24.異常
――ハンマーになっちまってるか。ってことは部屋中に何度かバットで俺のことを殴ったってことだな。だからこんな痛えのか。まず、あいつを殺すにはハンマーを取って攻撃手段を少なくする必要があるな。ボールをよける為の行動もとらねえとな。だが、ボールの的中率はあの正確性から見てたけえ、投げれば大抵は当たっちまうと予想した方がいい。
まず、今の俺の能力の全てを整理だ。弾はあと少し、全体に打ったら無くなる。目の欣求は左目が使い果たした。右目はあと二回使える。手の懟呪の効果は①「無造作な無謀人」。対象者一人を完全に操ることが出来る能力。条件として俺が十日間植物状態と化す。今、これを使えば勝つことは出来るかもしれねえが異常なほどにバカな手段であることは確か。
②、「隠し芸の悪夢」。③、「虚構と狂乱の幻覚」。手の懟呪自体が独立し勝手に動きやがる能力。普通は、懟呪が独立して動くか、少し召喚者の命令を聞くだけっぽいが、俺の場合は懟呪を操って動かしている。懟呪を独立させて動かせねえとかいう盲点から生まれた能力だな。条件として二つ目の効果を使うことが出来ねえ。
四つ目、「気色悪さの最大値」。手の懟呪を何らしらの一つの形に固定しそれを百体複製する。俺が懟呪を操っているから固定することは容易。地面に埋まったり、壁をすり抜けるとかができる。すり抜けている間は、普通の手の懟呪の複製体よりも速く動くことができる。だから、ノンの俊足に追いつくことができやがった。
条件として単細胞生物のように一つの目的のためにしか動けねえ。複製体を生み出すのに一体0.1秒。百体で十秒かかり、それらの形の変更はできねえ。勿論途中で複製を終わらせるのもできる。だがこの能力での複製体がなくなるまで四つ目の効果で新しく複製体は作れない。複製している最中は手の懟呪と手の懟呪の複製体を動かすことができねえ。
複製体は手の懟呪の一つの細胞から作り上げられてる。発動条件は、右手か左手の中指を立てて何かしら言葉を発することだ。「死ね。」とかな。その中指の手が右手、左手、両手の順に複製体は強くなる。
五つ目、「仮面の部屋」。発動条件は一瞬でも俺が諦めた時だ。一瞬でも諦めればいいと発動条件が簡単だからな。過去を見せる事にほぼ特化してやがる。それ以外の物は気色悪さしか与えられねえ。部屋中に青髪が動けた理由は、懟呪の能力で青髪が懟呪に操られたからとみているが実際どうなのかはまだ分からねえ。この能力だったとして青髪の懟呪の能力はまだあと四つもある。
こっからはさっき手に入れた能力だな。六つ目、「死亡までの道標」。懟呪の効果の一つ又は欣求自体の効果を無くせば対象者の全ての行動を無視して召喚者が選択した行動や効果が絶対に当たる。無くした能力は十日後の深夜0時に復活する。
七つ目だけは六つ目とかみたくいつものように新しく能力を俺が手に入れたタイミングで知ることができるわけではねえっぽいな。だから七つ目の能力は自分で使って理解していくしかねえ。六つ目の効果を知れるつっても詳細に全てではねえのが苛立たしいんだよな。
七つ目、「失われ死秘宝」。分かっていることは、無条件に手十組の複製が可能。盲目になった目でそれらの位置を把握、自由自在に操れる。発動条件は盲目の目がある場合だな。条件は、右手か左手が破壊、消滅した場合その特定の右手と対の関係になっている特定の左手も同様の効果を受ける。
四つ目の能力との共通点も探したが、まず、地面や壁に入ったりすり抜けることはできねえ。複製する時間は全くかからない。だが手が複製されているという点では同じだ。だから、四つ目と同じく複製体が細胞一つから作り上げられていた場合ハンマーの効果もボールの効果も細胞を破壊する効果かもしれないと推測できる。
