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1、中学生が神様で魔王退治

また、完結するかもわからない不定期連載です。

 おれは神だった。

 神として生まれたおれは、中学校へ通っていた。神であるおれが、この世界を自分で作ったのだと気づくのに十四年がたったことになる。おれは神であり、自分で好きなように世界を作り変えればいいのだということに気付いくのに、十四年の成長が必要だったことになる。これは決して、おれが頭が悪かったわけではないことは、読者もお気づきであろう。

 おれは天才だった。というか、全知全能だった。おれは賢い。成績は学級で下から五番目だったけど、おれは全知全能なのだ。


 というわけで、おれは自分の好きなように、中学二年の時、世界を作った。

 おれが作った世界は、ゲームでよくある怪物が出歩いている中世の世界だった。

 設定は、おれの好みで、魔王退治をすることにした。

 場面は、森の中で焚火をして、仲間と最後の語り合いをする冒険者たちの休息のひと時である。

 そこには、大剣を担いだおれと、個人的好みで選んだおれが学級一かわいいと思っていた瑞希ちゃんと、五歳の時からの親友である士郎と、男女の人数の均衡をとるために仕方なく選んだ瑞希の友人であるもみじがいた。

 ちなみに、おれの名前は、覇樹という。


「なあに、この格好。南国の衣装みたい」

 と瑞希はいった。

「どこだ、ここは、いったい?」

 と士郎がいった。

「あの、本当にどこなんでしょうか、ここは?」

 ともみじがいった。

 三人の下僕たちは、頭が悪いので、おれ様の偉大な行為を理解できないでいるらしい。まことに嘆かわしいことだ。・

「きみたち、ここはおれの作った世界だ。たった今、ビッグバンを起こしたんだよ」

 とおれが説明する。

「ビッグバンを起こした? バカいわないで」

「ビッグバンは簡単に起こせるものではないよ、覇樹」

「というか、なぜ、わたしたちはビッグバンが起きたのに生きているのでしょう」

 やれやれ。下僕たちは頭が悪くて、説明しても理解できないらしい。これが、神であるおれと下僕である仲間たちのちがいか。

「実は、おれの正体は神さまだったのだ」

 実にわかりやすい説明だ。

「あ、そう」

「そうだったんだ」

「知りませんでした」

 下僕どもの驚きが足りない。

「そして、おれたちはこれから魔王を倒しに行く」

「なぜ?」

「意味がわからない」

「わたし、おうちに帰らないと」

 下僕どものやる気が足りない。士気が低い。要は、あまったれているのである。

「うるさーい。いいから、おまえらはこれからおれと一緒に魔王退治をするんだ」

「どうして魔王を?」

「魔王が何をした?」

「わたしは、おうちに帰らないと」

 下僕どもの能力が低い。まことに嘆かわしいことだ。

「いいか、おまえらは神であるおれに選ばれた栄光の戦士なんだ」

 おれが力説すると、三人は戸惑った様子だった。学校の帰り道からなんで急に魔王退治なのか。それは、おれがビッグバンを起こしたからである。三人を納得させるのに、三時間ほどかかった。ずっとおれはしゃべり倒した。おれがしゃべり倒して、説得し、帰るべき家など、もうないことを伝えた。今までおれたちが暮らしていた世界は、あるけど、ないのだ。

「わかったな。魔王退治に行くぞ」

 こうして、おれたちの冒険は始まったのだ。


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