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読みにくいかもしれません
それと、短いです
その日は、いつもと変わらない光景が流れていた。
孤児のチビたちと遊んだり、荒くれ者ども相手に腕相撲を挑んだり。丸太にちょっかいを出し、院長から拳骨が飛んできたり。代わり映えも何もない、平穏な1日だった。
はずなのに。
なんで
孤児院が
酒場が
燃えているんだ?
脳が理解を拒む。目の前で燃え盛る業火を前に、呆然としているだけ。イルキナが何かを言っている気がする。でも、そんなことどうでもいい、わからない。
孤児院と酒場の中から声が聞こえる。非情にも、聞こえてきてしまう。たすけて、あつい、だれか。そんな声が。脳は理解を拒み、動けないはずなのに、反射的に僕の足は炎の中へと進んでいく。あと数歩、声も炎ももう少しだ。いかなきゃ、たすけなきゃ。炎まであと半歩、声が明瞭に聞こえてくる。来るな、と。誰の声だ?来るなって。助けを呼んだんじゃないか。焼け死ぬ前に、僕が助けるよ。酒場の扉まで到達した。扉からはごうごうと、炎が飛び出している。声もはっきりと聞こえる。なんて言ってるかはもう、わからない。だけど、その声に導かれるように僕は炎の中に足を進め、炎は、僕を、優しく、包み込み、
容赦なく、僕を焼き殺す。
「っっっっっぁぁぁぁぁアアア!!!!!」
なんで僕は燃えている!なにがあった!わからない、あつい、わからない。とにかく消化、消化しないと!ここは、酒場か!酒場がなんで燃えて…いや、考えてる暇はない!僕は出口へと走ろうとした。出口は近かった。すぐに助かると思った。だが。
「あああつあついいいいい…だ、れか…」
声が、した。いや、してしまった。この声は孤児院のチビの声だ。そこで僕は過ちを犯した。チビのもとへ走ってしまった。頭の中ではなにを考えているんだ、という声と、たすけなきゃ、という声がガンガンと聞こえてくる。しかし僕は走るのをやめず、チビへと一直線に走った。チビの姿が見えた。こちらに背を向けていて前面はわからないが幸い、炎は局所的に肌を焼いているだけなのでまだ助かると判断した。僕の身体も限界が近いが、チビだけでも助けることができるはずだ。チビまではあと数歩、僕は手を伸ばす。だが、その手は虚空を切った。
なんで、と思うより先に、後ろ側…出口へと投げ出された。炎を抜け、地面へと激しく衝突する。炎に焼かれて限界も来ていたのか、僕は簡単に気を失った。
最後に見た光景は、燃え盛る業火の中でニヤリと笑っている丸太と、焼け爛れたチビの顔だった。




