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この作品には 〔ボーイズラブ要素〕が含まれています。

なろうラジオ大賞3

ウジュルマカラ・エベレケセ・ハットトリック

掲載日:2021/12/17

 石を積み上げて作られた宮殿。

 その中に大きな堀があり、少年たちが一つの球を奪い合っている。


 腰巻を身に着けただけの、褐色肌の少年たち。

 サッカーボールほどの大きさの球の中には砂が詰まっており、どっしりとした重量感がある。


 球を相手の陣地にある大きな輪の中へ放り込むのだが、妨害を退けながらゴールするのは非常に困難である。


 チームの長であるヴァルハは黒髪の小柄な少年。

 持ち前のすばしっこさで相手を翻弄し、一気にグラウンドを駆け抜けてゴールを決める。


「やったな、今日も!」


 親友のマチナが肩を抱いていう。

 背が高く、金色の髪をした美しい少年。

 ヴァルハとは幼馴染だ。


「王に一番近いのは、お前なんじゃないか?」

「そんな……俺なんて……」


 照れくさそうに俯くヴァルハ。


「あのさ……話があるんだけど」

「なんだよ?」

「ここじゃちょっと……」

「…………」


 深刻そうなマチナの表情にただならぬものを感じたヴァルハは、彼と共にひと気のない場所へ行く。


「実は俺……生贄になるんだ」


 マチナの言葉にヴァルハは頭が真っ白になる。


「今までありがとうな。

 儀式までまだ時間があるけど……」


 その後の彼の話はほとんど頭に入らなかった。

 このままではマチナが殺されてしまう。


 やるべきことは一つ。


「おおおおおお! 決まったぁ!」


 試合で次々とゴールを決めるヴァルハ。

 そして……。


「すごいぞ! 一試合で三度も決めた!」

「奇跡だ!」

「王様ばんざーい!」


 三度得点したヴァルハは奇跡を起こした少年として、王になる権利を獲得。

 まず彼が最初に下した命令は……。


「俺は王マチナを愛妾として側室に迎え入れる!

 この決定に文句がある奴は前に出ろ!」


 民衆の前で宣言するヴァルハ。


 マチナを救うにはこの方法しかなかった。

 何故なら王の愛妾は生贄にされずに済むからだ。


「ヴァルハ……」

「お前は俺が守る。何があっても……絶対に!」


 そう言ってマチナの唇を奪うヴァルハ。

 二人は民衆が見守る中、熱い口づけを交わした。






 かつて存在した古代文明ウジュルマカラ。


 その国の王は代々、国技である『闘球エベレケセ』にて選ばれた。


 人の皮を張り合わせて作られた球をゴールポストに入れるという単純なルール。球技と言うより格闘技に近い競技で、一回ゴールが決まるだけでも珍しい。


 そのため三回ゴールを決めた者は英雄となり、王となる資格を得る。

 後世の考古学者たちは近代のスポーツになぞらえて、その栄誉をハットトリックと翻訳した。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 全て嘘? つまりこれはハットトリックならぬ、ハッタリトリックなのでは? うーん、ただここまできれいに書かれると、本当かもと思ってしまって、虚構だと言い切る自信がなくなる。 見事。
[良い点] 思わず検索したらこの作品だけが出て来た!
[一言] 勝った方が生贄になるというのは、また別の文明の話でしたっけ? 生贄になるのは名誉なことだとか、なんとか……。 令和のニホンに生きていて良かったと、つくづく思います。
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