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クローバー(2)  作者: ディライト
第4章
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第4章―(1)

 来客を告げる間抜けな機械音がボロアパートの部屋内に鳴り響く。来客者は既にわかっている。重い腰を持ち上げて、その音がするドアへと向かう。ドアに備え付けてある覗き穴に眼を持っていくと、見知った顔がぞろぞろと俺の家のドアと向かい合っていた。普段は俺の家にいる奴まで。

「はぁ……」

 観念して、俺は外界へのドアを開け放った。

「おいーっすハルっちゃん!」

「ハルキ、今日はよろしくな」

「やっほーハルくん!」

「お邪魔するわ」

 一癖ある俺のクラスメイト達はそれぞれ思い思いの発言をして、狭い玄関で靴を脱ぎはじめる。

「お、おう。先に上がっててくれ……」

 友達が家に遊びにくるなんてシチュエーションに、よく来てくれたな! なんてハイテンションには勿論ならない。何故ならひた隠しにしなければならない重要機密があるからだ。とにかく今日は何事もなく遊んで帰ってもらう事を心の底から祈るのみ。最後尾でまだ靴を脱いでいない一葉も後ろで苦笑していた。

(あれ? フタバとミツバは?)

 ブーツを脱ぐ一葉の耳元で囁く。それもそのはず、友達の家にWeeをしに行くという一葉に、勝手について来てしまうという手筈だったが、二人の姿は見えない。

(フタバは雄太くんの家で遊んでるよ。ミツバはなんか学校の友達に会ってくるって)

 むう、また雄太か……。まぁおばちゃんがいるし問題ないと思うが。

 三葉はきっと希望のぞむくんと遊んでいるのだろう。希望くんとは、以前三葉の小学校に忘れ物を取りに行った時に、三葉の友達になってくれた礼儀正しい男の子のことである。どうやら仲良くなったようだ。

(まぁとりあえずヒトハも座ろう)

(うん)

 二人で苦笑を交わし合い、居間へと移動した。

「おお! これがWeeかぁ〜!」

 葵が長テーブルに置いておいたWeeをツチノコでも見るように四方八方から眺めている。

 葵の私服姿を見るのは初めてだ。上は両肩をリボンのように縛ってある薄いピンクと白が混ざり合ったような服に、下は茶色のショートパンツ、黒のストッキング。葵の太陽のような性格とは反対にふわりとした服装だ。

「よし、早速繋いで始めよう!」

 佐久間がアダプタ類を手に立ち上がる。佐久間は黒ジャケットにお洒落なネクタイを締めて、黒のスラッグスで澄ましたコーディネート。はっきり言って友人の家にゲームをやりにくる服装ではない。

「ハルっちゃ〜ん。喉渇いたよ〜」

 渇ききって喋れなくなってしまえ。

 そんな図々しい筑紫は相変わらずのチャラさ。黒キャップを斜めに被り、どうしてそこまで裾が長いんだというプリントTシャツに、だぶだぶパンツ+玄関のスケボー。これまた友達の家に遊びにくる服装のチョイスではない。

「わかったわかった。入れるからちょっと待ってろ」

 図々しい筑紫を睨みつつ立ち上がる。と、

「あ、ハルキ私入れ――」

 一葉がいつも通り(・・・・・)の日常をこなそうと立ち上がろうとしていた。しかし途中で気づいたようで、ばつが悪そうな表情で立て膝をついて固まっている。早速ぼろを出してしまった。

「入れ……入れ……」

 俺は生唾を飲み込む。初めて俺の家に来たという設定なのに、飲み物の位置もコップの位置も把握していたら、明らかにおかしい。Weeの用意をしていた筑紫と佐久間と葵も不思議そうな眼を向けている。ただ、花咲だけは口元を押さえて必死に笑いを堪えていた。

