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17/111

9-1

*カクヨムに投稿している1話分を、なろう向けに1話アタリの文字数を減らして分割投稿しています。

1/11までに投稿していたのは12-2。順次アップしていきますが、内容の変更などは一切ございません。

「っち。薬草を切らしちまったか」

「薬草? 神父が薬なんて必要なのかよ」


 最近は畑と資源区画での仕事を辞めて、ダンジョン十階での狩りをメインにやっている。

 魔石以外にもドロップアイテムがあるので、それも含めれば平均して一日大銅貨二枚の稼ぎになる。

 畑と資源区画で働いて貰う金より、こっちの方が多い。


 その日の稼ぎを預けに来たんだが、薬草がどうとか神父が呟く。


「あのな、魔法は万能じゃねえっつったろ。神聖魔法で治せるのは怪我だ。あと毒とか麻痺とか呪いとかの、状態異常効果だけだ」

「あぁ、病気とかは治せないって奴か」

「そういう事だ。解熱剤や腹下しに効く薬草は、常備しとかねえとな」


 それも全部子供たちのためだもんな。

 生臭だけど、根が善人過ぎるんだよ神父は。


「でも薬草なんて地下街じゃ高級品だろ?」

「だから直接自分で取りにいくのさ」

「え……神父が? つかどこに薬草があんだよ」

「あぁ、地下十一階にあるぞ」


 ダンジョンに生えてんのか!?


「そうだ。お前も行くか?」

「い、行くって、十一階か?」

「あぁ。十一階の魔法陣は踏んであるんだよな?」

「まぁ一応」


 十一階の転移装置を使うには金が要る。でも魔法陣を踏むだけならタダだ。

 いつかの時のために直ぐ十一階に行けるよう、一度そこまで下りて魔法陣を踏むまではしていた。

 ステータスの強奪もしておきたいところだが、いくら待ってもモンスターが来なかったんだよなぁ。


「十一階のどこまで進んだ?」

「進んだって言われても、魔法陣踏んだらすぐ上に引き返したから……」

「あぁ、そうか。あそこな、少し進むと外に出るんだよ」

「外?」






「外……」


 神父の奢りで十一階まで転送し、そこから歩いて最初の角を曲がると……

 通路の先は明るくなっていて、出口のようなものが見えた。


「あぁ、外だ。ただし作り物の世界だけどな」

「作り物?」


 神父が言った意味は直ぐに分かった。

 通路を進むと確かに外に出る。

 どこまでも草原が広がり、見上げれば青い空が続く。


 ただし──


「太陽が……ない」

「そ。太陽がねえんだ。ここは所詮ダンジョン内だ。どんなに見てくれをそれっぽくしても、地下であることに変わりはない」

「どう、なってんだ?」


 風だって吹いている。だけどこの草原には終わり(・・・)がない。

 地平線の彼方までずーっと草原なんだ。


「魔法で作られた世界──とでも考えとけ。どこまでも続いているように見えるが、ずーっと真っ直ぐ歩くと分かるが、途中で見えない壁にぶつかるんだぜ」

「へ、へぇ……あ、この草原に薬草が生えてんのか?」

「いいや。ほれ、あそこに岩みたいなのが見えるだろう」

「んー、あぁ、なんか不自然に四角い岩だろ」


 神父がその方角に向かって歩き出す。すると目の前の草むらからモンスターが突然──そう、それまで見えなかった奴が突然出てきた。


「リヴァ、たすけてぇー」

「棒読みいぃ!」


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