表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
23/24

海岸告白

栄太もキャリーバッグにつまった辞書類を見ると驚き、そして笑っていた。

ピザを平らげた後、栄太も加わって再び勉強会は始まる。

基本的にはみんな自分が思うがままに勉強して、わからないところがあると俺に聞く、という流れだ。


そんなことを続けていると気が付いたときには午後八時を回っていた。

「あんたたち、そろそろ帰ったら? ウチもう閉めたいんだけど」

理恵さんが不満を述べる。

結局コーヒーもあれから2回注文した。

一杯350円だったが、ご好意で一人1000円。

「まぁ芽衣がまじめに勉強してる姿なんて初めてみたしね。見物料分は引いとくわ」

「なんすかそれは!」

文句を言いながらしかし仲がいいのは見て分かる。

「理恵さんって芽衣さんと知り合いなのですが?」

気になって留美さんに聞いてみた。

「ん、そうだなぁ? なんていうかお姉さん、みたいなものかな?」

「お姉さん?」

「芽衣は小さい頃からずっと遊びに来てて。ほとんど姉妹みたいなものかも」

――確かに姉妹に見えなくもない

そんな感じを受けるほどに二人の作り出す空気は心地よいものになっていた。


ドアをくぐり、店の前で輪を作る。

空はすっかり暗くなっていたが、商店街はまだ店の明かりで照らされ、多くの人が歩いていた。

「っしゃ、随分勉強になったなぁ! いやマジで!」

そう言って芽衣さんは笑いかけてくる。

「ホント助かったよ、ありがと色くん」

「私も。ありがとう」

留美さんも続けていう。

その横で彩姫さんはうなずいていた。

「栄太、あんたは?」

黙っていた栄太に向かって芽衣さんが問いかける。

「ん。あぁ助かったよ、授業内容理解できたし。……あ、でも後で今日お前が使ってたノート、貸してくれよ」

「あ、はい。いいですよ」

「ホント? サンキュー!」

その会話を聞いて芽衣さんも食いつく!

「あぁ、ずるい! 私もあれ欲しい!」

「あ? 分かったよ、後でお前の分もコピーしてやる」

めんどくさそうにいう栄太に、留美さんも話しかけた。

「あの、出来れば私も……」

「――ん、あぁわかった」

その対応に芽衣さんがご立腹

「何よ、私と随分対応が違うわね」

「お前は、なんかめんどくさいから」

「はぁ?」

表情一つ変えない栄太に芽衣さんがヤンヤンと文句を言い出した。

――仲、いいんだな

「ごめんね、色くんのノート、丁寧でまとまってたから」

「いえ、構いません」

「ん、ありがとう」

留美さんは丁寧に頭を下げた。



そんなくだらないやりとりの後、不意に芽衣さんが話しをした。

「ねぇ、明日の予定はなにかある?」

留美さんは少し考えてから

「多分大丈夫よ」

「私も」

「あぁ」

三人が返事をする。

「えっと、何も」

「よしっ、決定!」

――何が?

