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失恋  作者: 紀本 真利亜
7/9

赤い日記帳

浮気された女の詩。「日記」の女の視点から書いてみました。

ずっと過ごしていたこの部屋


あなたとの思い出しか


残っていない


でもこの部屋にはもういられない私



部屋の真ん中にある小さなテーブルから


私は部屋全体を見渡す


目に入ってくるのは


良く使っていた少し大きな鏡


良く料理を作っていた小さな台所


一緒に笑いながら見ていた小さなテレビ


一緒に寝ていたシングルベット


どれも今の私には悲しすぎる楽しかった思い出


この部屋の全てにあなたと私の思い出が溢れている


幸せだった日に浸ってしまい


自然と私は思い出し笑いなんかをしてしまう




カバンから日頃から書いていた


赤い日記帳を取り出す


最後に記そうと思ったから


赤い表紙をめくると


あなたとの出会った日の日記から始まる


あなたの第一印象の事が記してあった


初々しい今より少し若い時の私の気持ち


1ページ1ページゆっくりと


当時を振り返る


めくる度に胸に込み上げてくる


切ない気持ち


めくる度に瞳から涙が零れる


そして私の楽しかった思い出は終わりのページへ


私は涙と鼻水を手でぬぐい


最後の日記を書く


手が震えていつもの字では書けない


とてもへたくそな字


涙でインクが滲んでしまう


鼻で泣きながら今の気持ちを記す




なぜあなたは私を裏切ったの?


私の事が嫌いになった?私の思いが重かった?


私はあなたと一緒にずっといたいよ


だってあなたの事が好きだから


今でも好きだよ


でもあなたを許す事がどうしても


できない私がいるの


こんな曖昧な気持ちであなたと一緒に


いることは出来ないから


ごめんね 


あなたが悪いのにどうして私が誤るんだろう


でもごめんね


あなたを許す事が出来なくて


子供の私を許してね


大人になれない私を許してね


楽しかった日々をありがとう


そして


さようなら




まだ白紙のページが残る日記帳を閉じ


テーブルの真ん中に置いた




涙は止まらない


好きなのにあなたから離れることを


選んだ小さな私


あなたを許せばこれからもここにいれるのに


そうしたらいつもの明日を迎えられるのに





昨日買っておいたあなたがいつも吸っている


タバコの箱を赤い日記帳の横に置いた


日記は私には辛い荷物だから


この思い出の詰まった部屋に


一緒に置いていく





この部屋から


私だけ出て行く


合鍵はポストに入れて














































どうしても許すことの出来ない女の心境。乙女心は海よりも深いのです。

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