「い、い、入れ歯を買おうと思うんだけどっ! どうかな!?」

 両手を顔の横で広げて、バックに花でも添えられそうな笑顔でそう言い切った。目鼻立ちが整っていて、透き通るような肌を持ち、街を歩けば誰もが振り返るような女の子が満面の笑みで言っていい台詞ではなかった。その衝撃的な言葉に一同は石化状態だったが、とうとう花咲は堪えきれずに吹き出していた。

 あんなに笑っている花咲を俺は初めて見たぞ。

「ちょ、ヒトハ何宣言だいそれはっ!?」

 葵が畳にごろんとひっくり返るほどに驚いている。

「ヒトハちゃん歯槽膿漏しそうのうろう!?」

 筑紫も思いもよらない一葉の発言に眼を剥く。

 それよりもお前が歯槽膿漏なんて言葉を知っていることに眼を剥くよ。

「俺は歯槽膿漏な碧原でも一向に構わない……」

 佐久間も俯いて何か呟いていたがよく聞き取れなかった。

 もう一度一葉に眼を移すと、爆発しそうなくらいに顔を真っ赤にして固まっていた。

「ヒ、ヒトハ……ギャグ、だよな……?」

 完全に大怪我をしている一葉に、俺は口角をひくつかせながら言う。

「…………っ! そそそそうそう!! ギャグ! 一発ギャグだよ? ちょっと高度なギャグすぎて伝わらなかったかも! あはは……」

 色んな意味で高度すぎるぞ。

「なんだよービックリさせないでよヒトハ〜。ふがふが言ってるヒトハなんて見たくないよ〜?」

「ご、ごめんごめん! そ、それよりさ! 昨日妹たちと遊園地に行ったんだっ! はいこれ、皆にお土産でーすっ」

 ごまかすように置いてあったウッキーの袋から、ブーさんの顔を模った菓子箱を取り出して、テーブルの上に置いた。

「ええ!? NSJに行ったの!? ヒトハずるずるー!」

 葵がぽかぽかと一葉の腕を叩く。

「えへへ、葵も今度一緒にいこうね〜」

 ちょっと申し訳なさそうに苦笑いをする一葉。

「それで、草野くんは?」

 突然、先程まで笑っているだけだった花咲が俺の顔をジーッと眺めながら言った。一体何を考えているか読めない黒い水晶が俺を写している。

 ちなみに花咲は随分とラフな格好で、Tシャツに白いフリースを羽織り、下は部屋着のようなスウェットだ。エキストラをしていた時の綺麗な服装とはまるで正反対な質素なものだ。まるで近くのコンビニに軽い買い物をしに行くような。

「な、何がだ?」

「草野くんは渡すもの、ないの?」

 少し首を傾げながら、妖艶な微笑を漏らす花咲。

 まさか俺にもお土産があると思っているのか!? くそ、謀ったな!

「べ、別に……ね、ねぇよ。何も」

「あら、どうして?」

 花咲の問い詰める様に、先程までの一葉への視線は一気に俺へと集まる。

「ハルキもどっか遊びに行ったのか?」

 佐久間がゲームのセッティングをしながら問い掛けてくる。

「アホだな佐久間は〜。あのハルっちゃんが遠出なんかするわけないじゃ〜ん!」

 俺が答える前に、筑紫が佐久間の肩に腕を回して言う。

 引きこもりみたいに言わないで欲しいが、今回ばかりはナイスアシストだぞ筑紫!

