初めて出会ったのは
国がとった政策。それは気軽に18歳以上の男女が出会える場所を提供することだった。
そして、私。月影天音は今日、誕生日を迎えて18歳になった。
この日は学校もお休みをしていいという決まりがあり、朝から張り切ってメイクをしていた。
なにせ、私は今まで女子校に通っていた。
だから《男の人》との面識が従兄弟くらいしかない。
どんな人がいるのか、どんな出会いがあるのか。とてもとても楽しみで仕方がなかった。
メイクをして、大好きなワンピースに着替えて、姿見を見る。
うん!今日の私もバッチリ!かわいい!
自室を出てリビングへ行くとママがお昼ご飯を用意していた
「あら、随分と張り切っちゃって」
と笑うママ。
にこにこと笑い返しながら
「私も今日から立派な大人なの!素敵な男の人、出会えるかなぁ。」
「うふふ、ママが18歳になった時のことを思い出すわ。好きな人を見つけることも大切だけど、天音のいう通り、素敵な人と出会えるといいわね。ね、パパ」
とデジタル書籍を開いているパパに話しかける。
昔は新聞というものがあったらしいけど今の時代にはもう全てがデジタル化されていた。
「あ、あぁ…ママとあったのも《インカウンター》だしな。あそこならなんの危険性もないだろう。楽しんで行っておいで」
と言葉では言ってるけどちょっぴり不安そうな表情のパパ。
「うん!楽しんでくる!その前にママのご飯食べてから…」
「いただきます。」
私の大好きなエッグベネディクトを作ってくれてたママ。ママの得意料理でもある
美味しい〜と舌鼓を打っているとママが
「ほら、そろそろ審査が始まる時間よ。早く食べて行ってらっしゃい」
と言ってくる。
ふと時計を見るともう11時を指していた。
「大変!急がなきゃ!」
と完食して食器を下げる。
鏡をチェックして
「じゃあ、ママ、パパ、行ってきます!」
と、初めての一歩を踏み出した。
インカウンターへ向かう途中、夢中で走ってた私は人とぶつかってしまい、尻餅をついた
「いたた…ごめんなさい」
と謝ると
「こちらこそ前を見てなくてごめんなさい。立てる?」
と優しい声をした男の人が手を伸ばしてきた。
胸がなんだか変な感じ…と思いつつ、伸ばされた手に手を重ねる
「あ、ありがとうございます…」
慣れていない男の人との会話。緊張する。
「僕が言えたことじゃないけど、前は気をつけてね。じゃあね」
と彼は去って行った。
素敵な人だったな…
また会ってお話ししてみたい…
彼もインカウンターに登録しているなら、また会えるかもしれない。
と思い、ワクワクしながら目的地のインターホンを鳴らした。