「ムカつくほどモチモチね!!」
「はい、えー、では、えー、席替えの方法をまずはえー、決めたいと、えー、思います」
「桜、もっと真面目に出来ないか?」
「先生、ぶん殴って良いですか?」
舞花が傍迷惑なことを言ってくれたおかげでなってしまった委員長。その最初の仕事をこれでもか!というぐらいやりたくないオーラ全開で教壇に立った私は、早速担任に対して殺意が芽生えた。
当の本人は「何冗談言ってんだよ」みたいな笑いをしたあと「早く進めろ」みたいなジェスチャーをしてきた。
覚えてろよこのクソ担任!
「はぁー……。で、何か意見は無い訳?意見出さないと帰れないよ?」
仕方がないから話を進める。
でも、まだ入学して一月ほどしか経ってない事もあってか団結力は勿論、協調性というものもまだ無い。有ってもそれは仲良くなった人達との小さなコミュニティの中での協調性だ。当然誰も手を挙げないし、互いに顔を見合うだけである。
「なんか無いの?無いなら私が勝手に方法決めちゃうよ?」
一向に案が上がらないから私がそう冗談半分で言うと、一斉に「えー!」という非難の声が上がった。
アンタ等……。
「文句が有るなら案を何でも良いから挙げなさいよ。誰も何も言わないから、不本意ながら此処に立ってる私が不本意ながら案を出すって言ってるんでしょ?
ほら、早くしないと帰ったり部活行ったり出来なくなっちゃうわよ」
それでも挙がらない案。誰も手を挙げない。そしてまた互いに顔を見合う。
お前等全員コミュ障か!
結局案は、人に仕事を押し付け何故か静観していた舞花の「もうくじ引きで良いんじゃない?」の一言でくじ引きに決まった。そして先生に職員室から印刷ミスした裏が白紙の用紙を取って来てもらって、そこに番号を書いて、私が6×6の四角いマスに番号を適当に書いて、出来たくじをこれまた適当に皆が引いていくことですんなり席替えは終わった。
私の席はなんの偶然か全く変わらず、代わりに舞花が私の左隣に来た。凄い偶然だ。
舞花は私の隣になれたことがよほど嬉しいのか、「えへへ~、ゆうちゃんの隣だ~」なんてふにゃけた表情で言ってる。
そんな彼女の表情を見て、また男共の鼻の下が伸びた。
………………。
「いひゃい!いひゃいよゆうひゃーん!」
「アンタはいつもいつもー!このー!アンタのこのムカつくほどモチモチな頬っぺなんかこうしてやるんだから!」
「いーひゃーい!!」
クソ!ムカつくほどモチモチね!!