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サイキョウシャ  作者: 若山薫
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8.作戦

そんな戦いが地下で起こっている頃左の穴へと入っていたエビル達は歩くこともなくただその場所で座っていた。ムーンはエビルを怖がっているようで10mほど離れた所でエビルの事を見ている。


――ムーンは少しエビルさんを怖がりすぎなんじゃ、


とシケンが思っていると


「シケン君、ちょっと助言しときたいことがあるんだけどいいかい?」


「……、はい。」


とシケンは少し戸惑いながらエビルからの助言を待つ。エビルは話始める。


「この情報が役に立つかは全く分からないけど一世話しておくよ。まず、ここの永遠に続いていると思われる洞窟がどういう風にできているかだね。ここはさっきも言った通り多分だけど転生者によってできている。」


「まあ、それは、はい。」


――納得できてない時点でもう君はダメなんだけどな。キョウ君でも多分これぐらいの事なら分かる……はず、いや分かんないかも。まあ、これはしょうがないか。


「その転生者の能力と弱点をなんとなくだけど分かったからそれを話すね。」


「はい、分かりました。」


――ハー、分からないなら分からないって言った方がいいこともあるっていうのに、そんなに自分がバカであるって言う事を認めたくないのかな、これはこれでキョウ君よりもめんどくさいな。


「洞窟内を監察して分かったことは、形状が洞窟内をくまなく調べても変わらないこと、すべてが同じ作りで丁寧にできている。この場所では、モンスターが出ないことはシケン君も分かっていることだろうけど、生物は存在しているんだ。それは、時間とか場所によって出てくる生物は異なっている。でもそれ変なんだよね、出てくる生物は異なるのに出てくる場所は一切変化しないんだよ。


それに加え、僕がその場所を見てないときは他の場所からは生物が絶対に表れない。」


――どうやってそれを一人で調べたんだろう。


――どうせ、そんなことを思っているのに、何で真面目な態度で聞くふりだけしてるかな、ほんと腹立ってくるね、シケン君。


「これらを統合して考えると、この能力を持った転生者は用心深いが抜け目が少しだけあり、意図的に動かしているという事。シケン君何かわかるかい。」


「…………いや、」


「当たり前だけど、その子今は彼女といった方がいいかな、それは僕達を近くで観察している。今この洞窟内にはいるという事だよ。だから、この洞窟の外に出ればすぐに見つけることが出来るはずだよ。」


「でも、洞窟の外には、」


「いや、実は出れるんだよ、隠してたけど、」


「キャ――――――――!!」


ムーンの悲鳴が洞窟内に響き渡る。キョウとシケンはムーンの方を見るとそこには誰も存在していなかった。その光景を見てシケンは驚いているようであった。


――まあ、作戦通りって言えば聞こえはいいけど流石に無理だったみたいだね。シケン君の欠点の部分を直してなおかつこの能力を持っている転生者をこの場所から出て殺そうとしたんだけど、やっぱ一人じゃないとうまくいかないね。人という感情の入ったものを全て理解するのは難しいよ。まあ、だからこそ面白さは、あるんだけど、


エビルは少し笑みをこぼしたが一瞬にして元のエビルの表情へと戻りその笑みをシケンに見られることは無かった。


――さてと、じゃあ作戦を二つ目に移すしかないかな。


「シケン君。」


エビルはそう言って困惑しているシケンを呼び掛ける。シケンはエビルの方へと表情を変えずに見る。


――そんなどうしたらいいんだろうっていう顔で見るならちゃんと言ってくれればいいのに、ほんとにめんどくさい。でも、君がいないとこの作戦をすることできないからね。


「シケン君、今から重大な作戦について話すからよく聞いて覚えて行動をしてね。」


――こんな優しい言い方で狂璽隊のメンバーに接するなんて思いもしなかったな。めんど。


「まず、君にはキョウ君とレイ君を探してもらう。その子達は多分だけど洞窟から出た後に穴があってその地下にいるからシケン君は頑張ってその下に降りて行って、見つけ次第現状を聞く。そうして、狂璽隊の本部に戻ってもらうよ。」


「どうやって下に降りればいいんですか。」


――やっとか、


「君の懟呪で行けるはずじゃないかな応用技で。」


「……、」


「もういいかな、……、」


「……、」


なんの返答もシケンは示さなかった為エビルは作戦内容を話し始めていく。


「狂璽隊の本部に行った後ユウ君とヒキ君を見つけ出してこの狂璽隊に関する詳しい説明をして欲しい。洞窟内に入る前ムーンの質問で僕が出したようにヒキ君は詳しい説明は受けてないからね。懟呪の存在とかは分かっているだろうけど何の能力を持っているのかとか、この狂璽隊の人たちについてとか知らないんじゃないかな。そうして、説明後にムーンを助けるために今僕たちを閉じ込めている転生者の居場所を見つけ出して殺して、ムーンを奪還する。ここまでが君にやってほしいことだよ、できるかい?」


