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4、仲間が魔王と戦ってくれない

 まず、魔王との戦いにおいて、最も素早いおれ様が仲間三人に、防御力上昇の魔法をかける。これがかかってないと、魔王の攻撃で簡単に死んでしまう。

 つづいて、魔王の攻撃。

 魔王は、その大きな口から毒ガスを吐いた。おれたちは、防御力上昇の魔法によって、それに耐える。

「かかれ、瑞希、士郎、もみじ。急がないと、おれの魔力がもたない」

 といってみたけど、おれの魔力は本当は無限大である。神さまのおれからすれば、楽勝なのはわかっているので、ただ一度、魔王との戦闘を実際にやってみたかっただけである。いわば、これがおれの願い事なのだ。これが叶えば、あとはどうでもよろしい。


 しかし、信じられないことが起こった。

 士郎が、魔王に話しかけた。

「魔王よ、話し合おう。暴力で解決するのは、現代人のするべきことじゃない。魔王よ、なぜ、この世界を所有しようとするのか、その動機を詳しく話してくれないか」

 ふざけんじゃねえ、士郎おおおおおお。そんな動機なんて、おれは考えていねえええ。

 いいから、おまえら、戦え。

 おれの夢を叶えろ。

「バカめ。くだらん甘言でこの魔王を籠絡しようなどとはあまいわ」

 よくいった魔王。偉いぞ、魔王。さすが、おれが極悪に作っておいただけはある。

「戦うしかないんだよ、士郎。いい加減に気付け」

「いや、どうも腑に落ちない」

 おれはいきり立った。

「こうやって、攻撃するんだ」

 おれは魔王に飛びかかって、大剣で魔王に斬りつけた。魔王の腹がかぱっと斬れ、どぱっと青い液体が飛び散る。

 しかし、次の瞬間、おれは魔王の右手で殴られて、吹っ飛んだ。

 痛い。

「覇樹、油断するな。隙を見せるな。敵を侮るな」

 士郎に説教された。

 なんだ、ちくしょう。全然、面白くないぞ。

 おれは神さまだぞ、バカ野郎。その気になったら、一瞬で魔王をやっつけれるんだぞ。

「いいから、戦ってくれ、きみたち」

「でも、魔王に恨みは別にないし」

「そうだよ。ぼくら、魔王の関係者じゃないもん」

「わたしは、おうちに帰らないと」

 だあああああああ。こいつら、うっとうしい。冒険者は魔王と戦うのが当然だろうがあ。


 魔王が瑞希を左手で殴った。地面に叩き付けられる瑞希。

 防御力上昇の魔法をかけてあるので、心配はいらない。

「大丈夫か、瑞希。くそう、魔王め」

「ちょっと、暴力反対です」

 士郎ともみじがやっとやる気になったようだ。

「これは正当防衛だ、魔王」

 士郎が叫んだ。

 瑞希が剣で魔王の肉を断ち、士郎が斧で魔王の骨を砕き、もみじが槍で魔王の体を貫いた。

 まあ、いいだろう。また、おかしくなる前に、これで終わりにしておこう。

 おれは魔王を殺すことにした。

「これがとどめだあ」

 おれが格好良く、最後の一撃を魔王に食らわせた。おれの大剣が魔王を頭から足の股まで切り裂く。

 決まった。魔王は死んだ。

 魔王退治は成功した。おれの夢は叶った。


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