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龍と騎士の殺し合い
雪の積もった森。 その森の中心あたりの木に1人の少年が背を預けていた。
そんな少年の前に1人の赤髪の女が現れた。
髪だけではない。 服もすべて赤だった。
雪原の中で気付かぬ筈がないはずなのに、少年は気付かなかった。
その女が目の前に来てやっと少年が気づいた。
?「お姉さん、1人?」
女は何も答えない。
少年は続ける。
?「僕も1人なんだ。」
女は答えない。
?「……僕達……同じだね。」
少年は微笑んだ。
春の暖かさが出てきた3月末。ここは世界最高峰の呼び声高いギルド《ゼメギア》。 その中枢の会議室に向かうための廊下を15歳程の少年が歩いている。
彼の名前は《風裂流炎》。 体は引き締まっていて、顔も整っているがモテそうではない。 つまるところ普通ということだ。