第21話 直談判
予告してた5日も、余すところあと2時間を切っておりますな。
今回は真面目に危なかった・・・・・・。
「ただ今戻りました!」
時刻は間もなく正午近く、リンデン砦の王国側、臨時に設けられた王国軍リンデン砦派遣部隊の指揮所の天幕に、偵察から戻った騎士の声が響いた。
その声を受け、指揮所内で王都から派遣されてきた援軍の指揮官と打ち合わせをしていたギータン・ポアルソンが、報告に戻った騎士に声を掛ける。
「おう、どうだった? 向こうの様子は。報告を聞こうか」
報告を求められた騎士は、敬礼と共に答えた。
「はっ、それが、ビンガイン・ドマイセン両軍の撤退は確認しました。ただ、砦内にて両軍の兵士4名を発見しまして、尋問した所、自分達はビンガインのトール・ハルマイン、及び、ドマイセンのオルフ・ヤノス、それに従卒2名であると・・・・・・」
「何っ!?」
その報告に驚きの声を上げたのは、王都から派遣された援軍の指揮官である、エレネス・ラウ・ホルストーン子爵だった。
面長の神経質そうな目をした四十代の男で、兵の統率には一定の評価がある。
「オルフ・ヤノスと言えば王国にも聞こえた将ではないか。見事な髭が特徴と聞いたことがあるが?」
ホルストーン子爵の問いに、騎士が答える。
「はい、確かにオルフ・ヤノスと答えた兵は、見事な口髭を蓄えていました」
その答えに、ポアルソンとホルストーン子爵は顔を見合わせる。
「本物・・・・・・なのでしょうね。替え玉を残す意味も無い。しかし、本物なら尚のこと、なぜ残ったのでしょう」
ポアルソンが見解と疑問を呈すると、ホルストーン子爵は首を横に振った。
「わからんが、とにかく会って話を聞いてみないと始まらん。架橋の方は?」
「あと1時間もすれば、取りあえず渡れるでしょう。まあ、それからですな」
「ふむ・・・・・・王都から、やっと着いたと思えば、圧倒的に有利だったはずの敵は撤退しているし、しかも、お膳立ては何処の誰とも知れぬ異邦人の娘が、全て一人でやったとか。そうかと思えば敵の指揮官が残って待っている・・・・・・俺も長いこと軍にいるが、こんな訳のわからん戦は初めてだよ」
ホルストーン子爵の愚痴に、ポアルソンはただ苦笑することで答える。自分も同じ気持ちだと。
「そういえば、件の少女は?」
今更思い出したように尋ねる子爵に、ポアルソンは気も無く答えた。
「ラバナウと一緒に架橋の指揮をしてくれてますよ。あの空飛ぶゴーレムがいなくちゃ、仮設とはいえ、こんなに早く架橋なんて無理でしたから」
そして1時間後、リンデン砦内の兵舎の一室に、テーブルを囲んで居並ぶ面々の姿があった。
窓を背にした側にホルストーン子爵とギータン・ポアルソンが座り、その横にはリンデン砦の守備隊長であるファレク・ラバナウ、そしてサクラコが澄ました顔で座っていた。
実は、サクラコの会合への出席については、ポアルソンから要望があったものの、最初サクラコは出席を拒否していた。
自分の役目はビンガイン・ドマイセン軍の撤退までであり、サービスで架橋の手伝いまではしたが、撤退が成った以上、その他の事は埒外である、という理由だ。
それをポアルソンとラバナウの両人で、『敵の指揮官が残っている以上、まだ敵の撤退という条件は満たしていない』と説得し、なんとか出席の同意を取り付けていた。
部屋の四隅と出入り口には護衛の兵が立ち、戸口を背にした側には、オルフ・ヤノスとトール・ハルマインが座り、それぞれの従卒は彼等の後ろに立っている。
椅子に座ったヤノスとハルマインの視線が、チラチラとサクラコと、その背後の窓の外に移るのは、昨夜のことがトラウマになっているのかも知れない。
「それで? 話があるということでしたが・・・・・・」
