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ボクの母様は神の巫女で聖女様・カイの楽しい学生生活  作者: 安ころもっち


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23.初めての運動会 07


 4人5脚がついに始まる。


 スタート位置に着いたボクは緊張しながら深呼吸。

 予定通り左にはベアトリーチェちゃん、右にはシルヴァーナちゃんが真剣な顔で立っている。


 準備の為しゃがみ込み、シルヴァーナちゃんの足にハチマキを結ぶ。

 時折シルヴァーナちゃんが変な声を出すので手を止めるが、早く結んでと急かされるので急いで結び終える。ホッとため息をつくと、シルヴァーナちゃんの反対の足を結んでいるフェデリカちゃんの顔が見える。

 今日もシルヴァーナちゃんの足をスリスリしながらまた口元を緩ませている。彼女が何を考えているか理解できないのでちょっと怖い。


 気にしたら負けかな?そう思って立ち上がると、ベアトリーチェちゃんがボクの足をグッと掴むとものすごい速さでハチマキを結んでいた。痛くはないけどもう少し優しく結んでほしい。


「じゃ、じゃあ、行きますわよ!」

 そう言ったシルヴァーナちゃんがボクの腰に手を回ししがみ付く。さらに左側からはベアトリーチェちゃんの手も腰にまわってくる。


「うぐっ」

 体操服の背中をむんずと鷲掴みにしているのはシルヴァーナちゃんの側にいるフェデリカちゃんだろう。相変わらず乱暴につかんでくるので圧迫感に少し声が出てしまった。


「それでは準備は良いですか?」

 エレオノーレ先生からスタートの合図かかかりそうなので、両足に力を籠める。


 魔力は封じられているので肉体強化は使えない。日ごろ鍛えた筋肉だけが頼りだ。大丈夫。練習でもなんとか支えれたんだ。


「行くわよー!よーい、ドンッ!」

 合図と共に左右の3人もボクにしがみつく。


 左右から柔らかいものが押し付けられる。

 ボクの首には2人の手が回され、背中にぽにゅんときたのがシルヴァーナちゃん、左にギュッと押し付けられたのはベアトリーチェちゃん、右側からフェデリカの腕がガッチリとしがみ付かれている。

 重くはない。充分支えれる重さだ。


 だけど全身に感じる柔らかい感触と、良い匂いも漂ってきてなんだか変な感じだ。きっと密着して熱いから、だからなんだか可笑しな感覚になってるのだろう。


「ちょっと、カイ君!早く、早く走ってっ!」

 耳元でシルヴァーナちゃんの声が聞こえ、ドキドキと高鳴る胸を堪えながら走り出す。


 少し距離が離れた位置に同じように3人の女の子を抱えながら走る兄様を発見。何も考えないように全速前進!そう思ってさらにスピードを上げる。


 時折「きゃっ」とか「あっ」とかいう声が漏れ聞こえ、耳元にかかる誰かの息に力が抜けそうになる。けれど精一杯に力を籠めて踏ん張り耐えている。


「うおっ、変なところ触るな!うわっ」

 前方の兄様からそんな声が聞こえてきた。


 疾走する兄様のスピードに耐えられなかったのか、女の子の1人が体勢を保つために彼方此方と手を泳がせているように見える。

 今がチャンスだ!そう思って息を止めさらに加速する。


「あ、ちょっ!カイ!待てー!」

 そんな声が聞こえる中、ボクは兄様を抜き去りなんとか一着でゴールすることができた。


「やった!やったよみんな!」

 誰を支えているかわからなくなっていた両手を離し喜ぶと、支えを失ったからか左右から悲鳴が聞こえる。


「あ、ごめんね!」

 その悲鳴に慌てて謝るボク。


「ちょっと、いきなり離さないでくださいませ!」

「そうよ!扱いがひどすぎる!大丈夫ですかシルヴァーナ様」

 2人に責められあたふたする中、ボクの両足の紐が解かれ、2人がシルヴァーナちゃんを抱き起していた。


 すぐに回復薬の上級生がやってきて、三人に治癒魔法をかけてくれているようだ。


「ごめんね、シルヴァーナちゃん!」

 ボクはもう一度シルヴァーナちゃんに謝るが、反応が返って来ることは無かった。


「大丈夫ですか、シルヴァーナ様?」

 ベアトリーチェちゃんの再度の呼びかけにも反応することは無く、顔を赤くして呆けているように見える。


「大丈夫ですかー!」

「ひゃ、ひゃい」

 治療をしていた上級生が耳元で声をかけると、飛び上がるようにして反応したシルヴァーナちゃんは、ボクの顔を凝視した後、背中を向けて走って行ってしまった。


 ベアトリーチェちゃんとフェデリカちゃんの2人はボクを睨むとその後を追った。


「くっそー!まさか負けるとは思ってなかったな!」

「に、兄様」

 兄様に声をかけられ視線を向けると、兄様の背後に一緒に走っていた女の子達が近づいてくるのが見えた。


「そう言えば、姉様は出なかったの?」

「いや、気付けばソラは別のに出ることになっていたんだよ。っておい!待てって、くっつくなって!」

 姉様のことを教えてくれた兄様は、顔を赤くした3人に後ろから抱きつかれている。


 ボクは放置するのが正解だと思って軽く頭を下げ、クラスメイトの待つ休憩所へと急いで戻った。シルヴァーナちゃんはすでに戻っていて、他のみんなと楽しそうにおしゃべりしているようだった。


「ただいま」

「おう!お疲れー」

 それを見ながらグイード君の隣に座る。


 シルヴァーナちゃんと少しだけ目があったけど、すぐに逸らされてしまった。ボク、何かやっちゃったのかな?折角頑張って一着になったんだけどな。

 そんなことを考え少しだけ心が沈むが、なんでこんなに落ち込んでしまうのか自分でもよくわからなかった。


 何となく気落ちしたまま時間は進む。

 気付けば昼食の時間。母様達の元へ移動して久しぶりの母様の手料理を……ほとんどがカーリーおじさんとメイドのティナさんの作ったものだけど。でも母様のギョーザはとても美味しかった。


 母様と父様に挟まれながら気持ちはほぐれたけれど、みんなの元に戻ってからシルヴァーナちゃんの姿を見ると、また気落ちしてしまう。なんでだろう?もっと仲良くなりたいだけなんだけどな?


 さっきはみんながいるから相談できなかったけど、後で母様に相談できるかな?

 そんなことを考えていた。


長期の放置申し訳ないです。中々体調が戻らずモチベーションが上がらずで。完結までは書きますので気長にお待ちくださいませ。


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