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リンちゃん先輩、危ないです?!  作者: 珊瑚
モノ VS リンちゃん先輩
6/8

ネズミ捕りVSリンちゃん先輩

 私がリンちゃん先輩から聞いた話の中で、彼女の人生史上トップスリーに入るのではないかと思う事件がある。



 まだリンちゃん先輩が福楽庵に入って一年経つか経たないかくらいの頃、社員寮がキレイなマンションの一角に移転する前の、ボロボロ一軒家時代にそれは起こった。




☆☆☆





「鈴ちゃん、今週の金曜日の夕方なんだけどね」

 

 同じ寮に住む先輩社員の話によると、今週末は上質なはちみつの仕入れ先を探すため、はるばる長野まで泊りがけで出張があるらしい。

「はちみつメインだけど道中美味しいものも食べられていい経験になるし、くっついてればいいだけだから鈴ちゃんも一緒に来る?」


 えー、忙しい……とも思ったがそこは先輩社員の厚意を無駄になどできない。興味が無いわけではないし、ぜひ行かせて下さいと彼女は返事をした。





 来る金曜日。


「鈴ちゃん? 出発五時だけど大丈夫?」

「だ……大丈夫……じゃないけど大丈夫です……」


 懸念通り仕事が時間までに終わらず、切り上げてバタバタと片付けをしたリンちゃん先輩。実は泊まりの準備も終わっておらず、今しがた寮に飛んで帰ってきた所だ。


「先行ってるよー」

「はあああああい!」


 シャワーをダッシュで浴び、急いで荷物を作って玄関で靴を履き替えたその時だった。




 あれ、おかしい……?



 なんか、ねちょってする……?


 靴になにか、くっついてる……?

 









☆☆☆






「何を踏んでたんですか……」


 ガムか何かを予測していた私の予想遥か斜め上を行く回答が返ってきた。



「ネズミ捕り」





「はい?!」

「いやだから、その時期ボロボロの寮ではちょくちょくネズミが出てたのよ。それで玄関にネズミ捕り仕掛けてたんだけど、まあ見事あたしが引っかかったね」


 あれは笑われたなあ、と懐かしむリンちゃん先輩。


「すごく急いでるのに全然剥がれてくれなくて、最終的にくっつけたまま集合場所まで行ったよ」

「それ通行人もびっくりするよ?!」


 黒い板みたいなものを引きずって歩いていたら誰でもぎょっとする。


「だって先輩方の居並ぶ中で遅刻したくないじゃん、結局遅刻したけど」


 今からすれば笑い話でも、当時のリンちゃん先輩にとってみれば半泣き状態だっただろう。




「ま、何事も経験よ経験」

「そんな経験は私ならいらないです……」

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