全員が席に着いたところで、さっそくポアルソンが端緒を開く。
仮設の橋が完成し、兵士達を率いて砦に乗り込んだラバナウに対し、兵に囲まれながらも堂々とした態度でヤノスが言い放ったのは、「話がしたい。あの娘を連れて来い」ということだった。
砦の守備隊長でも、ダスターツ伯領軍の団長でもなく、ましてや王都からの派遣軍を率いる子爵すらスルーしての、前代未聞の要求だったが、後から来たホルストーン子爵を除けばサクラコの規格外の働きは身に染みて感じている。
たいして議論するまでもなく、この会合が開かれる結果となった。
「お前の要求通り、軍は撤退させた。こちらは要求を飲んだのだ。次はこちらの要求を飲んでもらいたい」
ヤノスのその言葉は、だたサクラコにだけ向けた言葉だ。
他の出席者など目にも入らない様子で、ただサクラコだけを睨み、ハルマインも同様に真剣な眼差しをサクラコに注いでいる。
そんな2人の様子に、ホルストーン子爵は気分を害したように眉を顰め、ポアルソンとラバナウは、サクラコ絡みじゃ仕方がないといった諦めの表情で肩を竦めた。
「それは些か失礼な話では・・・・・・」
完全に無視された形のホルストーン子爵が抗議の声を上げかけるが、すぐにヤノスが一喝する。
「外野は黙っていろ! 俺はそこの娘と話をしているのだ!」
「なっ・・・・・・」
あまりの言い様にホルストーン子爵は顔を真っ赤にして憤慨するが、すかさずポアルソンが宥めに入った。
「まあ、ホルストーン卿、お気持ちはわかりますが、ここは冷静に。ヤノス殿も、もう少しご自分の立場を考えられては如何か」
ヤノスとハルマイン、それに2人の従卒は、王国軍の支配する砦の中にいる。
言わば生殺与奪の権は王国側にあるのだ。
しかし、ヤノスは言い放った。
「立場なんぞ理解しとる。話が済めば、俺とハルマイン殿の身柄は首を刎ねるなり好きにしろ。刎ねた首は後ろの2人に持たせてくれればいい。その為に残したのだ」
そう嘯くヤノスに、ハルマインはやや困ったような表情ながらも頷き、後ろに立つ従卒達は痛ましげに顔を伏せた。
ポアルソンとしても、そう言われると言葉が続かない。
救いを求めるようにサクラコの方を見るが、相変わらず澄まし顔で何を考えているのかわからない。
「どうなのだ!」
何を考えているのかわからないのはヤノスも同じだったようで、苛ついた声でサクラコに発言を促した。
それでようやくサクラコが声を発する。
「要求を飲めと仰いますけど、なぜ要求を飲まなくてはならないのでしょうか」
「昨夜、貴様は関係無いと聞くことすら拒んだが、ここは是が非でも聞いてもらおう。
そも、この戦の発端は、王国が新たに開発した銀山によって、ボノ川の下流となる我が国の一部地域に重大な害が齎されておることに発するのだ。我が国は何度も抗議したが、王国は一顧だにせん。
よって、一戦して王国に打撃を与え、引き換えに銀山の廃坑を要求する為のものだった。正義は我等にある!」
その主張に、王国側の面々は、ややバツの悪そうな表情を浮かべている。
しかし、サクラコは相変わらず澄ました表情を崩さない。
「はあ、それは昨夜も言いましたけど、あなた方の事情など別にどうでも・・・・・・ニーロが迷惑してたから受けただけのことですし、何か要求されてもメリットもありません」
冷たく言い放ったサクラコに、それまで黙っていたハルマインが突然横から口を挟んだ。
「ニーロ? その、ニーロという人はどうなのですか!? その方も、この事情を聞いて関係無いと言われる方なのですか? それに、メリットだって提供できるかも知れない。その方と話すことは出来ないのですか?」
ハルマインとしても首と胴が離れるかも知れない瀬戸際だ。
