2.?
10月11日
「貴方が、狂璽隊に入隊したユウさんですか?」
緑目青髪の女ユウは、ある街の店の前で女に声を掛けられた。後ろを振り向き
「はい、そうです。」
と応答する。ユウの目の前にいる女は、黄色の髪、黒目でゴーグルの様なものを装着しており手袋のようなものもしている。
「そうですか、では、」
と言い銃をユウへと突きつける。
「答えなさい、」
ユウは考える時間を与えてもらえなかった。
「…………。」
ユウは黙り込む。
「……、なぜ貴方は自分の発言に疑問を抱いているの?」
「…………、」
ユウは動揺しながらも右手を強く握りしめる。
「やめなさい、ヒレツ。」
とユウへと銃を向けてる女ヒレツの後ろから声を誰かが発した。その声がヒレツに届くと銃をゆっくりとユウから離し地面へと落とした。
「……いい子。」
その声の主はそう言ってユウへと近づき、目の前で立ち止まり話始める。
「ごめんなさいね。貴方が、ユウでいいかしら?」
「h、は、はい。」
動揺しながらもユウは言葉を発する。その女はその声を聴き笑顔を作る。
「こっちに来てもらえる?」
その言葉にユウは返事をすることなくただ女が歩いて行く方向へと付いていった。ヒレツといわれる女もユウの後ろについてくる。
何分歩いたのだろうか、その記憶は私に一切無かった。気づいたときには一室の部屋の中にいた。私はそこにもたれるように座っていて、前には足を組んでいる女性がいた。
「それで、何でお前はこの狂璽隊に入ろうとしたのかな?」
私の横にはヒレツと呼ばれている女性がいるようであったがそんなことは今の私にとって二の次であった。直感的であてにならない本能による、この前にいる女性への異常なほどの恐怖を感じていた。それはただの恐怖ではなかった。
様々な感情が交じり合い、私はただこの目の前の女性に付き従うことが運命であると比喩できるほどの絶対順守だった。
「…………。」
恐怖心から私は何も話すことは出来ず、息を吸おうとする行為さえもこの女性の前では恐ろしかった。女性は私の事をじっと見つめて言う。
「……なるほど、お前は私が怖いというわけかな? …………。」
「…………。」
「この隊に入隊した糞は、お前とは違ってもう少し話したものだけどね。酷い人では私を殺そうとした。まあ、皆強いからいいのだがね。もう一度問うてあげるよ、ユウ、お前はなぜこの狂璽隊に入ろうとしたのかな? 簡潔にイッテくれるといいかな。」
声を、声を、声を、だすn、だ、わたっし、冷や汗がすごい、鳥肌も尋常じゃない。息が、荒、い。これは、人、なのか?? 喉から声が出ない。
「…………。」
「……、えーっと、優しさが足らなかったのか、まあどうでもいい、しょうがないね、」
この、言葉はどういう意味だ? 殺されるのか、は、はは、ハハハ、ハハハハハ、ハハハハハハハ、ハハハハハハハハハハ。
「h、わたし、は……、ある団体を、崩壊、させた、いです。」
ハハハ、これだけハハハハ、感情を、ハハハハ、精神を、ハハ、ハハハハ、壊しても、ハハハ、これだけしか、ハハハハハ、言えないいいいいいいいいいハハハハハ。
なんで、ハハハ、そんな私の目の前に、ハハハハハハハハハ、寄ってくるん二ヒヒヒヒ。
「…………! そうか、お前は私の事を一切疑っていないのか。」
? ? ? ハハハハハハハハハハハハハハハハハ
「いちよ、言っておいてやろウ、何であっても誰であっても確実な証拠がない場合は疑わないとお前は何も守れない。例えば、お前自身とか、な。」
「え、」
ハハハハハハハハ。
なんだあ、なんか願ってるな、立ってるしタッテルッテハハハハハ。あれ、なんか影っぽい者出てるじゃん、なにあれ、あ、普通の影かハハハハ、びっくりしたよ~。
「あれ、お前死なないの、しょうがないな、じゃあ。」
ハハハ、ハハハ、hっハハハハハ。
「…………、へーお、貴方面白いね。だけどね、一旦死ぬしかないんだ。」
ドン
ん、なんかあっついな、でも寒いハハハハハ。なんだろうとっても
楽しい!!