「そ、そうそう! ほ、ほら俺のことよりも、そのお菓子食っておけよ!」

 強引に矛先をお菓子の方へ向ける。花咲には遠回しにこれが一葉との共同のお土産だよと言わんばかりに背中を押してやる。

「ち、ちょっと押さないで……」

「いいからいいから! まぁとりあえずゲームを始めようぜ!」

 このままでは話が脱線して一向にゲームが始まらないので、菓子と飲み物を乗せたテーブルも端にやって、佐久間が用意し終えたWeeの電源スイッチを押した。ソフトはWeeスポーツとかいう六種類くらいのスポーツが体感プレイできるものだ。以前筑紫と佐久間とでやったきりだったのでディスクは本体に吸い込まれっぱなしである。画面にでかでかとWeeのロゴが表示された後、四つのコントローラーが反応して、それぞれ色違いの人差し指だけ立てた手袋が現れた。

「こう、画面に向かってコントローラーを動かすとそれぞれの手袋がその通りに反応するんだ」

 初見の女子三人が不思議そうな面持ちでコントローラーを動かしている。

「わぁ、なにこれすご〜い!」

「お〜お〜うごくうごく〜!」

「画期的ね」

 まだメニュー画面なのに腕を振るうだけで思い通りに動く手袋に、三人は眼を光らせながら感動している。そんな美人トリオを尻目に、影でなにやらこそこそしている二人組の姿が。

「……お前ら何してんの?」

「あ〜いいからいいからハルっちゃんは早くテニスのとこまで進めて進めて!」

 筑紫は野良犬を追い払う仕種でにやにやと笑う。

 あいつがあの顔をするときは大体がろくなことじゃないんだよな。

 仕方なく今だに手袋を振り回している三人の残念そうな声を聞き流しながら、Weeスポーツへと進むアイコンを押した。アバターである一頭身のキャラ達が、様々なスポーツに講じる賑やかなオープニングが始まり、女子三人、特に葵のテンションは最高潮に達している。

「おおお! やばいよやばいよ! わくわくがとまらないよっ!」

「その前に面倒臭いけど、自分のアバターを作ってもらうぞ」

「アバター?」

 そう、このゲームは自分そっくりのアバターを体感的にゲーム内で動かせる所に面白さがあるのだ。まさに自分がゲーム内に入ってしまったような錯覚。

「ちなみに、これが俺達」

 俺は以前作った俺と筑紫と佐久間のアバターを見せてやる。

「……っぷ。ハルキそっくり……」

「そうね。この死んだ魚のようなやる気のやの字も見つけられない覇気のない眼の辺りなんか特にね」

「それ要するに死人の眼だよね!?」

 花咲俺のことそんな風に思ってたのかよ!?

「筑紫クンも黒淵メガネとか金髪とかそっくりだねっ! ……う〜ん、けど佐久間クンは……」

「そうなんだよ。このアバターは顔が整っている奴ほど何故か地味になっちまうんだよな〜」

 佐久間め、いい気味だ。

「でも自分の顔をこんなにそっくりに作れるものなの?」

「いや、他人に作らせると案外似るもんだ。前も俺ら三人ローテーションで作ったから、花咲たちもローテーションして作ってみたらどうだ?」

「じゃあ私はカホの顔つくるから、カホはアオイ、アオイは私でどうかな?」

 一葉がそう提案して、二人は特に反対することもなく頷いた。

 本当に仲良いんだな。さて、しばらくアバター作りに時間が掛かるだろうし、怪しい馬鹿二人組に喝を入れるとしますか。

「なーに企んでんだ?」

 部屋の隅で丸くなっている二人の背中越しから覗き込む。それにしても佐久間もこそこそしているなんて珍しいな。

「……しょうがないなハルっちゃん。知りたくて鼻血でちゃう〜って顔してるから教えてやろう!」

 どんな顔だ。

「テニスは四人でやるならもちろんダブルスだろ?」

「まぁそうだな」

「なら絶対に欠かせないのはペア決めだ」

「んなもん適当でいいじゃねえか」

「たわけっ!?」

 俺の脳天にチョップが落ちる。

「いてーな!? なんだよ!?」

「ハルっちゃんはなぁ―――――――――んもわかっちょらん!」

 どんだけ溜めるんだ。あと語尾がおかしい。

「前にファミレスでボーイズトークしただろう!?」

「ボーイズトークとか言うな」

「だから細工をするんだよ、ペア決めのくじに!」

 だからはどこに繋がっているんだ?

