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６．現実

「ライト、やっと起きたの、」

と桃髪に桃目の女性カルは言う。

「あ……、あ。」

とライトは何かを言おうとするも言う前にやめた。

「どうしたんですか、」

と紫髪で紫目の女性シーンは言う。

「いや、何でもない。そうだな、行こう。」

「どうしたのですか、ライトさん、気分が悪いのでありましたらすぐに回復魔法を、」

とシーンは言う。

「いや、大丈夫だ。」

「そうですか。じゃあ、今回はどうします。魔王幹部が見つかったようですけど。」

「今回は行って倒す。というかそうさせてくれ。」

「え、いつもなら見に行くって作戦を考えようというのにですか、最初から戦おうとするのは少し無茶ではありませんか。」

とシーンは何度もライトを心配する。

「いや、大丈夫だ。……、」

シーンが心配そうな顔をし、何かを言おうとした時、ライトが土下座をしだした。彼は、床に顔面を押し当てて彼女たちの方を見ずに言い出す。

「本当に、本当にすまなかった。俺は、俺は、俺は、お前、いや貴方達に嘘をついてしまった。俺は、勇者の子孫なんかじゃないしましてやこの世界の住人でもないんだ。」

「え、どういう事それは私の親戚でも何でもないってこと。」

とカルが言う。ライトは、顔を上げずにその状態で話し出す。

「そうだよ！！　俺は、一切関係ない、ただのくそ野郎だ。自分の能力に浮かれて顔がいいことをいいことにして、頭がいいふりをして、何も分からないのに理屈らしいことを言って、正義づらして、お前らを騙したんだ。」

カルはその発言にただ困惑しながらも言葉を発する。

「で、でも、じゃあ、なんで魔王幹部の情報を知ってたのよ？」

「……、俺の能力のおかげだ。」

そう言って土下座した状態のまま顔を床から上げカルの方へと顔を向ける。

「おかげって、え、花を操る能力だけなんじゃないの。」

「俺は、たまに人の弱点を知ることが出来るんだ。人といっても魔王幹部は人じゃないから効果自体は人だけが対象ではないのかもしれないが、」

「なんで、私にそれを言ってくれなかったの。」

「え、それは、嘘がばれるのが嫌だったからだ……。」

「貴方は、貴方は、嘘を私に付き続けたってことなの。」

「……、そう言う事だ、」

カルは困惑した状態から徐々に元のカルへと戻っていく。

――俺は、怒られるのだろう。いや、怒られることじゃすまない、俺がやってきことは死刑に当たるまでの罪といえる。王に勇者の子孫だと嘘をつき、王の娘カルを仲間という口実で欲し、旅の途中で偽りの正義をかざして救ったシーンも仲間に入れて魔王幹部に恐れて何度も調べるためにという口実で王に大量の兵士を貸してもらい魔王幹部の所に行き、大量の死者を出した。

それでも俺は魔王幹部を殺すことが出来ず、さらに言えば情報を何も得ることができなかった。だが、王は一切怒ることもなくカルやシーンも優しい態度で接してくれた。それは、勇者の子孫であること、能力が強いと信じ切っていたからだ。焦りに焦ったからこそ人の弱点を知れる能力を手に入れたんだと思う。それで考えてるふりをして巧妙な作戦という名の偽りの作戦を立てて魔王幹部を倒した。俺は何もしちゃいない。

夢を見て分かった俺はくそ野郎だと、俺は何もやっちゃいないし何も助けようとしていない。ただ偽造に偽造を積み重ねてきた。どぶ人間だ。それを俺は告白した。そうして、カルが怒って死刑にされる。この一連の流れまでがお似合いだろ。俺は、最低な人間だ、死ぬべき人間だ、というか早く死んでくれ、いみもないだろ生きてても、誰からも必要とされないだろ、生きてても、さようなら、さようなら、さようなら。

その時、カルがライトの肩を叩いた。

「貴方は、クソみたいな人間よ、でもそれは最初から分かっていた事じゃない。最初からあなたは嘘つきで容量が悪くて弱い人間だなんて、勇者の子孫じゃないってことは確かに驚いたけど、だけど、貴方はそういう人間なんてこと元から知ってるわ。それを直接言われたら誰だって動揺するでしょ、貴方は、決していい人間ではない。嘘もつくし、人が嫌がる所に裸足で踏み込むし、言い方は腹立つことはとても多いだけど、だけど、それがあっても貴方は人の事は守ろうとした。シーンちゃんを助けたのも嘘の何かしらって思っているのかもしれないけど、それは違うと思うわ。貴方は、人を助けるためには自分が死んでもいいと私たちが思うような行動を率先してやってくれる。気づいていないかもしれないけど、貴方魔王幹部討伐の時にたくさんの死んだ兵士を見て泣いていたのよ。だから、貴方はクソみたいな人間であってもクソ野郎じゃない。だから大丈夫、貴方の欠点は私たちが補う。私たちがあなたに助けられた分助けるから。大丈夫。」