「ハハハハハハハハハハハハ、」
ユウはその時、ある部屋のベットから飛び起きるような勢いと声で起き上がった。しかし、彼女は気絶しているにもかかわらず笑っていた。その後もずっと「ハハハハハ。」と心ない笑顔と笑い声を上げ続ける。だが、その顔は恐怖におびえているような顔であった。
彼女のいる部屋はベットが三つと椅子が三つあり、ベット三つが一気に並んでおり椅子はそのベット三つの後に三つ並んでいる。左から並んでいるベットの三つ目にユウはいた。
「いかれてやがるな、俺らよりもやばいんじゃねえのか、」
とベットに最も近いところにある椅子に足を組みながら座っている17歳ほどの赤髪に赤目の体全体に傷がある女が言った。
「俺らって、ホントにその言い方どうかと思いますけどね、いちよ、貴方も女の子でしょう。」
と返したのは、ベットに最も遠い椅子に座っていた16歳ほどの黒髪に黒目の女だ。
「なんだ、お前、俺の話し方にいつもけちつけやがってよ、いちいちうるせえんだよ、お前も人の口きけねえだろうが女の子って気色がわりい。」
と赤髪の女は立ち上がり少しむしゃくしゃしたような言い方で言い返す。
「なんですか、私も、」
と椅子に座りながら黒髪の女が話を進めようとすると
「……、キョウさんもシケンさんも、静かにした方がいいんじゃ……。」
とびくびくしながらその様子を見ていた女が言う。彼女は16歳ほどの青目に黒髪の女で、ユウの目の前で壁にもたれず立っている。怖がりながらも誰も話を止めようとしないこの状況を、危険だと考えて止めようとする。
「なんだ、お前うるせえ……、」
と赤髪の女が急に話に横入りしてきた青目に黒髪の女に向かって怒鳴り散らかそうとした。その時、
「死ね。」
と誰かがそう言った。そう言ったのはこの部屋の中にいない人間であった。その声が聞こえた瞬間に話していた彼女らの声が聞こえなくなる。ただ、ユウの笑い声以外はシーンとした空気感が場を浸透していく。一向に壁によりかかろうとしない青目に黒髪の女性はその状況を安堵することなくまだ怯えた様子で立ちすくんでいる。すると数秒後
「は――、……、ほんとやめてくれねえかお前、お前の奴で俺が何回動けなくなった事か、だしこれめんどいんだよ俺の奴も使えなくなるからさほんとにだりいな。あと死ねっていう言葉……、」
と赤髪の女が急に声を発っしていると
「うるさい、黙れ……、静かにしろ、」
という声がそう言うと、また、喋らなくなりあたりがし――んとなっていく。遂に壁によりかかることが無かった青髪に黒目の女ムーンは怯えたようにして立つことをやめゾンビが目の前にいるかのような勢いで座り込む。赤髪の女キョウと言い争っていた黒髪に黒目の女シケンは一度ため息をついた後同じ場所にまだ座りながら言う。
「あの、レイさん、すいませんでした。あと、ここに来てもらえませんか新しく狂璽隊に入った人への歓迎会というか全員で向かい入れる会なんですよ。まあ、ヒキはおなか痛いとかの理由で来てませんし、エビルさんは自己中心的な人なんで来てないですけど。私含めた三人は来てるんですし、リビングにレイさんは個室があるんですから。」
黒髪の女がそう言って声の主だと思われるレイという女を説得する。そう言って数秒後どこかのドアがガチャッと音を立てて開きさらにもう一回ガチャという音が鳴る。そうしてこの部屋のドアノブが開く。
そこには、二人の女が立っていた。一人は、17歳ほどの青髪に青目の女。もう一人は16歳ほどの白目に黒髪の女である。
「……、ヒキおなかは大丈夫なの。」
「まあ、大丈夫です……。」
そう答えたのは白目に黒髪の女の方だった。青髪で青目の女レイはその部屋に入るとスタスタと直進する。ベットの横に椅子があるわけであるが、そこに立っていて何も喋らず何もしようとしない赤髪の女は無視している。
ベットまで着くと「ハハハハハ。」と笑い続けるユウの目の前で止まりユウの目をぎろりとした目で見る。そうしてレイは左手を自身の体の前に出し、小指を左手の薬指中指人差し指で覆い親指で小指を支える。