「明日遊びに行こうよ!」

「どこにだ?」

栄太の問いかけに、少し悩んでから

「そうねぇ……じゃあ海!」




次の日、当たり前のように5人で海岸まで出てきていた。

海に面しているのはこの町ではなくて実は隣町なのだそうだ。

つまり厳密にはここは九坂町ではない、とのことだ。

栄太につれられてきた場所にはところどころに釣りをする人の姿が見える。

「っしゃあ! 遊ぶぞぉ!」

「うん、頑張ってね芽衣」

留美さんは海岸にある少し大きな石に腰掛けて本を読み始めた。

「こら、留美! せっかく海岸まで来たのに! 空気読め!」

「楽しみ方は人それぞれ、でしょ? 芽衣こそ相手の気持ちを察しなさい」

少し大きな帽子を手で押さえながら微笑んだ。

同時にもう一方の指先が一人で遠くへ歩いていく彩姫を指差す。

彼女は、スケッチブックを持ってどこかへいってしまう。

「ぐっ、そりゃそうだけど……!」

彼女たちに少し不満そうな顔をする。

――が、特にそこにこだわることなく、こちらへとその視線を向けた。

「色くん、栄太! 二人は私に付き合うわよね?」

そういいながら指差した先に、釣具レンタル可、と書かれた小屋がある。



「勝負!」



釣り、初めてだった。

生きたミミズ、ではなくゴカイというらしいそれを釣り針へつけて海へと投げいれる。

栄太が教えてくれたが自分ではうまく釣り針に餌をつけることすら出来なかった。

「まぁ慣れだよ、こんなのは」

「昔からよくやってたんですか?」

「んー、そうだな。ガキの時はルアーでバス釣るほうが多かったかな?」

バス、とはブラックバスという魚らしい。

こういうことは知らないことだらけで、昨日とは立場が逆転している。

「ただ芽衣とくると勝負になることが多くてな」

「何やってんの栄太! どっちが多く釣るか勝負だろ!」

「……な?」

釣竿を振り回しながら芽衣さんが呼んでいる。

「まぁ、行こうぜ。基本は海に投げたら後は待つだけだから楽だって」

そう言って立ち上がる。

「それに、コレお前に対するあいつなりの感謝なんだろうし。全然空気は読めてないけどな」

「えっ?」

言葉をさえぎるように差し出された栄太の手。

つかまり立ち上がると、セッティングの完了した竿を手に海へと向かった。

後は、投げ方だな。

リールの押さえ方、投げ方、一通り教わった。

実戦あるのみ。

「テヤッ!」

ガシャン!