立場上、もう命は捨てているが、何の成果もなく敗軍の将として断罪されるより、せめて何かを残したいし、出来ることなら助かりたい。
思いつく限りの言葉で説得を試み、そしてその試みは成功した。
「ニーロなら・・・・・・そうですね。ニーロなら聞くかも知れませんね・・・・・・」
サクラコの表情が初めて変わった。
思案顔でブツブツと呟くと、ヤノスに向かって尋ねる。
「では一応お聞きしますが、そちらの要求とは?」
「まずボノ川上流の銀山の破棄、それから貴様の持つ技術の提供だ」
堂々と言い放った要求に、ホルストーン子爵が気色ばむ。
「何を馬鹿な!」
そう叫んで立ち上がろうとするホルストーン子爵をポアルソンが押し止め、代わりにサクラコが尋ねる。
「そのような要求が通ると?」
聞かれたヤノスはニヤリと笑い、しゃあしゃあと嘯いた。
「まさか。思わんよ。しかし、冗談のつもりも無い。こちらとて命を掛けての談判なのだ」
「つまり、こちらで落とし所を見つけろということですね」
「話が早くて助かるな」
ヤノスは愉快そうに笑う。
ハルマインは気が気でない様子だ。
「まず、銀山の破棄についてですが、これは私達にそれを決定する権限がありませんし、王国としても拒否されるでしょう。ですよね?」
最後の念押しはホルストーン子爵に対してのものだ。
「当たり前だ」
ホルストーン子爵も憤懣顔で頷いた。
「そこで提案ですが、事の要因は銀山から出される精錬後の廃棄物です。この廃棄物を処理する浄化施設の建設に対する助言をする、という線で手を打ちませんか?
私共から提供する技術については、流石にプラントを作るのは無理ですから、汚泥の沈殿施設と排水のペーハー調整施設くらいでしょうけれど、これまでの垂れ流しよりは良くなるはずです。
この技術についてはオープンにすることで、技術の提供という件もクリアしますし。如何ですか?」
にこりと笑うサクラコに、ヤノスは腕組みをして唸った。
「うむむ、浄化施設か・・・・・・欲を言えば、あの鉄火棒の技術が欲しいが・・・・・・それは良かろう。しかし、建設には費用が必要だ。それはどうする?」
「そうですね、費用については王国側で負担してもらいましょう」
まるで何でもないことのように、さらりと答えたサクラコだったが、流石にこれにはホルストーン子爵が食いついた。
「何を勝手な! 鉱山は我が国の領土内にある! その運営についてドマイセンが口を出すことが筋違い。そんな取り決めを陛下に奏上など出来るものか!」
王国側の国益を守るべき立場の人間としては当然の主張だ。
これまでの度重なる抗議に対して、王国は同じ理由で突っぱねてきたのだから。
しかし、今回は相手が悪かった。
「そうですか。王国も労せずして技術の供与を受けられるのですから、悪い話ではないと思ったのですが、拒否するとあれば、残る方策は問題となっている鉱山を消し去ることくらいでしょうか・・・・・・戦術核では周囲への影響が・・・・・・要は使えなくなればいいのですから、ファージに行ってもらって要所にC4を・・・・・・」
何やら物騒なことをブツブツと呟き始めた様子に、ポアルソンが慌てて口を挟んだ。
流石に『戦術核』や『C4』という単語のは意味がわからないが、『消し去る』という単語に、放っておけば大変なことになる予感しかしなかったのだ。
「ちょっ、ちょっと待って欲しい、サクラコ殿。この件については、ここで我々だけで決めるのは不可能だ。伯爵様にも報告して、陛下のご裁断を頂かなくては決められん。それまで待って頂きたい」
「ポアルソン、横から何を!」
子爵が抗議の声を上げるが、ポアルソンはすぐにそれを制すると、「ちょっと失礼」と全員に声を掛けてからホルストーン子爵を部屋の隅に連れ出し、小声で密談を始める。