――過保護な母親でも演じているみたいだねまったく。


シケンは少し考えたふりをした後に言う。


「分かりましたけど、どうやって出るんです?」


「はー、ほんとに質問ばっかだね、君はもう少し考えて喋ってくれないかな。」


――おっと、思っていたことがうっかり口にでちゃったな。ハハ。


「そんな事私にできますかね?」


――弱音吐いちゃってるよ、シケン君はリーダー的な立ち回りをしてるんじゃなかったのかな、まったく。過保護な僕も怒っちゃうぞ、プンプン。


「できるよ、きっとシケン君なら大丈夫さ。」


――偽りの言葉って気色悪いなやっぱり吐き気がする。よく、シケン君こんなことできるな。


そうエビルにシケンは言われると少しめんどくさい態度で言う。


「はー、分かりました、頑張ります。」


――この子は、本当に何がしたいんだか全く分からないね、リーダーになろうとしているのに肝心なところでめんどくさがる。



この子死ぬ気がしてしょうがないのは僕の気のせいかな。まあ、いいや一旦。爆発しないと。



そうしてエビルは目を見開きその中に指を突っ込む。その行動にシケンは驚きながらも何かをしようとしていることを察し声を掛けることをしなかった。


――この人には説明を求めすぎると不機嫌になって何も喋らなくなってしまう。自分自身がいい印象を持たせるためにはエビルさんから嫌われないことをしないといけない。それを私はしているつもりだけど本当にそれがエビルさんに嫌われない方法なのかは分からない。でも、ただがむしゃらに頑張るしかない。


エビルは、コンタクトレンズを外しながら考えている。


――シケン君がただがむしゃらに頑張ろうとしているならシケン君の場合それは怒り狂った人間がなんの武器も持たずにライオンを倒そうとしているのと同じで、無益を働いているだけになっちゃうんだよね。でもそれを彼女は分かっていない。どうするべきか。


そうしてエビルはコンタクトレンズを外し終わり、目を閉じている。


「シケン君、虫は今どこにいるか僕からの方角でどこにあるか教えてくれないか。」


「はい? なんで……、ですか?」


――疑問を投げかけてしまった。


その言葉にエビルは少し呆れながら言う。


「欣求だよ、この目自体が僕の欣求になっているんだ。」


――え? でも、確か、


「そうそう、ユウ君だ。彼女たちは、まだこの狂璽隊に入ってからユウ君は一日? くらい、ヒキ君は一か月ぐらいしか経っていない。懟呪の事も深く知らないし、君達が所有し始めた欣求なんてものは持っていないし知らないだろ、まあ僕も欣求は持ってないけどね。」


って言っていたのに。でも、エビルさんの事だ何かしら考えがあって行ったに違いないだろう。まず、虫の位置を言わないと。


「虫は、エビルさんから見て左の壁に一匹います。」


「分かったよ、ありがと。」


エビルはそう言い、体全体を左へと動かす。そうして目を開ける。


バゴン!!!!!!


シケンはその爆発の勢いから目を閉じてしまう。


シケンが目を開けるとエビルが見た方向の壁の穴が完全に空いていた。


――これは、なんなんだ、


「これが僕の欣求、目の欣求(ホワイトアイ)だよ。生物をこの目で目視するとその場所をすごい威力で爆発することが出来るんだ。僕も被害を食らう事がごくまれに起こるんだけどね。これだけ聞くとすごくいい欣求なような気がするんだけど欠点として一日三回しか使えないことと、三回使っちゃうとその日が終わるまで目が完全に見えなくなるんだ。今はもう三回使ったから目が見えてない。


だから、あんまり使わないようにしてきた。説明をして実践をするだけで僕の強さが少しだけ減るからね。でも今の状態で懟呪を使うとシケン君が危ない状態にあるから使わないようにしておいたんだ。ちなみにこの欣求はみんなと同じで懟呪から貰ったものだよ。最初はびっくりしたよ、目に違和感あってそれ取ったらなんか変なところから爆発音が聞こえたと思ったら急に眼が見えなくなるんだもん。まあ、こんなもんかな後は、どうぞシケン君行って。」


――そう言う事だったんだ、


「はい、分かりました。」


とエビルが喋った後すぐに納得したかのように言う。


――やっぱりシケン君はだめだな、僕が裏切り者だった場合さっきの段階で僕がシケン君を見たら死ぬというのに、これは狂璽隊のメンバーを仲間だと完全に認識しちゃってるね。僕の考えが浅すぎたな。今の状態でもこの欣求の三回のみの効果も盲目になることも嘘かもしれないのに全く疑おうとしない。



シケン君はもう取り返しがつかない存在になってしまったかもね。このままもしシケン君が狂璽隊の主に僕達のメンバーと戦う場合彼女はその人を殺せない。そのままシケン君は死んでしまう。


