第17話 天然発言と勘違い
「えええーーー!?」
予想と外れた答えだったので、思わず声を上げてしまう。
「縁君、ど、どうしたの?」
姫がびっくりしている。しまった。
「ごめん、なんでもない。それより、タカと仲良くやってるって……」
様子を尋ねた時のタカは何かありげだったが。
「こないだも、一貴君とは楽しく遊んだよ?」
何のことかわからないという表情の姫。
二人の間で勘違いがあるのか?
考え込んでいると、紬に横から引っ張られる。
(縁ちゃん、縁ちゃん)
(何かわかったか?)
(いや、姫ちゃんってちょっと天然じゃないですか)
確かに、時折そういう面を見せることがあるが。
(まさか……)
嫌な予感が思い浮かぶ。
(姫ちゃんとしては特に他意は無かったんでしょうけど)
(何か一貴を落ち込ませる言動をしたってことか)
確かに、そうだとしたら納得できるな。
姫の方に向き合って、聞いてみる。
「なあ、姫。最後にタカと遊んだのっていつだ?」
「先週の土曜かな。遊園地に一緒に行ったんだけど」
「タカに誘われたのか?」
「そうだよ?」
あいつから距離を縮めようとしたが、不発、といったところか?
それにしても、姫はどんな地雷発言をしたんだか……
「別れる直前に、タカに何か言われなかったか?」
「たしか、自分のことをどう思っているか、みたいな……」
あんまり印象に残っていないのだろうか。
思い出しつつ語る姫。
「で、どう答えたんだ?」
自分が姫に男として見られているかを気にしての発言だろう。
「大事なお友達だよって」
よりによって、お友達発言とは。
自分に一目惚れした男子だということ忘れてないか?
「姫ちゃん、一貴先輩とは何度も遊びに?」
紬の奴が割り込んで質問をする。
「遊園地を入れて、4回かな」
そりゃ、脈ありと思うよな。わかるぞ。
しかし、姫も他意はなさそうだ。
なら、気づかせてあげるのも思いやりか。
「姫ちゃん。先輩と顔合わせしたきっかけ、覚えてます?」
紬のツッコミ。そうそう、そこだ。
「それは、私に一目ぼれして……て、まさか!?」
ようやく発言の意味に気づいたのか、青ざめる姫。
「そのまさか。姫がそういう気が無いんだったらいいけど。ただ、考え中だったら、まずったと思うぞ」
「だって、そんなことは全然……」
青ざめた顔で姫がそんなことを言う。
「とりあえず、場は設けてやるから。そこで、ちょっと話し合って来い」
「そうする。ごめん、迷惑かけちゃって……」
心底申し訳ないという顔の姫。
別に悪気は無かったんだろう。
タイミングが悪かっただけで。
(しかし、後は順調に行くと思ったんだけどなあ)
世の中はままならないものだ。
というわけで、連絡を付けることにした俺達。
タカの奴、今頃落ち込んでいるだろうなあ。