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失恋  作者: 紀本 真利亜
5/9

桜散る

少し前の話。忘れてはいけない時代。この時代があるから今の時代があるのです。

今日があなたと一緒に過ごす最後の夜



明日の今頃はきっと・・・




今宵の夜は


ずっと二人で抱き合いましょう


ずっと二人で語り合いましょう


ずっと二人で涙を流しましょう


ずっと二人で朝を迎えましょう



お互い愛し合ってるのに


なぜ 永遠の別れが訪れなければならないの?


この二人の気持ちは誰に問えばいいのだろう




部屋から見えるのは庭にある桜の木


あなたが小さい頃から世話をした桜の木


やっと今日 花が咲いた


あなたが今日一日だけ帰ってくるのを祝うかのように



私はあなたに胸の中で泣く


あなたは私の肩を強く抱きしめ


あなたは涙を零す


初めて見るあなたの雫


最初で最後のあなたの泣き顔



夜桜が二人に覚られないように静かに風に揺れる



私とあなたは幼馴染


小さい頃からあなたが好きだった


あなたと一緒に過ごせて幸せでした


私を選んでくれて有難う



あなたは飛行機乗り


小さい頃から飛行機が好きだった


いつか二人で大空を飛ぼうと約束したよね


結局 約束は果たされないまま



出来る事なら私もあなたと最後を迎えたい




大切な時間ほど過ぎ去るのは早い


桜の花の隙間から朝日が差し込む


私達は静かに桜を見つめてた


ただ静かに




雀達が目覚め朝が来たのを私達に教える



来て欲しくなかった朝


あなたとの永遠の別れの朝



私の手料理をいつもより


ゆっくり一口一口味わう


最後の私の手料理



あなたにとって


この家も庭の桜の木も


そして今立っている玄関も


何もかも最後


そして私も・・・


今あなたは何を想っているの?



あなたは私に敬礼をする


そして私に背を向け男らしく歩みだす


少しずつ小さくなっていくあなたの背中


それが私があなたを見た最後の姿



桜の木は寂しげに風に揺れあなたを見送る



どうして私とあなたはこの時代に生まれたのだろう?


どうして私とあなたはこの時代に出会ったの?


どうしてあなたが犠牲にならないといけないの?



今宵の夜も夜桜が綺麗


昨日と違うのはあなたがいないだけ


ひとり夜桜を眺める



あなたは私を守るため大好きな大空を舞に行った


そしてこの時代の未来を変えるために



私はこの時代に生まれた事を恨んではいない


あなたという大切な人に回り逢えたのだから



春風が庭を駆け巡る


私の髪をなびかせ 桜の花も揺れる


数枚の桜の花が庭に舞う


一つの花びらが私の膝にヒラヒラ舞い落ちる


私はその花びらを優しく掌に握りしめ胸にあてた


瞳を閉じ「おかえりなさい」と心の中で言った






少し遠い未来で


私はまたあなたと回り逢えたい


きっと大丈夫


その時代は今より平和だから


だってあなたが未来を変えるため


空へ羽ばたいたんだから




その時はまた私を愛してください




























 

若き特攻隊員のお嫁さんの詩です。今の若者は誰かの為に(命までとは言わないが)何かをしてあげる事が出来るのでしょうか?きっと難しい事と思います。もっと文章が巧く書けたら良かったのですが読み手に私の伝えたい想いが伝われば嬉しいです。

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