ああ、でもお、この場合があるのか、彼女が転生者の裏切り者の可能性。でもお、この可能性は異常にというかほぼ0%彼女は、懟呪の効果を僕達に全て教えているし、仲間の事もたぶんだけど信頼している。転生者の罠に引っかかっている。ムーンと共に行動をし、彼女を殺すことが無かった。今、僕が殺されていない。


まあ、もし彼女がすごい天才でここまでも作戦のうちだったらすごいんだけど、そこまでこんな正確になるまで作れるかな? いや、無理だね。ここまでいろんな人を見てきたけど、なにかしら裏がある人の作られた性格は薄っぺらく、大抵は仲間の事を信用しようとしない。まあ、これは狂璽隊に限った話だけどね。


そうなると彼女は裏切り者ではない。……、死ぬかもね、別に僕はそれでもいいんだけど使い物にならなそうだし、でもかわいそうだから注意喚起だけはしてあげよう。


「シケン君。」


とエビルが開けた穴から出そうになっていたシケンを声で呼びかけて止める。


「いちよ、注意喚起みたいな感じで助言だけ告げといてあげるよ。」


「ありがとうございます。」


「じゃあ、話すね、もっとシケン君は考えて考えて、それを行った事又はやったことによって生じる責任や問題まで考えて行動した方がいいと思うよ。そうしないと、



今日にはもう死んじゃうかもよ。」


――嫌われたのかもしれない? エビルさんは自分が思った事しか言わないはず。それもよく考えて、それなら本当に私は死ぬ? 今はとりあえずこの場所から離れよう、エビルさんがただただ私の事を嫌いになってそう言った可能性もあるにはある。


それは無いか。


「はい。」


――返事だけだなほんとに、やっぱり何も話してくれなったよ。下手な説明をした後に死ぬのかな、シケン君少し名残惜しいよ、もう少し話したかったな~。


エビルはその時、呑気に笑っていた。本人は自分が笑っていることに気づいていなかった。


そうしてシケンはただただ歩いて行き、洞窟の外へと出る。彼女は後ろを振り向き、


――本当にエビルさんはよく分からない


と思いながら前を向くとそこにはレイがいた。


「レイさん、どうしてここにいるんですか、地下にいるんじゃ。」


シケンはそう聞くと、レイは壁へと近づきそこを右手で押すとそこから隠し階段が現れた。そうして、レイは隠し階段を下りていく。シケンもその行動を見てエビルの言葉を思い出し下へと階段で降りていく。


――本当にこの人はなんなんだろうか、地下の場所を見つけ当てて多分だけど一人で戻ってきている。この人は裏切り者じゃないのか、でも本当にそうなのかもわからない。


彼女は考えながらも一向にレイが裏切り者かどうかの答えが出ずに下へとついてしまった。


――なんだ、ここ青い花が生えててそこから光が出てるのか?


「あの人は何処なんですか。」


とシケンは聞く。その質問に


「……、」


レイは一切返答しようとしない。


――本当に分からない、レイさんは仲間を裏切っているのか、でも変だあの人が生きている場合でも普通ならここに居させるか、二人で地上へと出るべきだ。でも、そんなことをしなかった。なんで、


「キョウは、生きている。」


レイはその一言だけ言って階段を昇って行った。シケンはその言葉になんの重みも感じず、ただ薄っぺらい言葉に感じていた。


「そうですか、」


ただ彼女は肯定することしかできなかった。それが嘘か真か彼女には決めることが出来なかった。


――レイさんはいったい何者なんだ?


ただ彼女はそう思いながら狂璽隊の本部へと戻って行った。


その頃狂璽隊本部死殺醜のスペースがある地下一階のある部屋でユウは目覚めた。


――ここは? 


起きると同時に自分が体験した恐ろしい出来事を思い出す。


――こ、こ、ハハハハハ、駄目、あれは夢そう悪い夢大丈夫、大丈夫。ふー。


彼女はそう自分に言い聞かせて自分の目的を思い出す。


――そうか、もうここにきてしまったんだ。私は、この隊を崩壊させないといけない。目的を忘れるな私。私は転生者なんだから。


そうして彼女はベットから立ち自身の部屋であるこの部屋を出た。





エビル 目の欣求(ホワイトアイ)

対象物(生物のみ)を目視するとその場所をバゴン!!!!!!という常人なら鼓膜が破れるほどの音を出して木っ端微塵に爆裂する。これは距離などで威力は変化しない。この効果は片目ごとに一日三回のみである。他にも基本的な身体能力向上など欣求共通の全体的な肉体的増強。三回使ってしまうと一日の間(深夜0時まで)目が黒く染まり見えなくなる。


目の欣求の能力は分厚いコンタクトを被せることで防ぐことが可能。最初はコンタクトが目に被さっている状態で出てくる。


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