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「スタイルの良い方ですね」
「エルフがまだいたのか」ルーデンが目を細めエルフの女性を見ている。
エルフの女性の側近くの茂みから誰かが出てきた。
体格が良く、銀色の頑丈そうな鎧に身をを包んだドワーフのような種族だった。
「もう一人誰かいるみたい」
「ドワーフのようだが、我の知っているドワーフとは違うな」
「恐らくあの者は他種族の遺伝子が混ざっているのでしょう。オークが有力そうですね」
「そういう知識に詳しいんだ」
「不思議ですね。そういう目的での助手として作られたのかもしれません」
「僕はまだ自分の顔を見た事ないんだけど、何の種族なの?」
「二つの青い目に、大きな二つの耳。そして毛むくじゃらの体。間違いなく創造主様と同類の種族であるフェネックで間違いないですね。つまりお二人の言うブラッカスで間違いないかと」
「僕、獣人だったの?」
「知らなかったとは初耳だ」
「聞かれなかったからね」
「ンフフ」ルーデンがやれやれといった感じで、軽く顔を左右に振った。
ドワーフの男性が剣と盾を使って次々とオートマトン達を倒していっていた。
盾にオートマトン達のボルトが刺さっているが、貫通はしていないみたい。
オートマトン達の射撃に堪える様子もなく次々と倒していっている。
エルフの女性とのチームワークは見事で、お互いに上手くカバーし合いながらも、オートマトン達の攻撃を上手く避け、戦い続けている。
オートマトン達の中には剣と盾を取り出し、ドワーフの男性に立ち向かっていく姿もあった。
オートマトン達の剣はかなり細く鋭い。盾もドワーフの男性の四角く大きい盾と異なり、小さく丸い盾だった。
あれじゃあ無理っぽいけど。
そう思った次の瞬間。ドワーフの男性の持つ盾の右上をオートマトンの剣が貫いた。ボルトでは貫けなかった分厚い盾を簡単に突き通していた。
だけど、オートマトンは刺さった剣を持ったまま振り回され、腕が壊れて離れると悲鳴を上げながら吹っ飛んでいった。
オートマトン達が全部倒されたみたい。
「あぁ!全員やられた。でもこれで私が指揮官だ」蔓に覆われ身動きの取れないオートマトンに二人が近付いていく。
「今が逃げるチャンスかも」
「いいやベル。情報を得るチャンスだ」
「でもルーデン、待っ!」
ルーデンが魔法を解くと、生い茂る木々から音を立て、荒々しく出ていってしまった。
僕の魔法も同時に効果が切れた。
「おいイセリア。本当に大丈夫か?」
「大丈夫よ。それよりちゃんと見張っておいて」
「ああ」ドワーフの男性は腕に付けた装置を弄っている」「オートマトンの反応がまだある」
「こいつでしょ」イセリアという女性はこっちに背を向けたままだ。
「あっ!? 何かいる! ぞ……ド、ドラゴン……」
「なにっ!? ドラゴン!? ああ、ユピテルよ。なんて事」
エルフの女性は見た目の強そうな印象とは異なり、透き通るような声をしていた。ドワーフの男性は想像通り、いかにも戦士らしい声だった。
そんな二人がこっちを向いて驚愕している。しかし武器はちゃんと構えている。
「取り敢えず、僕達は敵じゃあないよ」
二人が僕をじっと見てくる。
「あんたはまさか……アークディラ!?」
「か、可愛い……」
でもエルフの女性の方からはドワーフの男性と違った視線を強く感じる。
ドワーフの男性が一歩前に出てきた。
「それであんた達は……」
その時、後方から凄まじい爆発が聞こえ、破片が飛んできた。
透かさず、障壁を張り破片を防ぐ。
「ベル大丈夫か?」
「うん! あれ? タリは?」
「ここです!」
爆発に驚いて茂みから飛び出したであろうタリが片足を飛んできた破片に潰されていた。
急いでタリの元へ向かう。
「いま助けるよ」
「ベル様、後ろ……」
ドワーフの男性が無表情に近い顔で僕に剣先を向けていた。
「何をしている?」
「見れば分かるでしょ。助けようとしてる」
「剣をしまえドワーフ。後悔するぞ」
ルーデンが怖い顔でドワーフの男性の後ろに立ちはだかっていた。
「ちょっとセタン! そんな事してる場合じゃないでしょ! あれを見なさいよ!」
聞きたくなかった。そう、聞きたくなかったあの汽笛音が聞こえてくる。
以前も聞いたゴン、ゴンという音。そして上空から聞こえてくるあの音。
「みんな逃げないと!!」
両手から念動を放ちタリの足を潰していた破片を退け投げ捨てる。
ルーデンが念動で僕達四人を掴むと、そのまま翼で羽ばたき後方へ勢い良く飛んだ。
僕達はルーデンに引き寄せられるように後方へ吸い込まれるように下がった。




