勢たるやまだ予断を許しませぬ。乞う、我北方に赴き、その情勢を調査し、見分いたしましたことを台下に逐一ご報告申し上げ、以て北方に対する備えとしていただきますことを」

「それでは剣聖殿に対し申し訳が立たぬ…」

「おそれながら台下」

ヨハネス枢機卿が教皇に言上する。

「剣聖殿のお申し出、我が国としてこれ以上ないお申し出かと愚考致します」

「では、せめてリーシェ殿だけでも、我が国に―――」

その言葉に、リーシェは教皇の足元に跪く。

「少々、殺し過ぎたように―――感じております。」

「リーシェ殿」

リーシェは跪いたままで言う。

「国を護る為、愛する人々を護る為———とはいえ、私はいささかやり過ぎました」

教皇は首を横に振る。

「さにあらずさにあらず…。そなたは我が命に従ったのみ、それを気に病む必要はない」

リーシェは顔を上げない。彼の足元に、ぽた…ぽた…と大粒の涙がこぼれて落ちた。ヨハネス枢機卿が見かねて言う。

「台下、リーシェ殿はお疲れでいらっしゃいます、すぐに別室へ―――」


謁見の間から、宿坊の一室に運ばれてきたリーシェ。ヨハネス枢機卿が彼の枕元に跪く。

「許されよ、リーシェ殿…そなたにあまりにも重い十字架を背負わせてしまった…」

リーシェはヨハネス枢機卿の言葉に、力なく笑う。

「沢山、殺しました―――。女性も、子供も―――」

ソルフィーも、マリューも心配そうにリーシェを見る。

「そなたのおかげで、ロードポリスの民は皆救われたのじゃ。そなたが、守ったのじゃ」

リーシェはヨハネス枢機卿の言葉に頷きながらも、

「こんな状態で、聖十字教国(クルーセイド)にお仕えするのは―――」

マリューは優しく言う。

「―――なに、まだ旅を続けたいのなら、それもいいさ。お前は十分に働いたんだ」

「申し訳ありません、師兄…」

ソルフィーはリーシェに言う。

「リーシェ、そなたはパヴィアの我が館に戻るがいい。少し心に澱をを溜めすぎてしまったようじゃ」

リーシェは頷く。ヨハネス枢機卿は言う。

「それでも…今しばらく、こちらにいることは出来ぬのか」

リーシェはヨハネス枢機卿の方を見つめる。

「―――フェリア殿は、どうされるのじゃ」

リーシェはよく状況が呑み込めていない。

「そなたの許嫁ではないのか」

リーシェの顔が一気に赤面する。

「師兄、先生!」

「なんじゃリーシェ」

「どうして猊下に喋ったのです!」

マリューは明後日の方向を向いて口笛を吹いている。

「良いではないか、すぐに結婚せよと言っておるのではないのじゃし」

「良くありません!だいたい、フェリア様のお気持ちがどうか…」

ヨハネス枢機卿は苦笑して言う。

「そうか、フェリア殿さえよければ、よいのじゃな。分かった」

「ぼ、僕はまだ十二歳です」

今度はソルフィーがかぶせて言う。

「そなたにはグランドマスターを許したではないか。もう立派に一人前じゃ」

リーシェはぐうの音も出ない。

「ではこうしよう。俺はフェリアに『花嫁修業をするように』と命じておく。落ち着いたら、連絡をよこせ。」

「何てことを…彼女のお気持ち…」

「俺の言うことを拒否したりはすまいな?過日、道場で俺に負けたことを忘れていまいな?」

マリューは悪戯っぽい表情で言う。リーシェは憮然として言う。

「今になって、そんなことを…」

マリューはじっとリーシェを見つめる。

ソルフィーも無言でリーシェを見つめる。

ヨハネス枢機卿は、祈るような顔でリーシェを見つめる。

リーシェは赤面し、俯いたまま、諦めたように言う。

「…師兄の、宜しいように」

それは昨年の冬のこと。傷が癒えたリーシェを、ソルフィーは宮殿騎士団(テンプルナイツ)の道場に出稽古に行かせた。そこで六十五人を抜いたリーシェに対し、六十六人目にマリューが挑んだ。負けた方が一つ勝った方の言うことをきく、という条件をのんだリーシェに、マリューはあろうことか道場で奥義「クリムゾンストライク」を使った。病み上がりのリーシェは、まともに技を受け、文字通り弾き飛ばされた。マリューはその時の話を持ち出したのである。マリューは満足気に高笑いした。

