第二話
「……て。…てよ。」
なんだろう、この声。
「う…ううん。」
目を開けると、僕と同じ位の歳の少女が目に映った。
「ここは?天国?」
「え?何を言っているの?君はまだ死んでいないよ?」
え?じゃあ、僕は、あの状況から生き残ったっていうこと?一体どうやって…まあ、それは良いか。それより、
「ねえ、僕の近くに僕と同い年くらいの男の子見なかった?」
あの少年は、僕と一緒に連れて来られたのだろうか。
「ああ、あの子?それなら、別の部屋で寝ているよ。」
「そう。よかった…」
それなら一安心だ。
「それにしても、何であんな所で倒れていたの?」
やっぱり、それを聞かれるか。本当の事を話した方がいいよね。僕だけじゃ、家に帰る方法も分からないし、岩に押し潰された筈なのに生きているから、此処が
僕の知っている世界かもわからないし。
「実は…」
僕は、これまでの経緯を話した。
「そうなんだ。じゃあ、君は、あの子の記憶を取り戻して、元居た場所に帰りたいっていうこと?」
「うん。そうなんだ。失った記憶を元に戻すために、良い所知らない?」
「ううん。そうだなあ…。まあ、あるにはあるんだけど…」
「え?それって何処?」
「えーっとね。此処から東に、真実の塔っていう所があって、そこには、記憶を司る神と、信念を司る神が祀られているんだ。そこには、月の鏡があって、それを見れば、あの子の記憶と、元の場所に帰る方法がわかるかもしれないよ。
「本当に!?」
「うん。だけど、真実の塔に入るには、この世界にある、八つの国から王家の装備を授けられ、帝国に認められないといけないんだ。それには、すごい時間が必要だし、力がなくてはいけないんだ。この世界では、魔物がらみの事件が多いから。」
「そんな…じゃあ、僕たちでは、真実の塔に入れないの?」
「ううん。修行をして、力をつければ、行けないこともないけど…あ。そうだ。そろそろあの子も起きた頃だから、呼んでくるよ。」
そう言い少女は、部屋を出て行こうとした。
「あ。ちょっとまって。君の名前は?」
「私は、ユウキ。貴方は?」
「僕は、佐藤和也。よろしくね。」
そう言い、少女、ユウキは今度こそ部屋を出て行った。
数分後、ユウキは戻ってきた。
「あ。君は…大丈夫だった?ごめんね。僕のせいでこんなことになっちゃって。」
部屋に入る次第、少年は僕に謝ってきた。
「そんな、別にいいよ。気にしてないから。それより、君とも自己紹介をしてなかったね。僕は、佐藤和也。よろしくね。」
「うん!よろしくね。和也。」
「それにしても、いつまでも君とかじゃあ、呼びにくいから、名前をつけない?」
僕は、そんな提案をした。
「あ。それいいね。そうしよう。」
「じゃあ、何かいい名前ないかな。ユウキも考えてよ。」
「え、私も?ううん。そうだなあ…。じゃあ、カイトはどう?」
「カイトか…それいいね。よし、僕は、今から、カイトだ。」
「よし。名前も決まったことだし、これからどうする?私としては、これから、私の家で暮らしてもいいんだけど。どうしても真実の塔に行きたいなら、あまりお勧めはしないけど、私のおじいちゃん、結構有名な戦士だから、おじいちゃんに頼んで、修行をさせてもらうこともいいけど、それなら、私も一緒に修行をして、旅に出かけるよ。二人じゃ危ないからね。どっちにする?まあ、答えはわかっているけど。」
そんなもの決まっている。
「もちろん修行をするよ!」
「うん。僕もそれに賛成だね。僕の記憶がどんなものなのか知りたいし。」
「そっか。じゃあ、おじいちゃん呼んでくるね。」
ユウキは、祖父を呼びに行った。
「お主らが、ユウキの言っていた、少年たちか儂は、シークじゃ。成程。真実の塔に行くために、修行をつけて欲しいのじゃな?よかろう。修行をつけてやろう。」
「本当ですか!」
やった!
「まず、この村の外に出よう。」
そう言われ、僕たちは、村の外へ出た。
「あの丘の上に、猪のようなものが居るじゃろ?あれが魔物じゃ。この辺りの魔物はまだ弱い方だ。見て居れ。」
そう言い、シークさんは、魔物のそばに行き、持っていた剣で、一瞬で魔物を二つに切ってしまった。
「すごい…」
シークさんは、戻ってきて、僕等に、
「ここまでとは言わんが、旅に出るのなら、一撃でこの魔物を倒せるようにならんと、旅には出せん。それでもやるか?」
「はい。僕たちは、どうしても真実の塔に行きたいんです。どんな修行も耐えて見せます!」
「ふむ、良いだろう。稽古をつけてやる。」
それからは、まず、基礎体力を上げる修行を数か月かした。そのあと、実戦訓練で、僕は剣の、ユウキは弓、カイトは槍の使い方を教えてくれた。それから魔物を一撃で倒せるようになるまで、また数か月たち、僕たちが修行を始めてから、半年くらいたった、ある日、
「ふむ…もういいだろう。お前たち、ちょっと来い。」
シークさんは、そう言って、僕たちを呼んだ。
「なんですか?」
「ああ、お前達が修行を初めて、半年。お前達は、十分強くなった。お前達なら、もう旅に出ても大丈夫だろう。」
「え、じゃあ、それって…」
「ああ、合格じゃ、旅に出てよろしい」
今日、僕たちは、旅に出ることを許された。
「やったーー!!」
「やっと旅に出られる!」
「じゃが、今日はもう遅い。一晩ゆっくり休んだら、旅にいきなさい。」
「「「ありがとうございました!師匠!!」」」
僕たちは、シークさんに、感謝を言い、家で休んだ。
翌日、
「ふー、やっと旅か、思えば、修行も長かったけど、すごい短く感じたよ。」
「そうだね、」
「きっと、楽しかったからだよ。」
そう言っていると、シークさんが来た。
「そうだ、お前達に、これをやろう。」
そう言い、シークさんは、僕には剣を、ユウキには弓を、カイトには槍をそれぞれ新しいのをくれた。
「これって…」
「今お前達が持っている武器は、半年間ずっと使ってきたから、ボロボロだろ。それでは、うまく戦えないから、新しいのをやる。
「ありがとうございます!師匠!必ず帰ってきます!」
「行ってきます、おじいちゃん、修行ありがとうね。」
「師匠、必ず記憶を取り戻してきます。」
それぞれ、シークさんに別れの言葉を告げ、僕たちは、旅に出た。目指すは、アークリッド!
誤字脱字指摘よろしくおねがいします。