「ホルストーン卿、お気持ちはわかりますが堪えて下さい」
「し、しかしだな・・・・・・」
「卿はご存知無いかも知れませんが、あの娘は、あの娘と仲間の男の2人は、たったの一晩でギガントライ10頭以上を、無傷で1度に討伐しています。卿なら、この意味を理解して頂けますね?」
「それは・・・・・・現実のことなのか?」
「はい。リュドーの代官が現場を確認していますし、確かな証人もいます。そもそも、彼女達はその功績でルードサレンに招待されていたのです。その実力も、一端ではありますが見せてもらいました。伯爵様も認めておられます。そして、絶対に敵対するな、と。私も同じ気持ちです」
鬼気迫る表情で念押しするポアルソンに若干押されながらも、ホルストーン子爵は疑問を呈する。
「わ、わかった。ダスターツ伯がそう言われるのなら納得しよう。しかし、いったい何者なのだ?」
この質問は何度目だろう。そう思いつつポアルソンは答えた。
「わかりません。本人達はただの平民だと言っていますが、あの出で立ち、教養、武力から、恐らくどこかの王族ではないかと予想されています」
2人は密談を終え、途中で席を立った非礼を詫びつつ席に戻ると、ホルストーン子爵が先程とは変わって落ち着いた様子で口を開いた。
「わかった。この件については、先程の彼女の案に沿う形で陛下のご裁断を仰ぎたいと思うが、それで良いか?」
「それは、どのくらいの時間を要するのでしょうか? 期限を切って頂かないと、私もニーロも暇を持て余している訳ではありませんし、あまり遅くなるようでしたら、いっそ原因を元から断った方が・・・・・・」
恐ろしいことを平然と口にし始めたサクラコを、慌ててホルストーン子爵が押し止める。
「い、いや、それには及ばん。すぐに書状を用意して、明日にでも使者を出そう。使者の往復と評議の時間を考えても、一ヶ月も見れば間違い無いだろう」
そこにすかさずポアルソンも口添えする。
「私の方からも伯爵様に報告して、一緒に奏上して頂けるよう手配しよう」
「そうですか。一ヶ月ですね」
ホルストーン子爵に念を押すと、今度はヤノスに向かって語りかけた。
「と、言うことですが宜しいですね?」
念を押されたヤノスも、多少不満げながら頷いた。
「不満はあるが、現実的な線としては妥当なところか。本当にあの鉱山を消し去れるものなら、俺としてはその方がいいのだがな・・・・・・よし! それではこの首、好きにしてもらおうか。王を説得する材料にでもしてくれれば有難い。ハルマイン殿には悪いが、一緒に残ると言い張ったは貴殿の方だ。運が無かったと諦めてくれ」
不敵な笑みを浮かべて言い放つヤノスに、ハルマインは半ば諦めの表情で呟いた。
「別に戦場に出た時から諦めてはいますけどね。後はドマイセンが、ちゃんと食料援助の件を通してくれれば、国にも多少は顔向けできますし・・・・・・」
「おう、ちゃんと書状を持たせて話を通すように言い含めてある。動いてくれるだろう」
そう言って励ますようにハルマインの背をドンドンと叩くヤノスに、サクラコの平然とした声が冷水を浴びせかける。
「あら、まだお話は終わっていませんよ?」
これには王国側の人間もげんなりした表情だ。
訳のわからない話し合いに付き合わされ、なぜか譲歩を引き出されて、取りあえず国王の裁可を得るという線で一応の決着を見たと思ったのに、まだ続きがあると言う。
「まだ何か・・・・・・これで終わりではないのか?」
恐る恐るといった感じでホルストーン子爵がサクラコの真意を質す。
これ以上、何かを吹っ掛けられては堪らない。
「はい。そちらの」 と言ってヤノスを見ながら、「要求を通すわけですから、ちゃんとメリットを提示して頂かないと」