そうすると、レイの後ろから影が出現しそのままその影が徐々に表面から物体として現れ形作られていく。数秒後形作られ完璧に個体として完成された存在として現実世界に召喚された。その黒い影から作られた個体は水色の仮面を被っており仮面にも喜怒哀楽がなく感情は一切分からない。その下には黒い物体がついておりそれは人の形ではなく、どの動物にも属さない類似しない形をしていた。
大きさは、2mほどあり、部屋の天井にギリギリつかないほどの大きさであった。
「黙ってくれ。」
とこの物体をだしたレイは言った。そういうと、急にユウの笑い声が聞こえなくなり表情のみが変わらないまま静止した。青目で黒髪の女ムーンはその様子をびくびくした様子で見ている。
その様子を察知したのか、レイはムーンの方を見る。その威圧感にムーンはやられて座り込んだ状態からやっと壁につき、体操座りのような態勢でもたれこむ。
レイはムーンに対しての威圧をやめることは無くそのままムーンの方へと足を進めていく。ムーンは後ろに下がろうとするも動くことは出来ずやっとのことで後ろを見てそこに壁が存在しているという状態を知る。テンパりながら前を見ると目の前にはレイが立っていた。
「……えっ、殺さないで、ください。」
とムーンは泣きそうな顔で震えた声を発する。レイはそんなムーンの気持ちを考えることなく自身の右ポケットに手を突っ込む。そこからナイフを取り出し、ムーンの顔の目の前に突きつける。そのまま何も喋らずただムーンを見下すという訳ではなく、ただただじっと見る。そうしていると
「ハハハハハハハハハハ。」
とユウが笑いだす。その瞬間に赤髪の女キョウが動き出し、レイの足元めがけて突進し頭をレイの足へと当て、ムーンから遠ざける。レイは横に倒れこみナイフは彼女の右手から離れレイの前方に落ちる。赤髪の女キョウは体を起き上がらせて、倒れているレイに向かって話し出す。
「お前の懟呪がめんどくせえってことは元から分かってるしある程度ツええ、だけどなそれをメンバーにやるのはどうかと思うんだ。もう少し考えて使え、そうしねえと……、まあいい。それより、シケンお前なんで止めねえんだよ。」
とキョウは言い、後ろを振り返るとそこには倒れて気絶しているムーンとそれを呼び掛けているシケンの姿があった。
「貴方も早く動いてください。ヒキは、救急箱を持ってきていますから。貴方はどうやってもいいんで起こさせてください。貴方のとりえはそれぐらいでしょう。」
――腹立つ――!!
キョウはそう思いながらも気絶しているムーンを正気に戻させるために大きな声をかける。そのようにしてこの部屋が大きな声と不気味な声を上げている時、エビルという18歳ほどの黒髪に水色で少し黒が混じった目の女はその部屋から少し離れた自身の部屋にいた。
そこで、座りながら自身の椅子に人を座らせてじっと見ていた。彼女はその人をじっと見るとそのまま
「まったく分からない。まあ、いいや。」
人へと銃を突き付けて撃つ。そうしてもう一度女はその人の事を見る。女は
「やっぱり、分かんないね。」
と言いもう一度その人の顔面に撃つ。もう一度見てもやはり彼女は何も分からないようで、すぐにめんどくさくなり、
その頃、ユウがまだ笑っているあの部屋ではムーンが正気を取り戻し、ユウのベットの二つ横のベットで少し静かに寝転んでいる。ムーンを異常に怖がらせたレイはそのベットから最も離れた所の椅子に座っている。キョウは壁によりかかりながらレイの目の前で彼女を監視している。シケンは、ユウに最も近い椅子に座り彼女に質問をしながら正気を取り戻す方法を模索している。ヒキはムーンのベットのさらに左側の壁によりかかっていた。その状況の中で入り口を開ける音が聞こえる。
そうして黒髪、水色に少し黒が混じった目の女エビルが入ってきた。
「ごめんね、遅れちゃったよ。」
と笑いながら彼女は言う。エビルを見て、シケンは少し戸惑いながらもまあ、彼女ならあり得るかと思いため息を吐きながら言う。
「エビルさんは何をしてたんですか?」
とシケンは言うが、エビルはそのことを少し気にしながらも表面上には出さず、自身が興味を持ったものに対して言う。
「え、これ誰、もしかしたら新しく狂璽隊に入隊する子? そしたらとてもうれしいなこんないかれた子が入ってくれるなんて、ほんとにうれしいよ。」
