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女魔王は楽しく笑っている。(上げ直し)

間違えてプロット上げてました。゜(゜´Д`゜)゜。ごめんなさい!


「ふふ、ふふふ」


 ノイルの返事を聞いて、魔王は軽く口もとに手を当てて喉を鳴らした。

 どうやら怒ってはいないらしい。


「君は本当に面白い。ああ、ボクの目に狂いはなかったみたいで嬉しいよ。……それは、大変素晴らしい理由だ!」


 まるで踊るように上機嫌でクルクルとその場で回るメゾに、ノイルはぽりぽりと頬を掻いた。


「えっと……まぁ、そう思ってくれるなら良かったですけど」

「勇者の身を心配して、代わりに自分が魔王を殺そうと思う思考回路。それを堂々と、ためらいもなくボク自身に言う胆力……」


 ピタリと動きを止めた魔王は、ニィ、と口のはしを釣り上げるような笑みを浮かべた。


「ーーー最高に狂ってるね。頭がイカれてるとしか思えないよ!」


 そんなことないと思うけどなー。


 と思いつつも、ノイルは言い返さなかった。


 ノイルは幼い頃から、大して勝ち負けに興味もなければ、あまり何かに執着することもなかった。


 そんな性格だという自覚が出たのはもう少し年齢が上がってからだったが、一つだけ、そんな自分にも大切なものがあった。




 ーーーそれが〝周りの人間が笑っていること〟だ。




 理由はなんでも良いが、泣いていたり怒っていたり、という態度で居られるのが嫌だったのだ。

 

 なので、どうしても仕方がない事情……今回の魔の国行きの時のソプラのように……がある時は受け入れるが、それ以外ではなるべく笑顔でいて欲しいのである。


 楽しく話して笑っていてもいいし、勝負に勝って笑っていてもいいし、何なら自分を馬鹿にしてからかっていても良いし。


 今の魔王のように、愉しそうでも良い。


 周りが笑顔で溢れているーーーそれだけで、ノイルはわりと満足なのだ。


 その中でも、ソプラはいっつも一緒にいたし、一番よく笑う相手だった。


 感情豊かで、負けず嫌いで、色んなことに興味を持っていた。

 笑顔が見たいから、その興味を持つことに色々と付き合い……最近では、勝てばよく笑っていたのでわざと負けていた。


 そんなソプラが勇者に選ばれたと知った時に、思ったのだ。




 ーーー魔王に勝てなかったら、あいつ泣くかなぁ。




 と。


 それなら先に魔王を倒してしまって、悔しがるあいつに自分が負ければ今まで通りだ、と。

 ノイルは、本当にただそう思っただけだったである。


「おや、ボクの評価に納得していなさそうな表情だね?」

「まぁ、正直。多少変な人間だっていう自覚はありますけど、メゾさんに頭がイカれてると言われるほどではないかなって」


 メゾは本心を伝えると愉しそうなので、ノイルは思ったことをそのまま口にした。


「君がそう思うなら、それでいいさ。……ああ、先に誤解だと伝えておいて、本当に良かったよ」

「何がです?」

「勇者と魔王の関係について、さ」


 メゾは流し目とともに、イタズラっぽい口調で言葉を重ねる。


「君に殺されなくて済んだからね」

「少なくとも、今の俺にあなたは殺せないと思いますけど……」


 そんな風に言いながらポケットに手を突っ込み【賢者の板】を取り出したノイルは、時間を確認して提案する。


「そろそろ、部屋に案内してもらってもいいですか? 魔王と勇者の関係については、気になりますけど時間なさそうですし」

「おっと、ついつい話し込んでしまったな」


 メゾも腕時計を確認すると、丸メガネを軽く押し上げた。


「また、試験を終えた後にでも君と話す時間を設けよう」


 彼女が指を鳴らすと、どこからともなく黒い礼服を着た老人が現れる。

 先ほど、転移魔車(シフトレイン)でノイルを迎えに来てくれた老人だった。


「爺や。彼を部屋に案内してから、会場へ連れて行ってくれ」

「御意。こちらへ、ノイル様」

「あ、はい」


 老人が歩き出し、メゾがニッコリと笑ってひらひらと手を振る。


「では、また後で」

「はい。失礼します」


 ノイルは頭を下げて、爺やと呼ばれた老人の後をついて行った。

 

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