「どうやって?」

「それは任せておいてくれ。必ずや希望通りのペアにしてしんぜよう。なぁ佐久間?」

 筑紫が佐久間に声を掛けると同時に、俺も佐久間に眼を向ける。先程から黙っている佐久間は顔を赤らめながらコクコクと二回大きく頷いた。

「なるほどね……」

 どうやら佐久間は一葉とペアを組みたいらしい。

 

 ――じゃあ碧原のこと、本気になっていいんだな?

 

 ファミレスじゃ確かそんな事を言っていたっけ。それで、俺もしぶしぶ手伝うとかなんとか言ったような気がするなぁ。あの時は何故かそう言うのを躊躇したんだよな。

「……佐久間おまえ、何でヒトハなの?」

 頭が考えるより先に口に出していた。佐久間は俺の言葉に少し逡巡するように眼を伏せて、

「それは内緒だな」

 とだけ答えた。その答えに少し腹が立って、何か言おうとしたが筑紫がそれに被せるように言った。

「まぁとにかく、俺に任せておけって!」

 

 

 ◇◇◇

 

 

 暫く一葉たちのアバター作成画面に見とれながら、一葉のお土産菓子(実質的には俺も含まれる)に手をつける。

「でーきたっ!」

 最後に葵が高らかに宣言して、決定ボタンを押した。

「おいおい、マジかよ……」

 新たに追加された三人のアバターは、それはもう可愛く作成されていた。

「そっくりじゃん! アバター侮るがたし!」

 筑紫がアバター美人トリオを眺めながら感嘆の声を漏らす。それもその筈だ。俺の予想でも、三人が美人すぎてどれも特徴のないアバターができてしまうのではないかと踏んでいたが、どうだろうこの光を宿さんばかりの可愛らしい特徴のあるアバターたちは。

 一葉は自慢の長い栗色髪と誰よりも強調している瞳。葵は髪のサイドの跳ね具合と青い髪留め、それに猫のような口。花咲は胸元で少し巻いた髪と切れ長な奥二重が、それぞれいい具合にパーツとして成されていて、一目見ただけで誰が誰だかわかるほどだ。

 ていうか男とパーツの数が違いすぎるだろ!? 男よりも妙に各パーツがリアルだし! なんでこんな所で男女差別!? 漫画家の絵と教科書の落書きくらいの差があるだろこれ。