それから、青髪の懟呪の能力は懟呪に操られることと、カウントによるボールの出現の二つであと三つじゃねえかと思う。青髪の懟呪の能力が新しく出たタイミングで考え作戦を作りつつ、これ全部の能力使って倒すしかねえな。……、これ追加すればいけるんじゃねえのか。
エビルはハンマーを奪い取った後の作戦を追加する。
――やばいかもしれない。
ノンはエビルの思っていることを読み取りそう感じ彼女の作戦を知りさらに動揺する。ノンは咄嗟にボールを出し始める。
「10」88
――ボールが五個だな。距離は遠い。今からならまだいけるな。
手の懟呪の手が動いていきエビルは手の懟呪の両手の中指を立たせた。
「気色悪さの最大値」
「死ね!!」
その瞬間、0.1秒ごとに中指が立った状態となった手が複製されていく。その手達は全てまだ動かない。
ドン
「1」87
「あ?」
エビルは振り向く。そこにはノンが勿論ながら存在していた。彼女はハンマーを持ちすでに振っておりそれがエビルの右目に当たりそうになるも手の分身がかぶさりそのハンマーの攻撃は手の懟呪の分身が受けそれは消えていった。そこに手の分身たちが徐々に群がってこようとしていた為ノンはすぐに逃げる。
――左目を狙ってこようとしやがったな。いやちげえか。普通に右目を破壊して俺の視界を見えなくさせたかったのか。クソ、六十体くらいしか作れなかったじゃねえか。
――まだ、行ける。まだ
ノンの投げたボールは全て手の懟呪の複製体六十体の中の数体に当たりそれらは破壊され消える。
――これで、何体いなくなるかは全然分からない。でも少しは、右手左手であっても対になってないから消えないけど。
彼女の後ろにはまだ五十以上の中指が存在していた。
――困ったわ。
ノンは走りそれからかなりの距離を取る。
「30」57
ノンがそう言うと彼女の足元にボールが十五個出現する。
――これで結構な数は破壊できるはず。
彼女はそれらがかぶさっている場所を見つけそこに標的をしっかりと定めボールに勢いをつけさせて投げる。ボールの速度は前回よりも早くなっていた。それをもう一度持ち投げる。それを十五回彼女は繰り返す。手の分身はそのボールによってみるみる数が少なくなり、手の複製体の数は約二十体まで減った。
――まだまだだわね、
「32」25
又もノンはボールを十六個生み出す。
――彼女の考えていることは見えるしどう動くかもわかっている分かっているけど、攻撃手段が追いつかない。
「死亡までの道標」
その時、後ろに手が何の前触れもなく出現する。ノンはボールを持った状態で一切動かなくなる。
――流石にか、
その手は拳の形を作りノンに突進していく。彼女は避けることなくその攻撃が彼女に当たった瞬間に彼女は動き始めかなり遠くまで吹っ飛ばされる。彼女の足元にあったボールは全てその場に散乱する。
「ク、」
――六つ目の効果を使うために二つ目の効果を無くした。流石にそうなっちまうか、絶対に敵に当たる系の能力はどうなるのかを調べたくて一旦手の懟呪による拳の攻撃をイメージしたがその攻撃を青髪は受けた。その攻撃がしっかりと実行された。
俺の後ろに手の懟呪がいないってことは手の懟呪は六つ目の能力によって青髪の場所へと瞬間移動しイメージ通りの攻撃を繰り出したってことだな。ってことは、イメージした動作と同じ動作を取り絶対に攻撃は当たるっぽいな。実際青髪は避ける手段はあったはずだ。俊足で逃げればいいし壁を張ればいい。絶対に当たりやがるか。
ノンが吹っ飛ばされた場所にはエビルが無防備に立っていた。ノンは地面に寝そべっている状態にあり避ける手段がなかった。
――何回この光景を見たらいいんだ。
エビルはそのまま右目のコンタクトを取ろうとするもすぐさまノンは立ち上がりハンマーでエビルの左目を狙って振る。
