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視界に白い炎が辺りに燃え広がっている。
熱い。肌が今にも溶け落ちそうなほど熱い。
金属の足音が近付いてくる。燃え盛る炎の中から巨大なオートマトンが炎を諸共せず歩いている。
ルーデン言った通り、適う相手じゃない。
その時、巨大なオートマトンが上から落ちてきた物に押し潰された。
上から落ちてきた物破片が周囲に散らばり、僕の目の前にも散乱してきた。
硝子?
「ベル!!」
「ルーデン」
「無事だったか。さあこっちだ」
ルーデンが念動で体を支えてくれた。
通り過ぎる時、巨大なオートマトンはまだ動いていた。壊れている様子もない。
逃げ切れないかしれない。
「ルーデン、僕はもういいよ。一人で逃げて」
「たかが機械だ。戦うならまだしも逃げられない事はない。大丈夫だ」
Ⅲ 〘過去〙
いくつものドアを、いくつもの部屋を、抜けていき、ルーデンの言う通り無事に逃げ切れたみたいだった。
「はぁ〜もう大丈夫だろう」
「ありがとう。ルーデン。君がいなかったら今頃」
「貸しはいつか返してくれよな」
「ンフフ、分かった」
「ふ〜、タロスは撒いたが、急いだ方が良い」
「そうだね」少し休憩したかったが、先へ進む「それにしても出口がない」
「ああ、まるで迷路だ」
さっきから同じような部屋ばかり続いている。本当に出口はあるんだろうか。
先の方から異様な金属音が聞こえてくる。
そっと物陰から様子を伺う。
すると小型の蜘蛛型オートマトンが部屋に通っている配管を叩いていた。
「ワーカーだ。大丈夫だろう」
ルーデンと一緒に部屋の中央を進んでいく。
多数のワーカー達があちこちにいる。
オートマトンワーカー達はこちらを一切見る事なく配管を修理して続けている。
目の前にワーカーが一体来たが、こっちをまったく見ずに通り過ぎていった。
ワーカー達がいた部屋を抜けるとようやく上り坂になっている通路に出た。
ルーデンが先に行き、パネルをいじっている。
「このエレベーターは壊れているな」
「この地面が動くの?」
「ああ、このまま斜めに上っていくんだ。しかしこんな深いとは」
「確かに上が見えないね」
「途中で力尽きた時、休める場所があればいいが」
「まさかこれを上がるの?」
「それしかないだろう」
左右にもトンネルのような通路が伸びていた。
「そうだね」
「有翼が使えるかやってみてくれ」
「感覚が分からないと無理だよ」
「そうだったな。じゃあホバーはどうだ?」
「念動で自身を浮かせるような感じだ」
「ああ! 浮いた!」
「そのまま上がれるか?」
「うん! 大丈夫」
「ホバーを扱えるんだな良かった」
「でもこの距離はきついかも」
「きつくなる前に休める場所を探すしかない」
ルーデンが登っていく。
僕も後に続く。
まるで全力疾走しているような感じだ。
あまり長く持ちそうにはない。
暫く登った所で。
「ベル、ここに休める場所があるぞ」
「はぁ…オッケー…」
ルーデンが剥き出しになっている壊れた配管に入って行く。
思ったより疲れる。でもまだほんの少ししか登ってない感じ。
「大丈夫か?」
「少し休めば大丈夫。ルーデンは疲れないの?」
「正直、戦いの後だと堪える」
「僕の休憩は足手まといになってないみたいだね」
「まあな」
ルーデンが入口を見つめる。
「どうしたの?」
「何かいる」
壊れた隙間から目を凝らすと、何かが大量に飛んでいた。
「羽が生えたルーデン?」
「見えなくもない。チョンチョンかもしれないな」
「蝙蝠じゃなくて?」
「蝙蝠はあんな動きしないさ」
「そのチョンチョンはまずいの?」
「大した事ない。だが奴らは魔力に引き寄せられるんだ。そして魔力を吸い取っていく」
「手強い?」
「いいや。だが登っている最中にあの量を相手にするんだ。想像しただけでも鬱陶しい」
「確かにね。何か良い方法はある?」
「あまり。隠匿で魔力を見えなくしたとしても、音でバレるだろう。我が敵を引き付ける。その隙に出来るだけ上がるんだ」
「囮になるって?」
「死にはしない。任せろ」
「分かった。気を付けてね」
「先に行く」
ルーデンが配管から出ると上部を飛び回っていたチョンチョンの群れ目掛けて大きな赤い火球を放った。
チョンチョン達の甲高い悲鳴が聞こえてくる。
すぐさま無数のチョンチョン達の羽ばたく音が聞こえ、黒い集団がルーデンを追い掛け下へと降りていった。
チョンチョン達が通り過ぎた後に僕が配管から出ると、上手くルーデンの方に誘導されていた。
チョンチョン達が戻って来る前に上へと登っていく。




