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帰還教師、またもやサボる



「――さて、今日の授業は休講だ。」


ジークが教壇に立つなりそう言った。

生徒たち全員「はあああっ!?」と叫ぶ。


「先生! 一ヶ月ぶりの授業ですよ!?」

リナが机を叩く。


「お前ら、俺がいない間にちょっと真面目になりすぎた。

 反動で休む時間が必要だろ。」


「そんな理由あるかー!!」


レオンが頭を抱える中、

アリシアは笑いながら手を上げる。

「先生、サボる前に一つ質問をいいですか?」


「なんだ。」


「北の戦場で……何があったんです?」


教室の空気が静まる。

ジークは少しだけ目を細めた。


「……あの土地は、“英雄”を喰う世界だった。

 正義も理想も、全部、戦いの中で溶ける。

 でもな――」


彼はゆっくりと教壇に腰を下ろした。

「生きて帰ってきた時、お前らの顔が浮かんだ。

 それだけで十分だった。」


その言葉に、生徒たちは息を呑む。


「……先生。」

リナが涙をこらえながら微笑む。


「ま、感動話はここまでだ。」

ジークはあくびをひとつして立ち上がる。


「明日は“再試練の日”だ。お前らの実力を確かめる。」


「え!? いきなり!?」

「戦場帰りの人が言う台詞じゃない!!」


ジークは口の端を吊り上げて言った。


「容赦はしねぇぞ。」


---


翌日。

訓練場は、まるで嵐のような熱気に包まれていた。


ジーク対クラス全員。


開始の合図と同時に、レオンが剣を振り下ろす。

アリシアの詠唱が重なり、リナが後方支援に回る。


――だが。


ジークの動きは、まるで風そのものだった。

魔法を抜け、剣を受け流し、反撃の一撃で全員を地面に叩きつける。


「まだまだ足りねぇ。」


「くっ……前より速い!」

「なんで休養明けでそんなに元気なんですか!?」


「寝たからな。」


「理由ぉぉぉ!!」


---


一時間後。


全員が地面に転がり、息を切らしていた。

ジークは空を見上げ、肩をすくめる。


「ま、悪くねぇ。

 生きる力ってのは、才能より“折れねぇこと”だ。」


生徒たちは笑いながらうなずく。

「先生、それ……名言っぽいけど、サボるための言い訳ですよね?」


「バレたか。」


リナが笑いながら叫ぶ。

「もう、しょうがない先生だなぁ!」


ジークは小さく笑い、風に吹かれながら言った。


「ま、明日はちゃんと授業する。」


「本当ですか?」

「……たぶんな。」


「たぶんて言ったー!!!」



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