「バカだな、」
「失われ死秘宝」
エビルは七つ目の効果を発動させ手の懟呪を十組素早く複製させる。
ドン
「1」24
ハンマーが七つ目の効果によって作られた手の懟呪の複製体の右手に当たってしまう。右手は消え対になっていた左手も消えた。
――やっぱりそうだな、四つ目の複製には多少時間はかかるが、七つ目は発動してから複製するまでの時間はかからねえ。これは七つ目の方が断然強いかもな。発動した時の左目にできる違和感は異常だけどな。
ノンは(次のエビルの行動を知り)唇をかみしめながら
ドン
「1」23
と言いハンマーを手に向かって振る。それを何度も
ドン、ドン、ドン、ドン、ドン、ドン、ドン、ドン
「1,1,1,1,1,1、1、1」15
振り続けエビルの目の前にいるそれを破壊していきエビルが見えた。
――あいつさっきまであんなに余裕ぶっこいて単調に動いてたのになんでこんな慌ててるみたいなんだ。あいつもう今の段階で残り三つの効果使えねえんじゃねえのか。あの時の青髪が懟呪に操られていて部屋を入れるときに戻ったんなら、部屋に入れなければいけないほど切羽詰まてたってことだろうな。ってことはもうあいつには使える能力がねえ。少し楽になるなそう考えると、
――エビルは見えたでも、
「失われ死秘宝」
またも十組の手が瞬時に複製される。
ノンは自身の目の前にいる手を排除しながらも後ろにいる二十体だけ残った中指の手にも意識を向けそれには
「理解、」
と言って笑顔を作り、ポケットに隠れていた理解の懟呪は飛び出し黒色の壁をノンの後方全体に作り上げ中指の手をノンの元に行かせないようにする。
「全体を、」
理解の懟呪は首を横に振る。
「わけわかんないよww」
ノンは笑いながら唇をかみしめ
ドン
「1」14
ハンマーを振る。中指は全て黒い壁の衝撃により細胞が破壊された。
「気色悪さの最大値」
――ハンマーがとられることは分かってる、そんなことは分かってる。でも、でも!!
その時、ノンは違和感を感じる。そこにはハンマーが無かった。
――終わっ、ってない。
「2」12
ノンがそう言うとボールが右手に出現しそれをエビルへと素早く投げる。
――そうか、
「2」10
エビルは一切それに動じることなく四つ目の効果を三秒で速攻終わらせ、その方向を左目で見て予測しそれを難なく避ける。
――まだ、
ノンはボールを投げる。エビルはそれを同じようにして避ける。
「2」8
まだ、まだ、
四つ目で複製された手はそのボールによってはかなく散ってゆく。ノンはボールを前のボールの直後に投げる。そのボールをエビルは難なく避ける。
マダ、マダ、マダ、
「2」6
ノンはボールを数秒後に避けるもエビルは一切気にすることなく避ける。
まだ、マダ、まだ、マダ、まだ、マダ
「4」2
ノンはボールを二個右手左手で同時に投げそれをエビルは難なく避ける。中指の手は全ていなくなった。
――あいつどこ行った、
「2」0
エビルは後ろを見るそこにはバットを持っているノンがいた。
――ハンマーを七つ目で複製した手から奪ったか。
バッゴン
「1」
バットをエビルに当て少し距離を取る。
バッゴン
「2」
又もノンはエビルから少し距離を取る。
――左目でバットを奪った手を確認しておくべきだったな。
バッゴン
「3」
――マダ、まだいける
バッゴン
「4」
――他の手は結構ばらけてんな、ある程度どの位置に青髪がいても対処できるようにしてたからな。これからここに来させるように操っても結構な時間かかりそうだな。
ノンはその時笑っていた。
――マダ、いける、まだ
バッゴン、バッゴン、バッゴン、バッゴン
「5,6,7,8,」
ノンは少し距離を取る。
――まだまだ、まだまだ、まだ、ま……
