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静かに向かう。
「上手くいくといいが」
「本当に向こうからは見えなくなったの?」
「いいや、工学はさっぱりだからな。どう映っているのか想像もつかない。だから出来る限りってところだ。行くぞ」
「待って、もし見つかって戦う事になったらどうするの?」
「あのタロスは今まで見たことがないほど精巧な造りをしている。戦わず逃げるんだ。でももし戦う事になったら、頭と胸と背に其々あるコアを全て破壊して停止さるしかない。我が先に行く。ついてくるんだ」
「分かった」
絶対見つからないようにしないと。
ルーデンの後をなぞるように追っていく。
オートマトンが反対を向いた隙に、ルーデンが仕切りと仕切りの間を急いで抜けた。
オートマトンがまた周囲を見回している。ルーデンは抜けた先で待ってくれていた。
オートマトンの正面の視界に入らないようにタイミングを見計らい、急いで通り抜ける。
出だしは上手く切り抜けられたみたい。
ルーデンと顔を合わせ、互いに静かに頷く。
再び先導するルーデンの後を追う。
いくつかの仕切りを無事抜けていく。
出口のドアに近づいた所で浮遊している大きなオートマトンの目玉と目が合う。
浮遊する大きな目玉が汽笛音を上げる。
ルーデンが素早く浮遊する目玉を念動で壁へと弾き飛ばし衝突させる。
「急げ!!」ルーデンが念動でドアを押し開く。
「まずい……」
「伏せろ!!」
ルーデンに言われるがままその場に伏せる。
ジーという凄まじい音と共に、仕切りの壁上半分が落ちてくる。
すぐさま落下してくる壁を避ける。
巨大なオートマトンと目が合うと警戒音のような音を鳴らし、両目からレーザーを放ってくる。
壊れていない仕切りに次々と移動しレーザーを避けて行くが、レーザーは仕切りの壁をズタズタに切り裂き破壊していく。
やばいやばい、これはやばい。
巨大なオートマトンに崩れた仕切りの壁が激突した。
「今だこっちに!!」
ルーデンの元へ急ぐ。
ルーデンが念動で次々と、崩れ落ちた破片を巨大なオートマトンへとぶつけてくれていた。
無事にドアに辿り着きルーデンがドアを閉める。
「はぁ…はぁ…ありがとう」
「まだ終わってない! ベル、その刻印を押し」
ジー。
一瞬ルーデンと目を合わせた後、すぐさまドアの横へと飛び逃げる。ルーデンも僕の反対側の方へと逃げた。
僕達が避けたすぐ後にドアが爆発音と共に粉々に吹き飛んでいく。
「ルーデン、刻印はど……」
吹き飛んだドアの方へと僅かに顔を向けた瞬間、白い炎が吹き込んできた。
「あぁ!!??」あまりの熱さに咄嗟に障壁を張ったが、一瞬で障壁がドロドロに溶け弾け飛んでしまった。「熱い熱い熱い熱い!!!!」座ったまま壁に背を付け、じっとしていても猛烈な熱が伝わってくる。
このおびただしい程の威力を持った炎は、柱や壁に当たると、まるで飴のように表面を溶かしていった。
遠ざかろうした最中、壁に手を付いたとき偶然にも刻印に手が触れた。
ドアの合った位置に壁が上から降りてくる。
金属の足音が聞こえてくる。
下りる壁を片手で押さえ、こちらへ顔を出してくるオートマトン。
オートマトンと目が合った。オートマトンの両目が赤く光り……。
オートマトンの頭部が壁に押し潰され、レーザーは放たれなかった。
ルーデンが念動を壁に放っていた。
僕も感覚を頼りに加勢する。
オートマトンの頭部は完全に押し潰される事はなく、挟まっている程度だった。
ガタガタと音を立てるオートマトン。
一瞬で壁が地面に落ち、無事に塞がった。
オートマトンが頭部を引っ込めたようだ。
「大丈夫かベル?」反対側から叫んでいるルーデン。
「はぁ〜、何とか」
「よし……今の内に先に……」
凄まじい破裂音と共に、石の崩れる音が鳴り響く。
僕の頭の中には鐘の音が鳴り響き、目の前の視界は粉塵に覆われていた。
「ゲホッ! ゲホッ! ル、ルーデン!!」
粉塵中に巨大な影。こちらを向くと二つの赤く光る両目が見えた。
ジー。
やばい!!
すぐさま走り逃げる。
元いた場所にレーザーが通り、地面を激しく抉り、地面の砕けた破片が吹き飛んできた。
息つく暇なく逃げる。
レーザーが後を追ってくる。
ゴン! ゴン! という何かの音の後、ヒューという音が上から聞こえてくる。音は次第に音は大きくなり……。
急いで逃げる。とにかく逃げる。
上から降ってきた物が地面に衝突すると爆発し、周囲一帯を吹き飛ばしてしまった。
障壁を張ったが意味がなく、障壁ごと爆風で吹き飛ばされてしまった。
気が付くと地面にうつ伏せで倒れていた。