「――あれ?」

「色、リールのロック外し忘れたろ?」

「……あ!」

ただ釣り針を振り回しただけになっていた。

結果その先についていたはずのゴカイだけが空を舞い、海の中へと消えていく。

「――まぁ最初はみんなやるでしょ!」

芽衣さんがまぶしいほどの笑顔を見せた後、海に向けて仕掛けを放つ。

栄太はもう一度俺の釣り針にゴカイを付けてくれる。

2度目のトライはちゃんと成功した。

栄太はそれを横で確認した後に少し距離をとって自身も釣りを始めた。




「ぐぅ!」

1時間後、栄太は4匹目を釣り上げた。

その姿に対して悔しそうに芽衣さんが唸る。

「――芽衣、お前今何匹だよ?」

不敵に笑う栄太にさらに不満を膨らませる。

――と、彼女の竿にひきらしきものがあった。

「――っ! しゃあ! ここからよ!」

嬉しそうに竿を引き上げる。


「ゲッ!」


釣りあがってきた魚に驚いた声をあげた芽衣さん。

続けて栄太も渋い顔をする。


「――チッ、オコゼか!」


オコゼ、と呼ばれたその魚は見た目はつぶれたような顔と鋭い背びれを持っている。


「なんですか、これ……」

「近づくな!」

少し手を伸ばしかけた俺を栄太が止める。

「いや、一応食えるし、うまいんだけど背びれに毒あるからさ」

「毒、ですか……」

危ない魚なんだ。

栄太は歩いて近くを散策し、投げ捨てられていた飲み物の紙パックを手に戻ってきた。

それを開いて、平らにする。

紙パックで体を押さえつけながら慎重に針をはずした。


「あ、ありがと」


釣ったのは芽衣さんだったがそこまで一歩も動かなかった。

外してくれた栄太にお礼を言う。


「別に」


それだけ言うとそのまま海に投げ返しす。


「あ、でも今のも一匹でいい?」

「――好きにしろよ」

「っしゃ、よし次だっ!」

そう言って再び釣り針にゴカイをつけた。



自分はあまり魚に好かれてはいないらしい。

まったくあたりらしいあたりは来なかった。

時々釣竿をあげてみろといわれてあげてみると、ゴカイだけいない時もあった。

「わりぃ、俺の付け方が悪かったかな?」

しかし栄太のせいでもなさそうだ。

彼はたくさん釣り上げている。

要するに、ついていないんだと思う。

「くそっ、また逃げられたぁ!」

もう一方では芽衣さんが生みに叫んでいる。


――ふと、ここにいない二人が気になった。


竿を上げる。

「どうした?」

栄太がこちらの様子を見て声をかけた。

「少し出かけます」

「そっか、了解」

特に内容を聞くでもなく、そう言った。

芽衣さんには……まぁ、言わなくてもいいだろう。

――というか、話しかけたら怒られそう。



竿などを軽くまとめてその場を後にした。



脇の階段から再び海岸へと降りる。

海岸では日陰に移動したのか、留美さんがまだ本を読んでいる。

「あれ? 色くん」

しおりをはせて本を閉じる。

「すみません、邪魔しましたか?」

「そんなことないよ。釣りはどうなった?」

「一匹もつれてないです。芽衣さんと栄太の二人は頑張ってますけど芽衣さんが苦戦してるみたいで」

「そっか。相変わらず仲がいいのね、あの二人。私も釣りは苦手で。釣れたこともほとんどないし」

そう言って笑う。

「釣れたこともあるんですか?」

「うん、あるよ。あの二人と付き合ってればそんな機会もあるよ。それで生まれて初めて釣ったのがね、タコなんだ」

「タコ?」

「うん、タコ」

「へぇ、つれるんですねこんなところで」

「釣れたっていうより、竿を上げたらたまたまひっかかっただけ、なんだけどね。そこから外すの大変で、ちょっとトラウマ」

話をしながら周囲を見渡す。

休日で散歩に来ている人もいるらしくそれなりに人の影があった。


「あの、彩姫さんは?」

「ん、あの子なら……」

と、指をさす。

それは海岸から海へと続くコンクリートの道。

波をさえぎるための桟橋の一番橋のほうにその影があった。

「まぁきっとスケッチでもしてるんじゃないかしら?」

――いつもスケッチブックを持ってきているのか。

「ちょっと、様子を見てきます」

「ん、そう。日差しが強いからあんまり日の下にいないほうがいいって言っておいて。シミになっちゃうよって」

彼女はそれだけ言うと再び本をひらき、しおりを左手の中指と薬指で外した。



桟橋を歩く。


途中に釣りをしている人が見えた。

――釣りなんて、都心では中央を走る鉄道の窓から見えた釣堀くらいでしか見たことない。

実際それを手にしたのは今日が初めてだったのでまだよくその魅力は理解していない。

――もしかして一匹でも釣れると楽しいのかな?


そんなことを思いながら邪魔をしないように奥へと向かう。

一番端っこにはその女の子しかいなかった。

「彩姫さん」

……やっぱり、スケッチ中の集中力は凄い。

声が届いていなかった。

もう一度、声をはる




「彩姫さん!」

「ほぇ!」

ビクッと肩を震わせて、こちらへ振り向いた。

「あれ、色くん?」

「何を、描いてたんですか?」

端っこに座る彼女の横に立つ。

「ちょうどね、あのへんを描いてたの」

そう言って鉛筆を海に突き出す。

その先には灯台らしき影と島があった。

「雰囲気がいいでしょ?」

確かに、絵になりそうな風景だった。

――風が吹く。

少し磯の香りがする。

よく考えたらこれほど海という景色に近づいたのは初めてかもしれない。

「とりあえず今度はこれをちゃんと絵にしようかなぁって」

「清書するんですか?」

「うん、明日部室に行こうかなって思う」

そういいながら再びえんぴつを手にした。


「あの、いつも絵を描いてるんですね?」


彼女の姿に、気が付いたら口が開いていた。


「えっ? うん。そうだよ」


「いつも、ですか?」

「んーと、あれ……なんだっけ、えっと……そう、プロバブリィ!」


――この町についたその日から今日まで彼女はいつでも絵を描いていたように思う。

どうしてそんなに……?