「死亡までの道標」
そんなノンの思いはかなく、ノンの目の前にエビルが突発的に出現する。エビルは右目のコンタクトを外す。ノンはそれに気づきながらも動くことが出来ない。その時ノンの目は死んだ魚の目をしており一向に動こうともしていなかった。
――一つ目の効果を無くした。やっぱりな絶対に攻撃が当たるってことは相手の行動をできなくさせて一時的に青髪に関係している全ての効果の発動をできなくさせてるってことだな。
「死ね、」
ノンに目の欣求が向けられる。目の欣求はノンの全体像を映していた。
――まってよ。死にたくない、死にたく。
その瞬間、ノンは過去を思い出す。
「お前はなんでそんなに基礎的な学問も出来ないんだ」
「ごめんなさ、」
ドゴン
ガリュウは壁を拳で強く殴る。
「何を言っているんだお前は!! 別に俺はお前の謝罪が聞きたいわけじゃないんだ、理由を教えろ、理由をしっかりと言え、」
ノンは泣き出しそうになる。
「貴方もういいんじゃない、」
「いや、駄目だ、まったく駄目だ、」
「……、y………r………s…n…
……。」
女のその目は今すぐガリュウを殺しかねない殺意と威圧感を醸し出していた。女はガリュウを殺そうとしていた。その時の女には道徳性や人間性などは皆無である。ただ目の前にいるものを殺すという強い感情のみが女の心に留まっていた。女がそう言うとガリュウは話さなくなり
「ああ、」
と一言だけ応じると去って言った。
ノンは何も言わずに立っていた。その女は何も言わずにノンと同じ目線になるまで座り抱きしめた。ノンは号泣し大声で泣き始めた。
数日後、ノンは自分の家の中で女に向かって話し出す。
「ねえ、何でパパはあんなに怖いの?」
「そーじゃないのよ、ノンちゃん、パパはねノンちゃんの事をすごく心配しているの、だからあんなにきつい言葉を言ってしまうの。」
「そんなの、分かんないよ、」
そんなノンの言葉にその女は言う。
「パパは優しい人よ、」
ノンは何を言っているか全く分からなかった。分からなかったが直感的に何かを感じ取り彼女はそれ以上何も聞かないことにした。
数日後、その女は死んだ、酒場に来た暴走している者に殺された。ノンはその事実を聞かされた。ノンは、何も思わなかった。
「……、」
何も思えなかった。ガリュウは何も言わず表情がなくなった彼女を抱きしめ泣いた。
その数年後彼女は父と親友を殺した。
過去をノンは数秒で思い出した後、開いた口がふさがらなかった。何も考える事が彼女には出来なかった。
04:13:55
!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
donn!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
「……、いやだww、嫌だ、嫌だ、嫌だ、嫌だ、嫌だ、嫌dあ、嫌dあ、嫌だ、嫌だ、嫌だ、いやだ、いyだwwwwww、いやだww、いやだwwwwwww、いやだ、いやだ、いやだ、いやだ、いやだ、いやだww、いやだ、いyだいやだ、いやだwwwwwwwwwwwwww、いやだ、いやだwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww。」
放心状態にあったはずのノンは突如として頭を抱え込みそう笑い狂いながら言い始める。そうして、ノンが何かを感じたのか言う。
「理解wwww、いいよwwwwww。」
ニヤ
「心臓」
「鬱になった女」
バゴーン!!!!!!
――なんか、こんなフラグ前も見たな、
ノンは生きていた。
ノンの髪が毛根から黄色へ、目も黄色へと徐々に変化していく。そうして、ノンは笑っているのか笑っていないのか判断できない表情で話し出す。