「よぉーし! アバターも完成したことだし、ダブルスのペア決めタイムだぜ!」

 俺がパーツの理不尽さについてクレームを述べていると、六本の割り箸を片手に筑紫が高らかに前に出る。

「おおお! いいねいいねこういうのっ! 青春だねぇ〜!」

 葵も直ぐさま割り箸に眼を移す。

「お、じゃあ引いてもいいか?」

「うつけっ!?」

 俺が割り箸に手を伸ばすと、筑紫のローキックが脛に入った。

「〜〜〜〜〜〜ッ!?!?」

「レディファーストに決まっておろうがっ!」

 そりゃそうだ。うつけと言われても仕方がない。しかし脛が痛い。それよりも筑紫は一体どういうキャラを目指しているのだろう。

「じゃあ筑紫クン引いていいのかいっ?」

「オッケー! じゃあアオイちゃん、一番バッターいっちゃって〜!」

 筑紫はそう言って、葵の前に割り箸の山を差し出す。猫のような口をアヒルのように尖らせて、割り箸の上で選ぶ手を旋回させた後、その中の一本を選び抜いた。

「えっとぉ……二番だねっ!」

「オッケー、じゃあ次はどっち?」

 筑紫はマイクを向けるように割り箸を一葉と花咲の前でさ迷わせる。

「カホ先引いていいよ〜」

「そう? じゃあ私が……」

 花咲は迷いなく一本を引き抜いた。

「一番ね」

「はいよ〜! あとはヒトハちゃんだ!」

 一葉も左手の人差し指を下唇に持ってきて、右手は割り箸の前でうろうろしている。この仕種と表情が俺の中の可愛いランキングの残りの一つだ。

「うーん……これっ!」

 すっと一本を抜き取って、取った割り箸を裏返して番号を確認。

「あ、私は三番だ〜」

「あらら、あたしたち皆ばらばらだね〜」

「そうね」

 ペアが分かれたことで残念そうな表情を浮かべる一葉たち。

 それにしても筑紫の奴、侮れん。普通に引かせているように見せて、見事に全員分けたな。

「よし女性陣はおっけーだな! んじゃ次は俺達男どもだぜ!」

 ほれと俺の前に割り箸が向けられる。え……マジでこれ引くだけなのか?

「……大丈夫だ。心配いらない」

 訝しげな視線を送っていた俺に、筑紫は囁くような声でにやりと笑った。

 おお、何か一流マジシャンのような余裕の笑みだ。何か格好良く見えるぞ。筑紫のくせに。

 俺は安心して残り三本の中の一本を引き抜いた。

「んっと……一だな。……って一!?」

「あら、草野くんとね」

 花咲は妖艶な笑みをくれて、俺の隣についた。

 ぐわしまった! てっきり葵とになると思ったら、筑紫のやつが葵狙いだったんだ! くっそーすっかり忘れていた!

「ふふ、よろしくね草野くん」

 俺のすぐ横で、読めない瞳が揺れた。

 うー、一体何を言われるか……。また何か企んでるんじゃないだろうな。

「お、おう……。よろしく……な」

 自分でも顔が引き攣っているのがわかる。それに気づいてか、花咲はくすくすと可笑しそうに喉を鳴らしている。居た堪れなくなって一葉に眼を移すと、何やら頬を膨らませて睨んでいるような……。もしかしたら一葉も花咲には色々バレてしまっていることに気づいているのかもしれない。それでバレないか心配しているのだろうか。だ、大丈夫だ一葉。俺はボロは出さない。たぶん出さないと思う。出さないんじゃないかな。ま、ちょっと覚悟しておけ。

「ほれ佐久間も!」

 妙な宣言を心に決めている間に、筑紫は佐久間にも割り箸を差し出す。残りは2本、一葉のペアを獲得する確率は50%。いや、筑紫が仕組んでいるらしいから100%かもな。でも筑紫だし、最後にこける可能性も……。

「こ、これだぁ!?」

 あまりにも演技臭い声をあげ、佐久間はまるで伝説の剣を引き抜くように割り箸を筑紫の手から抜いた。さては最後は相談済みだな。

「お、おおおおおお! さ、3だ! 3だぞぉぉぉ!」

 長年の宿敵に勝ったぞぉぉぉみたいに叫んで、ガッツポーズをしている佐久間。なんというか……非常に残念なイケメンである。見知らぬ女生徒全員にこの様子を見せて差し上げたいくらいだ。

「あ、あはは……。よろしくね、佐久間くん……」

「み、碧原! 共に優勝を勝ち取ろう!」

 一葉も佐久間のあまりのテンションに苦笑を浮かべている。多分こんなキャラだとは思ってなかったんだろうな。好きな女の子前にさらにいつもよりおかしくなっているようだし。

「アオイちゃん! 俺達も頑張っちゃおうぜ〜!」

「筑紫クン! やるからには勝とうじゃないかっ!」

 太陽と太陽が正面衝突したような筑紫と葵は、腕と腕をがっちり組んで、ペアの結束を深めている。どうやら更に明るい太陽光になるようだ。

「ふふ、面白くなりそう。ね、草野くん?」

「……そうですね」

 あなたが言うと、俺にとっては全く面白くないことが起きそうなんですよね。

 

 こうして、筑紫の完璧な細工によって、さも運命であったかのようにペアは決められた。くっそー筑紫め。後で種明かししてもらうぞ。ま、ちょっとだけ見直したけどな。

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