雨のち曇り編(7)
第7話「突然の告白・前編」
今日の天気は「晴れ時々曇り」と天気予報のお姉さんが話して
いたが、その通りにさっきまで快晴だったのに空の色は灰色に
染まっていたのだ。
建:「悠斗はそんな辛い思いを一人で抱えてたんだな」
新聞に書いてあった僕の記事の内容で何があったのか、その全て
打ち明けて、僕は何かを言う意欲さえ失ってきていた。
悠斗:「もう・・自分の過去には触れたくなかったし、二度と
思い出したくもなかったんだ」
やっとこの苦しみから逃れると思ったのに、この学園に入って
縛られて来たモノに解放されるとそう願ってきたのに、一番知られたく
ない友人に知られてしまい、何とも言えない状態でもあった。
そうすると僕の瞳から、少しずつ涙の粒がぽろぽろ溢れて
しまい、顔が涙で濡れてしまったのだ。
悠斗:「建達にこの事を話す勇気がなかったんだ・・・きっと話すと
また離れて行くんじゃないのかって、そんな不安と僕は戦ってたんだ」
僕はどんどん口から今まで言えなかった事の数を建にぶつけた。
悠斗:「野球で何かを失うぐらいなら、僕は捨てる覚悟はある
だからもう二度と野球はしないって誓った・・・・」
僕がその話をした途端、向こう側から違う男の声がした
?:「お前は、それでいいのか?」
突然聞いたことのない声がしたが、我を忘れてる
僕は、気にせず言葉を返した。
悠斗:「もう・・いいんだ!僕は弱くて臆病な人間だから」
男は首を振ってまた返事をした。
?:「いや、お前は強い、自分を臆病だと決めつけているだけだ!!
それに、絶対にお前は野球を嫌いになれないからな!」
僕は真っ赤になった目で、さっきから聞き覚えのない声のする方
へ顔を向けた。すると、見たことの無い生徒が目の前にいたのだ。
悠斗:「僕が・・・・強い?」
そう言ったら、男はキリッと笑顔な顔で
?:「そうだ!!お前は十分強い!なぜなら、ちゃんと友達に言えない事を
伝えれたからな」
悠斗:「な・・・あなた誰ですか!?それに急になんなんですか!」
建 :「おう!大事な話の中割り込むとはどうゆう神経してんだよ!」
僕と建が謎の男に動揺しながら返事をした。
?:「俺は、中等部2年の天王寺アキラだ!」
そう今まで、僕達に付け回してた男だったのだ。
天王寺先輩は、少しくしゃっと新聞記事の一部を僕に見せつけてきた。
アキラ:「この記事!天崎悠斗の事が書いてある・・・・これはお前だよな?
俺は、この試合の前の練習試合でお前を見かけて、それでその試合に凄く
感動したんだ。」
天王寺先輩はキラキラした目で話を始めた。
アキラ:「俺は、この試合でお前が本当に野球が大好きで、一球一球に愛情を
注いで投げてるってこの眼で見て確信したんだ、お前の強さは本物だってな」
悠斗:「それは、僕に同情して言ってるんですか?」
僕がその男が言うことに信用を感じなかった。
しかし男はでかい声量で言葉を返す。
アキラ:「違う!同情なんかじゃない・・・つ、つまり
俺がお前に何が言いたいかと言うと」
僕はゴクリと飲み込んだ
アキラ:「俺と付き合ってくれないか!」
1人の男が突然僕にお付き合いの宣言をしてきたのだ。
僕は口を開けてポカーンとしていた、どう捉えたらいいのか言葉の意味が
全く良く分からずにいたからだ。
しかもこんなジメジメした季節だから、そのフレーズは全く心に染み込まない。