自分には理解は出来ないけど、画家の卵というのはこういうものなのか。


「色くん?」

「――えっ?」

「なんか難しい顔してる」

……そんな、顔をしてたのか?

「どうかしたの?」

どうもしてはいない。

ただ、彼女が分からない。

「どうして……絵を描くんですか?」


――どうして、勉強するの?

彼女の問いかけがよみがえる。


「どうして? どうして、って、困るんだけどなぁ」

彼女は手を止めて、空を見る。

うーん、と首をかしげながらしばらく考えて、それからこちらに振り返って笑顔でいう。


「単純に、好きだからだよ」

「好き?」

「うん、好き」


至極簡単な、あまりに純粋すぎる答えが返ってきた。


――この子は、こんなにも簡単にその問いに答えるんだな。


……自分は、自分の事を何も口に出来なかったのに。


「見て!」

そう言って目の前の風景を指差す。

今日は天気もよくて、波も穏やか。

時折沖を通る船が起こす波が数分後、足元で音を立てる。

自分は確かに初めてだったが、でもなんてことはない、海の風景。

「一期一会~! って気がしない?」

突然海に叫びだす彩姫さん

「――えっ?」

「この景色はね、きっと今だけのものから」

そう言ってこちらを見上げる。

「明日、同じように見えるかもしれないけど、でもやっぱりこの景色は明日は違うものになってるって思うの。だからこの景色、瞬間をどうにかして閉じ込めてしまいたいんだと思う」

まっすぐな瞳がこちらに向けられる。

「それが、絵?」

「そういうこと」

……言いたいことは、まぁなんとなく分からなくもない。

「――写真じゃなくて?」

「まぁ写真でも、きっといいのかもしれないけど、私にとっては写真じゃなくて絵だったってだけなのかな。絵にすると、その景色と一緒にね、私がその瞬間に感じてる気持ちも閉じ込められる気がしたから」

その言葉には不思議と力強さがあった。

表情にも普段の彼女らしからぬ鋭さがある

しかしすぐに崩れるように顔が緩む。

「――と、ちょっとカッコつけすぎだね」

そう言って笑顔を見せた。



どうしてこの子は、こんな笑顔を持っているんだろうか?



「――それで、将来は、どうするんですか?」



「えっ?」

「画家に、なりたいとかですか?」


これだけ絵を描き続けているのだ。

きっとそういったビジョンとかがあるのだろう。


でも、彼女から出てきたのは

「――んー、わからない」

「わからない?」

「うん、そんなのは……そんな先のことはわからない」

表情を変えずにそう言う。

「そういうことは考えてないんですか?」

「考えてないっていうか……考えられない、かな?」

少し苦笑しながら言う。

「でも、先のことなんて、よくわからないけど……」

そういいながら立ち上がる。

「今は、絵を描くのが好きだから」

「そう、ですか……」


――少し呆れた、先のことなど何も考えていないなんて。


そんな無責任なことができるなんて信じられない。

「――それで、いいんですか?」

「?」

「将来どうするか、とか。そういうことを考えなくて」

口にした言葉は、正論。

刹那不意に目の前の女の子を正論で攻め立てている罪悪感が自分を支配した。

「っ! ごめん、そんなこと……」

「――うん、そうだね。空くんの言うとおりだと思う」

少しうつむくようにしていう。

「わかるんだ、それも。でもね、私はやっぱり、今しかないんだ」

「……今しか?」

「うん、いまより大事なあしたなんて、私にはない」


……そんなの、呆れるほどに短絡的で快楽的で……


…………


…………



…………いや


本当にそうなのか?

彼女の言っていることは、決して……


好きなことを好きだとまっすぐ答えた彼女


自分の言っていたことは間違いなく正論だと思う。

でも、それは本当に俺の言葉だろうか?