魔法学院(アカデミー)を卒業できたら、何処へでも好きなところへ旅をするがいい。最早お前は俺の弟も同然、このヴィシリエンのどこにいても、それが変わるものではないからな」

マリューは満足気に笑う。

ソルフィーも納得した顔になる。

「マリュー、よくやった。今度ばかりはそちを褒めねばなるまいな」

「いえ、妹のためですから、わっはっは…」

リーシェひとり、憮然としてベッドの上にいた。


その年の年末…

ソルフィーは秋半ばに北方に旅立ち、リーシェは魔法学院(アカデミー)での学習を粗方終えていた。既に多くの魔法や文献について学び、魔力付与については多くの魔導器にもふれ、既に専門的な知識を身につけていた。学院からの認可を受け、アドリア侯爵邸に戻ったリーシェを、フェリアが出迎えた。

「おめでとうございます、リーシェ様」

「ありがとうございます、フェリア様」

フェリアの目には、涙が浮かんでいた。その認可、即ち卒業が意味するものを、彼女は頭では理解できていた。しかし、彼女の心がそれを受け入れることを拒んでいた。

「行っておしまいになるのですね」

リーシェは頷く。フェリアはリーシェの胸に頬を寄せる。

「リーシェ様に、ずっといていただきたい…」

リーシェは首を横に振る。

「分かっているのです。頭では…でも、でも…」

リーシェは優しい微笑を浮かべて言う。

「いずれまた、必ず会えます。私はまた、修行を続けます」

彼はフェリアを見つめて、ありがとうございます、ともう一度言った。

「貴方の優しさに、癒されました。私は果報者です」

フェリアはリーシェにだけ聞こえるように、小さな声で言う。

「私のこと、どうお思いになっていらっしゃるの」

リーシェは赤面する。

「お願いですーーー聞かせて、リーシェ様」

リーシェは彼女の耳元に口を寄せ、そっと呟く。フェリアの顔が薔薇色に染まり、彼女はリーシェの首に抱きついて唇を重ねた。

「嬉しい…」

リーシェは優しく彼女を抱きしめる。

「その言葉だけで、私は、フェリアは生きていけます。」

「フェリア様」

「お慕いしております、リーシェ様」

二人はもう一度キスをする。

どの位の時間が経っただろうか。

ロビーの柱の後ろから、マリューが声をかける。

「…ふたりとも、いい加減にしろ。聖誕祭の晩餐が始められんではないか」

二人はびっくりして離れる。耳まで真っ赤になって、リーシェが言う。

「しっ、師兄、いつからご覧になっていらしたのですか!?」

「フェリアが『ずっといてほしい』と、駄々をこねたあたりからだな」

フェリアも耳まで真っ赤になって言う。

「もう、お兄様!!いや…!」

マリューは二人に優しい微笑みを見せ、彼らを食堂に誘う。

その夜は三人で、聖誕祭の晩餐であった。リーシェにとっては何年ぶりかのことであった。

「フェリア」

マリューは妹に呼びかける。

「お前の気持ちはよくわかった。兄は必ず、お前の望みを叶えてやる」

フェリアはじっと兄を見つめる。

「だが、彼はまだ修行の身。それに、お前もまだ若すぎる」

「はい」

「リーシェが修行している間、お前も己を磨くのだ。よいな」

フェリアは頷く。その目に、強い意志が宿ったのを見て、マリューはリーシェにも言う。

「お前の安住の地が、この国であればよかったのだがな」

「よいのです、師兄。師兄がこの国にいらっしゃる限り、私の剣がこの国に向けられることはございません」

「俺よりも、フェリアに」

リーシェは笑って答えない。フェリアも苦笑する。

「いずれ、その時がまいりましたらーーー」

「こいつ」

マリューはそう言うと、リーシェに酒を注ぐ。


新しい年が始まる。

リーシェはマリューとフェリアの見送りを受け、西の方パヴィアの街を目指し、ロードポリスを後にした。

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