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02.入学式 02

不定期更新。本日は1話から3話まで更新予定。


 ボクに声をかけて来た男の子が、目を輝かせてこちらを見ていた。


「俺、グイード!ミロス男爵家の三男だ!よろしくな!」

「ボク、カイ。カイ・レイナードです!よろしくお願いします!」

 まずは元気よく挨拶!レナートさんにそう言われていたので慌てて自己紹介。


 ボクの母様は、昔はクレメンティやユリシースという家名だったらしいけど、今はレイナードが家名だ。

 爵位は準王族っていう奴なんだけど、それは秘密だって母様からも言われている。


 爵位を聞かれたらどうしよう?平民って言っとけばいいのかな?


 そう言えは、さっき話していた時にもヘイカって人が出てきたけど、そのヘイカって人には準王族って言って良いよって聞いた気もする。

 そんなことを思い出しつつも、目の前で目をキラキラさせているグイードくんに笑顔を向ける。


「ちょっと!森になんて住めるわけないでしょ!あんた乞食なの?」

「なんだよお前!」

 急に大きな声をかけられたボクはびっくりしてしまう。


「私はシルヴァーナ・ユリシース!この国の第二王女よ!」

 両手を腰にあてそう言っていたのは、金髪のクルクル縦ロールな女の子だった。


 長い金髪をクルクルと綺麗に巻いてその左右には赤いリボンがついている。

 淡いピンクのドレスにはフリルもふわふわでとても似合っている。


 母様はいつも短パンとタンクトップという袖の無い無地な服を着てるから、キラキラした可愛い女の子っぽい存在に思わずドキドキしてしまう。


 そんなシルヴァーナと名乗った女の子は、とても怖い顔でボクを睨んでいた。


 あれ?でも……


「ユリシース?」

「なに?この国の名前も知らないの?あんたバカね!」

「うーん、国の名前って分からないけど、母様は昔ユリシースって家名だったって言ってたかも?」

「えっ?」

 その声に驚くシルヴァーナ。


「あんた元王族なの?公爵家?」

「えっ違うよ?」

 準王族って言うのは王族と違うし、コーシャク?って言うのも違うよね?


 そう思って手を胸の前で前で左右に振って否定する。


「何よ、びっくりさせて!それも嘘なんでしょ!嘘つきはね、泥棒の始まりって言うんだよ!」

「おい!いきなり出てきて何だよ!カイが可哀そうだろ!王女だかなんだか知らんけ……ど?えっ?えぇー!女王ぅ様ぁ?」

 驚くグイード。


 周りもザワザワしている。

 さらに女の子が2人……いつの間にかシルヴァーナの隣に腕を組み立っている。


「あなた達!シルヴァーナ様の事も知らないなんて!」

「信じられないほど馬鹿なのね!」

 さらに周りがザワついている。


 グイードは顔を下げ大人しくしている。


「馬鹿って言う方が馬鹿なんだよ?」

 ボクは母様から聞いた言葉を思わず言ってしまった。 


「わ、わ、私が馬鹿だって言うの!」

 右側にいた女の子が一歩前にドンと足を踏み出しそう言ってくるので怖かった。


「母様が、馬鹿って言葉は馬鹿しか使わないって……言ってたもん!」

 せっかく仲良くできそうなお友達が落ち込んでしまった様子に、モヤモヤした気持ちが溢れてきた。


「くっ!このバ……頭が悪い子!」

「それ、同じ意味じゃない?」

 ボクは今の言葉が馬鹿とは意味が違うのかな?と思って首を傾げる。


 目の前の女の子たちがキーキーと言う噴火猿のような声を出し騒ぐので、訳が分からな過ぎて泣きそうになってしまう。

 ボク、何か悪い事したのかな?


「はいはーい、皆さん一度席に座ってくださーい!」

 大きな声が聞こえてきたのでそちらを向くと、綺麗な女の人が教室の前に立っていた。


 教室の騒がしさがピタリと止まる。


「はい。では改めて、皆さん1年A組を一年間担当をするエレオノーレ・オルランディよ!よろしくね!」

 他の子達から元気な返事が返ってきた。


 もちろんボクも元気いっぱい返事した。


「では、呼ばれた順にこっちに来てー。全員並んだら体育館に行くからね!」

 

 皆が先生に呼ばれた順で列を作ってゆく。

 ボクはレイナードだから後ろの方だろう。

 呼ばれている間も、あの女王様っていうシルヴァーナが、こちらをチラチラ見ながらたまに睨んでくる。


 ボクはあの子とは仲良くできそうにないな?とそう思った。


 そんなことを考えていると、ボクの名が呼ばれ移動する。

 先生がボクの顔を覗き込むようにしたので視線が合って恥ずかしくなる。


「あなたがカイ君ね。おばちゃんのこと覚えてる?」

 そう言われて一生懸命思い出そうとする。


「あっ!エレオおばさん?」

「そうそう!何回かしかあったことないけど、よく覚えてたね!」

「はい!エレオおばさんは綺麗なので!ボク、ちゃんと覚えてました!」

「あらまー!」

 綺麗なので、と言っておけば大体なんとかなる。と教えてくれたのはディーゴさんだった。


 だからディーゴさんにはいっぱい綺麗だねって言ってあげている。


「じゃあ、行くわよー!」

 エレオ先生の合図でボク達は1列になって歩き始めた。


 A組は全部で20人ぐらいのようだ。




「では、これより王都東小学校の入学式を始めます!」

 体育館という広い場所に並んで待つと、大きな音楽と共に前に並んでいた男の人がそう言っ宣言した。


 この学校では、一般常識、魔法と剣術などを習うらしい。

 3年生になるとどのほかに料理や裁縫、鍛冶や魔道具作成、商人や役人、執事や侍女にとしての技術を伸ばす授業なんかもあるんだって。


 そんな長い話を聞いていると少し眠くなってくる。


 ウトウトしていると、またも大きな音楽が始まりびっくりしてしまう。


「ユリシース王国国王、ローランド陛下のご登場です!」

 その言葉に大人達は一斉に片膝をついて頭を下げている。


 ボク達も真似をして膝をつき頭を下げる。

 女の子達はスカートを摘まんで腰を落として頭を下げている。

 シルヴァーナだけは顔を上げて手を振っていた。


 国王って言うんだから王様だよね!

 ボクは、初めてみる王様に少し緊張してしまう。


「皆の者、今日はめでたい場である、楽にして良い、面を上げよ」

 ボクは、ゆっくりと顔を上げた。


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