「いい将来」「いい人生」

前にいた学園や塾で聞いた誰かの言葉でしか話を出来ていないんじゃないのか?


……俺は……



「……俺、は……」

「ん?」

「俺は、逆にそういうのはよく分からないです」

「…………」


彩姫さんは黙ってこちらを見据えていた。

すぐには言葉を返さない。


……それから少し間をおいて、不意に聞いてきた。

「色くんには好きなことはないの?」


――好きな、こと?


「……多分、ないです」

「無趣味ってことかな?」

「そうですね、そうだと思います」

「勉強は? 好きなことじゃないんだ?」

勉強が好き、か。

「……好きなこと、なんかじゃ……ない! ……と思う」

少しだけ語気が荒れたことに驚いた。

――そうだ、好きとか、そういうことではなくて

「ただ、父さんに勉強するように言われて、やってきただけで…………」

「……そうなんだ?」

黙りかけた自分に、彼女はあいづちを入れてくれる。

「だからきっとそれは、父さんのものであって、俺の何かじゃなくて……そんなの意味なくて……」

――そう、気が付いたら毎日の中に勉強があって、当たり前のようにそれはするものだと思ってきた。

だから、ご飯を食べる、風呂に入る、歯を磨く、そう言ったものと同列で、ただ当たり前にやってきただけ。

決してそれは自分の中から生まれたものじゃないんだ。



――そんなの、自分じゃない――



「でもね、それをやってきたのは色くんでしょう?」


「……えっ?」

「だからやっぱりそれは色くんのものだよ」

彩姫さんは長めのスカートを翻しくるりと回る。

「たとえ好きだと思っていなくても、私は凄いと思うよ。私にはできないことや知らないことたくさん持ってるんだし」

そう言って笑いかけてくれる。

それは、少しだけ嬉しくて、胸を締め付けて苦しかった。


――そう、たった一つの出来事で、簡単に迷ってしまうような自分の夢


「それにね、好きな事がないなんて、それ変だよ」

「――いや、でもそれは」

事実、そうなんだけど。

「だってそんなの、目の前にいくらでも転がってる。だから好きな事がないんじゃなくて、色くんが何かを好きになろうとしないだけ」


――好きに、なろうとしないだけ?


「結局自分の気持ち次第なんだよ、そーいうのは」


その一言を残して、彼女は再びその鉛筆で景色を写しとっていた。





「――さて、そろそろみんなのところに戻ろっかな」

そう言ってスケッチブックを閉じる。

一歩も動けず、彼女のスケッチをただ隣でずっと見ていた。

「……フフッ、でもよかった」

「――?」

「色くんのいろんな顔が見れたから」

「いろんな、顔?」

「色くん、いっつも表情硬かったから。でも今は、ぐっちゃぐちゃ」

「……ぐちゃぐちゃって」

「ん、言葉おかしいかな?」

…………でも。

「――まぁ、ぐちゃぐちゃかも」

「アハハ」

遠慮することなく、彼女は大きく笑った。

「それに、自分のこと、俺っていうんだ?」

「――えっ?」

「なんか、僕とか、そんな感じかと思ってたよ」





「あぁ、もう畜生!」

「――俺の勝ちでいい?」

「クッ!」

芽衣さんと栄太、二人の勝負は栄太の圧勝で終わったらしい。


芽衣さんはこちらに気が付き話しかける。

「あれ、どこ行ってたの?」

「いえ、ちょっと彩姫さんと話をしてました」

「彩姫と? ふーん……」

少し言葉を止めてマジマジとこちらを見る。

「……ねっ、彩姫との話するのって、面白いでしょ?」

「えっ?」

唐突に何を聞くのかと思ったら……

「……はい、そう思います」

「だよねー」

それだけ聞くとそれまでの拗ねた顔がウソのように、笑顔を咲かせた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