雨のち曇り編(4)
「裏切り者」
その言葉がいつも僕の頭の中を過っていた。
悍ましく、皆んなが僕を見て睨みつけてる。
沢山の目玉に僕は囲まれてた。
そんな恐怖を日々を毎日送っていた。
あぁ・・・僕はもう必要としない存在、邪魔者でしかないのだ。
僕はこの場所に居てはいけないんだ。
僕は気づいてしまったのだ、この場所は二度と踏み込んでは
行けないのだと_______。
第3話「視線の先」
鳥の囀る鳴き声と、目に差し込む光
ああ、この感覚はよく覚えている。
朝だ。
目を開けると天井は真っ暗で、上から人の気配を感じる。
僕は二段ベッドの下で寝ていたからだ。
上には建が、隣にもう一個普通のベッドがあるのだが、そこに
紫稀が寝ていた。
ベッドの配置は、1週間前に建が「俺は上から人を見下ろすのが好きだ」と
言われて、紫稀からは「上に人がいるとイラッとするんだよねー
それに高い所もそんなに好きじゃない」と微妙な顔をしていたので、
「じゃあ、二段ベッドの下で」と僕が言い、その配置となったのだ。
そもそも前はどんな配置で寝てたのやら。
学園に来て、あれから一週間が経って、それから僕は二人を名前で
呼ぶような仲にもなっていた。
それは転校して次の日ぐらい、二人から「俺たちを呼び捨てで呼ぼうぜ」と
許可をもらい、そう呼ぶようにした。
早起きする生活に慣れてる僕は、二人より早く起きる。
あ、たまに紫稀くんが早く起きて机で何かブツブツ言いながら
作って?いるが、特に気にしないことにした・・た、多分。
僕は支度をする前に、紫稀を揺らして、建は声を出して
起こそうとしたが、中々起きない。
悠斗:「二人共遅刻するよー、僕は先に顔洗ってくるから」
部屋には洗面所はなく、廊下に配備されてる洗面所で
顔や歯を磨きに行く。
良くその場所に行くと、2年生の先輩と違うクラスの同級生に
会って話しかけられたりするのも日間になっていた。
「おはよう、天崎」
声をかけてきたのは、隣の部屋にいる服部と名の同級生だった。
彼は一年生の割には背が高く、筋肉質で多分女子にモテるだろう系の
顔立ちをしている。
悠斗:「おはよう、今日は朝練あるの?」
彼はまだ仮入部だが、バスケ部に入ってるみたいだ、背が高いから
先輩にスカウトされたのがキッカケである。
服部:「今日は、無いよ・・・それより、あの二人はまだ起きないのか?」
服部くんは、偶に僕が起こしても起きない二人を大きな声で起こして
くれる、ピンチヒッターの役目をしてくれるのだ。
悠斗:「多分、消灯時間過ぎてるのに、ゲームしてたからだと思う」
1990年代の所有してたゲームといえば、「スーパー●ぁみこん」が主流
だったのだ、この学校はTVも各自部屋に備われており、ゲームも学校側から
借りる事が出来る。
服部:「ま、遅刻したらでしたら、自業自得だ。」
そう言って彼は自分の部屋に戻っていった、時には厳しく方針だね。
僕は、顔を洗いタオルで拭こうとした瞬間、何かビビッと視線を感じた。
悠斗:「ん?」
周りを確認したが、声もしないし何もしない。
まさか幽霊?っと思ったけど、僕はそもそも霊感が無いからそれは
100%無いと思った。
悠斗:「おかしいな・・・誰か見てた気がしたんだけど」
僕はそう言って部屋に戻った。
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「やっぱりアイツは、仮入部の時までには欲しいんだよな」
一人の男がロッカーが沢山置いてある隙間からヒョコっと出て
呟き始める。
その男の正体は高身長と茶髪で、ハーフの顔立ちをしていた。
この前、悠斗達を窓から見ていた1人、アキラと名の少年だった。
アキラ:「せっかく、同じ寮にもいる事だし」
彼は顔をニヤリとさせて
アキラ:「そろそろ勧誘しますかのー」
そう独り言をぶつぶつ言って、そのまま悠斗達の部屋とは反対方向に
立ち去ったのだ。
悠斗は、中々起きてくれない二人を一生懸命起こそうとしている中、
一人の少年が動き始めていたのだ_______。