――……………。

「ありがとう。」

ライトは、ただカルの優しさに身を包まれることしかできなかった。そうして数分後ライトは元の状態に戻り、ただ言った。

「それじゃあ、魔王幹部を倒しに行こう。」

と嘘と素を混ぜて

カルは笑い、シーンは笑みを作った。

――俺は、正義感なんて持てないかもしれない。俺は本当にクソみたいな人間なのかもしれない。俺は、気色が悪いニートなだけなのかもしれない。感情なんて簡単に変わりはしない。でも俺は、正義のために生きる。人を助けて人を救って、仲間たちを守る。これがどれだけつらいかは分からない、また今回みたいに躓くこともあるのかもしれない。人をたくさん死なせてしまうかもしれない。だけど、俺はこの感情を貫く、自分の為に仲間たちの為に人の為に誰かの為に。

そうか、俺はこの生活を望んだんだな。ここから、リスタートだ。また、俺の異世界生活が始まる。

土下座をもう一度した。ライトはありがとうと何度も言って目を瞑り涙を垂らした。

HAPPY END

もう一度涙が垂れている目を開けると

――え？

又、目の前にレイが座っていた。

「ねえ、どうだった、仲間たちとの最後の会話はねえ、どうだった。」

――…………、嘘だろ、こっちが現実……、

ライトは、現実に目をそらそうと大きく目を瞑り開ける。目の前にはレイがまだいる。目をこすってもレイがまだいる。そうして、これが現実だとこれが最悪な今だという事を再確認させられたライトは

「あ、あ、あ、……、あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」

と叫び始める。その反応の大げささにレイは

「あー、ちょっとうるさいな～、もうほんと悪い子なんだから。」

不満そうな顔でそう言ってチェーンソーをライトの胸へと入れる。そうするとライトの叫ぶ声が徐々に徐々に減っていき、完全に喋らなくなった。

「さ～てと、ああ、これは言わないとね、えーっとね、問題です。今から二つ言うから正解だと思う方に手を挙げてね。①実は、このカルとシーンが言った言葉は全て私がなりきって書いた嘘である。②実は、カルかシーンどちらかはレイの所属する狂璽隊のメンバーである。さ～、どっちでしょう。①なら右手、②なら左手ね。チクタクチクタクチクタクチクタクチクタクチクタク……。」

ライトはほぼ意識を失っており、手を挙げることが出来なかった。

「チクタクチクタクブー。　それは～？　……、正解！！　正解はどっちもでした～。」

「…………、」

レイは、飛びながら拍手する。ライトは無言でレイの行動に応じる、レイは思い出したかのように話し出す。

「あー、言うの忘れちゃってたよ、ここは天国でも地獄でもない場所。特別な私だけの場所なんだ。ここであなたは一生暮らせるの。最高でしょ。でも、一つだけ条件があるの。私があなたを何度でも殺したり痛めつけたりすること。それで、貴方は死んでも死ねないし消えれないの。ここで一生生き続けないといけないの。ね、最高でしょ、ね～、聞いてる最高でしょ。ね～、もう聞いてよ～～～～～～。」

そう言いながらレイはチェーンソーを使ってライトの体を真二つにえぐり、口調では怒りながらも笑っていた。

そうして、ライトの目にはゲームオーバーの文字がでかく映っていた。そのゲームオーバーの後ろにはあぐらをかいているレイが座っている。そうして、ライトの体は元に戻った。

そうして、彼は

「は、はは、ははｈ、はははは、ははははは、ハハハハハハハハハハ、ハハハハハハハハハハハハ、ハハッハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ。」

と笑い出した。レイも何かを思ったのだろう。

「ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハッハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ。」

「ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハッハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハグフッ。」

そうしてライトはまた死んだ。そうして、ライトはまた生き返った。そうしてまたライトは死んだ。そうしてライトは生き返った。すでに彼には自我はなかった。ただ笑うしかないのである。

いろんな場所から笑い声が聞こえてくる。

それを見て、レイもずっと笑っていた。狂気的に幸せそうに

ハハハッ！

ライト　主の自我（固有能力）

・花を操る自我

・弱点を知る自我

共に詳細不明。