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17-2

「モンハウの報告はギルドにしておくよ。君ら名前は? ギルドにモンハウ討伐の功労者だって伝えておくからさ」

「……いや、俺たちは冒険者登録してねえから……」

「は? 冒険者じゃないのかお前。でも──」

「リック」


 熱血漢なパーティーリーダーってところか。それを魔術師の男が止める。

 俺が地下街の住人だって気づいたんだろう。


「冒険者でなくても、モンハウ討伐に貢献すればそれなりの報酬が貰えるはずだ。だから名前と、どこか連絡の取れる場所があれば上に伝えておく」

「そんなの出るのか」


 魔術師が言うには、冒険者であれば貢献値が結構貰えるとのこと。

 勿体ないことをした……。

 それから規模に応じてお金の報酬も出るそうだ。

 あと──


「モンハウ討伐者としてちょっとした有名人になれる」


 ──と。


 うぅん、それはノーサンキューかな。

 とにかくくれるものがあるなら貰うさ。


 名前と、それから地下三階の教会のことを話すと、このパーティーも生臭坊主に世話になったことがあると言っていた。


「じゃあギルドにはそう伝えておくよ」

「これ──少ないけど助けてくれたお礼よ」

「俺たちもやっと駆け出しを卒業したところで、あんまりいいものを渡せないのが情けないところなんだけどさ」


 そう言って彼らは数本のポーション瓶と、じゃらりと音のする巾着袋をくれた。

 中身は魔石だろう。


「ありがとう。正直助かるよ。今の俺にはお金が必要だからさ」

「そうか! 役に立ててくれるのなら、助けて貰った甲斐もあるってもんだ」

「いやいやリック、それなんかおかしいぞ」

「ほんと、ありがとね」


 彼らは階段を下りて魔法陣へと乗った。

 最後にもう一度振り返って手を振るので、俺もセシリアも手を振り返して──そして四人は転移装置を発動させた。


 なんだか良い冒険者だったな。助けられてよかった。


「いば、よあった?」

「ん? そうだな。良かったと思ってる。人助けが出来て、お礼も貰えて。ギルドから報酬、貰えるのかよほんとに」


 でも今はこの巾着袋の中身だ。結構魔石が入ってるだろ?

 口の紐を解いて中身を見ると、魔石とはちょっと違う石が見えた。


 ……これ……。


「宝石か!?」

「わぁ、きえい。あ、こえこえっ」


 俺が掌にだした石の一つを摘まみ上げ、セシリアがにこにこ顔で俺を見た。


「まおうしぇき」

「……魔王チェキ?」

「うぇ?」


 いや、首傾げられても困るんだけど。


「まぁこんな所でがちゃがちゃ広げねえで、上に戻って教会で神父に自慢しながらゆっくり見るか」

「うんっ、はい!」


 立ち上がって階段を下り、魔法陣を──


「はぁ、なんだよこりゃ。俺様のモンハウが潰れてんじゃねーか!」


 そんな声がして視線を左に向けると、大量のモンスターを背後に抱えて走って来る男が──いた。

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