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プロローグ 赤い雪の光景
目が覚めると、世界は黒い煙に溶けていた。
片眼に何かが覆いかぶさっている。私を世界から隠したい煤か、無慈悲に積もる雪か。区別はつかない。
熱に奪っていくそれを身体は、ただただ心地よく感じていた。
息を吸えば、焦げたビニールと鉄の匂いが喉奥を裂いていく。
声を上げたくても、喉が応えない。抗う力は、どこかへ流れ出してしまったようだった。
黒煙の向こうから零れる火の粉が、世界を塗り替えていく。
雪のように舞い落ちるが、鮮やかにすべてを削ぎ落とす――赤い雪。
ここで、私の世界は終わったのだと思った。




