表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

21/111

11-1

「リ、リヴァ……お前……どこからその娘さんを誘拐してきましたか!?」

「勝手に俺を罪人にしてんじゃねーよ! てめぇーには肉を食わせてやらねえからな!?」

「え、リヴァちゃん、俺様にお肉くれるの?」


 鶏牛からドロップしたのは、念願の肉だった。

 見た感じだと鶏肉のほう。たぶん二キロぐらいある。


 背負い袋に突っ込んで急いでやって来たのは教会だ。


「モンスターからドロップしたんだ」

「十一階で狩りをしたのか。はぁー、やったじゃねえか。あの階層のモンスターから肉をドロップする確率は、結構低いからな」

「やっぱそうなのか。結構長い時間狩りまくってやっとだぜ。はぁ、夜通し狩りをして眠い」

「うぅぅ、ふわあぁあ」


 セシリアも眠いようだ。

 だがせっかくの肉! すぐ料理したい。すぐ食いたい!


「鶏肉なら唐揚げにしたいが……塩しかねえもんなぁ」

「からあげ? なんだそりゃ」

「せめて胡椒でもあればなぁ」

「おい、俺様の話を聞いてくださいお願いします。ちなみに胡椒はねえが……これならあるぜ」


 そう言って神父が白い粉を持って来た。


「それヤベぇ粉か?」

「小麦粉だ、小麦粉! ヤベぇってなんだよ。どこでそんな知識付けてくんのか」


 主に前世だけど、地下街にだってヤバい粉はいくらでも流通してるじゃん。


 塩と小麦粉かぁ。

 水で溶いた小麦粉をうすーくつけて、そこに塩をまぶすか。


「ん、ん」

「なんだセシリア?」

「ん。おしょー」


 和尚?

 しおしおの黒い粒を差し出してきた。

 なんか……見覚えがあるような。


「お、おいそれ。胡椒の実じゃねえか? 俺様も見るのは久しぶりだぜ」

「え、胡椒!? セシリア、これ胡椒なのか?」

「はいっ」

「お前、凄い奴だな。最高かよ」


 頭をわしわしと撫でまわすと、セシリアは真っ赤な顔をして笑みを浮かべた。


 これが胡椒の実なら、中身を出さなきゃならないんだよな。

 ──と思ったら、神父がすり鉢とすり棒を持って待機している。


「セ、セシリア。どのくらい使ってもいい?」

「ん」


 彼女は鞄から小さな巾着を取り出して、そこから黒い粒をすり鉢に注いでいく。

 結局巾着の中身全部出してしまった。大匙一杯分ぐらいかな。


「全部出していいのかよ」

「ん。ん、んんー……ま……まとぁ、とっえうう」


 聞き取りにくいけど、また取ってくる、かな?


「よぉし、パパごりごりしちゃうぞー」

「誰がパパだよ、気色わりぃな生臭坊主。セシリア、言っとくけどこいつと俺は赤の他人だからな」

「ぅ……は、はい」

「やだなぁ、俺様とお前の仲じゃないですかー」


 肉のために必死だな。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