エビルはそう言ってユウのベットに座り込みよりかかるようにして彼女を見る。足をつんつんと触るが「ハハハハハ」とユウは笑い続けている
「……、あれ全然動かないんだけどどうすればいいのこれ? そっか、撃ち抜いて殺せって言う事かそうしないと起きないんだね。わかったよ。」
彼女はそう言って自身の小型の銃を右ポケットから取り出しユウめがけて撃とうとする。シケンがその行動を認識して打つのを止めさせようと言葉を発するよりも前にエビルは銃をユウに向けてセットしていた。
レイが小指を覆い、声を発した。
「殺すな。」
そう言うと、エビルは行動をやめた。銃をセットした状態で動かなくなっている。そのまま、シケンはエビルが持っている銃を右手で持ち投げる。そうして、エビルはまた動き出し、
「ハハハ。」
といった状態で銃を撃とうとするがそこに銃がないことを撃つ直前に気づく。そうして彼女は理解する。
「あ――、またレイ君か、レイ君の懟呪ホントにめんどくさいよね。倒そうとしてもすぐにいなくなっちゃうしさ、実際にもういないし、まだ分かんないこと僕たくさんあるんだよね。その懟呪の名前とか、効果的な物、今回だと僕が止まっている時間は他の人には止まっているように見えたけど僕には止まった時間がないと思っている。けど実際に止まった時間は存在していた。それは僕自身を止めていたのかそれとも自身と他の人をパラレルワールドに移動させたのか。
他の場合で言うと、僕自身が止まっていると分かっている場合だね。これはただ僕を懟呪の効果で止まらせていると考えるのが妥当だろうね。こんな感じで分かることもあれば分からないことも多いんだ、だからいちよ隊の一員だから教えてくれてもいいんじゃないかなレイ君。」
「……。」
エビルは、レイの元へと歩きながら少し威圧を掛けるもレイは一向に話そうとしない。エビルはそのレイの様子を観察し言う。
「まあ、僕自体懟呪の効果とか言ってないしレイ君みたいに何回も召喚しないし言わないことは妥当だろうね。レイ君が怒っていると嫌だからいちよ少し僕からお得な情報を流しておくよ、僕の懟呪は実は一体だけなんだよね。」
その言葉を聞いてもレイは一向に様子を変化させない。
「あれ、知ってたのかな、それはごめん、じゃあ、もう一個だけ絶対に君が知らなそうな情報を言っておくよ、皆も聞きたかったら聞いといてね。」
とエビルは、全員に聞こえるよう大きな声で言う。
「実は……、僕は、何も誰も裏切ってはいません。」
レイの顔の筋肉が少しだけぴくッと動くが他4人は何をこいつは言っているんだと感情の中で思い、なにも変化をつけることなくただこの空気感に浸透していく。そんな意外と薄い反応にエビルは
「……、なんだよ、意外とすごい情報だったと思うのにな、だって絶対いるでしょウ裏切り者、」
その言葉にキョウとムーンは反応する。エビルはその反応に
――そうこれこれ、これが見たいんだよ。
と思ってしまう。
「だっていなかったらおかしいでしょ、こんなに転生者をぶっ殺してるのにまだ全然見えないんだよ奥底が。今回もひとりの転生者殺したのにさ全然まだたくさんいるってダークネスさんに言われちゃったし、ね!!」
という言葉を聞きキョウとムーンも引き下がる。シケンはエビルに向かって話す。
「エビルさん、今回の作戦内容聞きましたか、ちゃんと。」
「なんだよ、聞いたよ、転生者を殺す事でしょ。」
「はー、ほんとにエビルさんは、今回の作戦は転生者の本拠地が見つかったからそこにいって転生者を全員抹殺することですよ。」
その言葉をエビルは聞き
「え、やった――――――――!! ってことはここに裏切り者がいるなら今すぐ裏切ってみんなを殺さないといけない訳だ。でもそれが今はいないから裏切り者はいない。良かったよ。」
と無邪気な子供のように喜んだ。
――俺よりも馬鹿な奴がいると楽なもんだな。ま、なわけねえけどな。
とキョウは心の中で思った。彼女は知っていたのだ。だからこそ、彼女は声を発することなく感情を持った。エビルこそがこの狂璽隊で最も強くてイカレている悪に最も近い存在であることを、