「なっ、だから軍勢を引き上げさせたではないか!」
予想していなかった要求に、ヤノスも声を張り上げる。
しかし、サクラコは憤慨するヤノスを歯牙にもかけずに淡々と主張を口にした。
「それは関係ありません。確かに撤退をお勧めしましたが、決断したのはそちらの意思です。強制的に排除しても良かったのですが、なるべく無駄な死傷者を出さないように、と言うのがニーロの希望でしたので。
伯爵様との約束は、この砦からあなた方を排除し、私達とは無関係であることを証明する、それだけです。
ですから、私達にはあなたの要求に応える義務もありませんので、ちゃんとメリットを提示して頂けないというのであれば、先程の話も履行する義務は無いのです」
信に身勝手な理屈だが、サクラコはそこまで語ると「ご理解頂けましたか?」と、小首を傾げて見せる。
それに対し、ヤノスは「ぐう」と唸ったまま、顔を赤くしたり青くしたりで言葉が出てこない。
「それに、あなた、先程おっしゃいましたよね? 何かメリットを提示できるかも知れない、と。如何ですか?」
今度はハルマインに向かって問い質す。
「王国は、王国はいったい何を提示したのです? 我々の排除と引き換えに、金ですか? 爵位? 領地? いったい何を・・・・・・」
「ああ、それでしたら『王国内での自由』でしょうか。私達は、この世界の色々なものを調査する目的がありますから、その活動に便宜を図って頂く。
別に調査と言っても、各地の動植物の生態や生活文化、風俗などが目的で、軍事機密ですとか王宮スキャンダルなんて興味ありませんが、現在紛争のある、あなた方のお国と繋がっていると疑われては何かと不便ですから。
爵位や領地など、頂いても各地を巡るには邪魔なだけですし、お金にも今のところ特に困ってませんし」
「そんなもので・・・・・・」
それを聞いたハルマインは、呆れ顔で呟いた。
ヤノスも、それどころか、それを初めて聞いたホルストーン子爵も同じ気持ちのようだ。
「そっ、それでしたら、ビンガインでも同じく活動の自由を認めるという条件でどうでしょう・・・・・・」
ハルマインがヤノスの表情を伺い、それに慌ててヤノスも頷く。
「ドマイセンでも同じく活動の自由を認めるろいうことで。どうです?」
藁にも縋る思いの提案だ。
そんなもので釣り合いが取れるとは思えないのだが、実際、他に思いつかない。
「内容はそれで構わないと思うのですが、何方に保証して頂けるのでしょうか?」
「それは本国にいる知人に手を回して書類として引き渡そう。何通か書状を出させてもらえれば、難しくない。ハルマイン殿も、本国では名門の出、そう難しい話ではないはずだ」
ヤノスの言葉にハルマインも同意するが、その言葉にはホルストーン子爵が異を唱えた。
「ちょっと待ってくれ。今やお二人は我々の捕虜の立場。書状を出すなどと勝手な行動は許可できない」
毅然として子爵は断言するが、すぐにサクラコにやり込められる。
「あら、それでしたら許可して頂けば済む話ですね。許可して頂けますよね?」
さも許可されて当然のように念を押すサクラコに、子爵も思わず「ああ」と許可してしまう。
「では、後は王様の許可と、お二人のお国からの許可待ちということで。どちらも一ヶ月あれば十分でしょう。それでは、私は急いでニーロのところに行かなければいけませんので、後はお願いしますね」
そう言うと、サクラコはすたすたと部屋を後にした。
勝者のいない部屋に残された男達は、疲れた表情で敵味方なく顔を見合わせる。
「なんか・・・・・・こう・・・・・・疲れた・・・・・・」
そう呟くホルストーン子爵の声と、誰の物だかわからない溜息だけが響いた。
次回更新予定は12月14日。