プロローグ
朝早く、僕、佐藤和也は散歩へ出かけた。
昨日、大雪が降った。今年初めてのことだったから、舞い上がって、散歩へ出かけたのだ。
暫く歩いていたら、雪道に足跡を見つけた。
「なんだろう。」
今は朝早く、散歩をしている人は僕以外見かけなかった。僕は面白そうだったから、足跡に沿って歩いて行った。思えば、それが僕の不思議な冒険の始まりだったのだろう。
足跡に沿って歩いていると、小さな洞窟があり、其処で足跡は途切れていた。僕は、その洞窟に入った。
洞窟を進むと、広いところに出た。すごく暗かったから、持ってきた懐中電灯で、辺りを照らした。その時、何処からか声が聞こえた。
「う、うう…」
「っ!誰?!」
僕は、驚いて、逃げようとしたが、石に躓いて倒れてしまった。
「た、助けて…」
そう言われ、僕は、振り向いて声がした所を照らすと、同い年くらいの少年が岩に足を挟んで動けないでいた。
「だ、大丈夫ですか!」
そう言いながら、僕は岩の前まで行き、その岩を思いっきり押した。
「とりゃーー!」
全力で押すと、岩は、少年の上から退いた。
「有難う。助かったよ。」
少年は、僕にお礼を言った。それにしても、
「何でこんな所に居るんですか?」
僕は、気になっていたことを聞いた。さっきも述べたように、今は朝早い。この洞窟の近くには民家は無いし、凄く見つけにくい。僕みたいに、足跡を見つけて来たか、この足跡を付けた人以外にはあり得ない。
「それが…思い出せないんだ。」
「え……?」
思い出せないって…記憶喪失?
「自分は誰で、何故此処に居るか…まったく思い出せないんだ。」
「僕は、目覚めたらこの洞窟に居たもうその時から何も思い出せなかった。とにかく洞窟から出ようと思ったんだけど、この岩に挟まれて出られなくて…そんな時に君がやって来たんだ。」
「そんなことが…でも、まずは洞窟から出よう。歩けますか?」
「うん、大丈夫だよ。」
僕たちは、洞窟から出ようとした。その時…
ドーン ガラガラ
雷が洞窟に直撃して、洞窟が崩れだした。
「え?うわあああ!」
終わった。そんなことを考えながら、僕は、意識を失った。