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53-1

 野良パーティーの間は、遺跡の古代獣からのステータス強奪は出来ないな。

 まぁミスしても連続使用にカウントはされるようだからいいか。


 森の迷宮の入口になっている巨木はそのままで、周辺の木は伐採されていた。その分、ギルド支部の建物とこじんまりした宿、それに数軒の小屋がある。


「わぁ、たった三カ月で小さな町みたいになったねぇ」

「町って言えるのか? 村ですらないだろう」

「いや、立派な町だよ」


 俺とセシリアがそんな話をしていると、アレスはセシリアを支持した。


「あの小さな建物には看板がある。ハンマーの模様が描かれているから、鍛冶屋だろう。あっちは杖と弓の模様だから、木工細工師の店か工房といったところか」

「冒険にとって必要最低限の店が揃っていますね。王国から建築許可が出たのは二カ月ほど前です。それを考えると、彼らのなんと商魂たくましいことか」


 そうか。冒険者が利用する店が一通りもう出来上がっているのか。

 宿は確かに、ないならないでなんとかなる。食料も寝床も、自分たちで用意できるからな。

 だけど壊れた装備の修復だなんだのは、そうはいかない。


 小さな町……か。

 まぁ冒険者にとっては、だけど。


「では私たちも中に入る準備をしようか。どうせ一階は既に探索が進んでいるだろうし、奥を目指すべきだな」

「そのためにはあの列に並ばなきゃいけないようだぜ」


 アレスの意気込みを挫くつもりはないが、巨木の根元にあるダンジョンの入口前には五十人以上いそうな行列が出来上がっていた。


「し、仕方ないね。はは、ははは」


 アレスが顔を引きつらせ、大きなため息を吐いた。

 が、その後ろの方──つまりダンジョン入口の方で騒ぎが起きたようだ。


「おい、みんなこうして並んでんだぞ!」

「Aランククランだかなんだか知らねえが、ちゃんと順番を守れよ!」


 どうやら横入りした馬鹿がいるようだ。

 そしてAランククランというパワーワード。

 思い出すのはさっき見た豪華な馬車。あれも他の馬車を追い抜いて行きやがったな。

 街道では馬車が馬車を追い抜くのは、暗黙のルールとしてやっちゃいけないことになっている。

 日本と同じで緊急車両ならぬ、緊急用の馬車だけが例外として許される。


 なんてことを、乗合馬車の御者に以前教えて貰った。

 例外が認められる馬車には、真っ白な旗が掲げられているとも。


 あの豪華絢爛な馬車には白い旗なんてなかった。

 つまりマナー違反ってことだ。


 紅の旅団。

 狩場独占したり道路交通法を無視したり、そして今──


「ふんっ。我が紅の旅団が列に並ぶだと? この私が、君らと同じように並ぶ? その必要がどこにあるというのだ」

「僕らの父上が誰だか分かっているのか? 分かってて言っているのか?」


 ……やぁっぱあいつらか。

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