好きだったよ。
ニノのことを最初に好きになったのは私。
アニーナは違う子が好きだった。
なのにどうして?彼女がニノを好きになって、
わずか1年足らずで二人は結ばれた。
私はずっと片思いだったのに。
皆、私に悲しいか、怒っているか聞いてきた。
なんでだろう。悲しくも、怒ってもいなかった。
でも、皆に内緒にしていたのは、私がまだ、ニノを諦められていなかったこと。どうしても、無理だった。二人の幸せそうな姿を見て、私だけ、嫉妬していた。何度も諦めようとしたけど、
3か月たったある日、彼らは別れた。
やっとあきらめられそうだったのに。
それでずっと、それからもずっと、私はニノに片思いしてた。気づいたら、3年半も片思いしてた。アニーナは私にずっと、「ニノがね、みづきが自分のことを好きって知ってるって言ってたよ」 とか、「ニノって、みづきの事うざいと思ってるらしいよ」 とかずっと言い続けた。
去年の11月、私は、ニノへの恋心を諦めることを決めた。長く伸ばしていた髪を新しい恋に向けて、短く切った。
でも、恋心は、そんなに早く諦める事は出来ない。心の中はずっともやもやしていた。
ある日、ニノが、私の電子辞書を使っていたとき、どうやったのか、「ノート」 を開いてしまった。
私はそんなこととも知らずに、親友のシャルロッテとアンドレアと、校庭で遊んでた。
学校が終わった後、家でくつろいでいると、ニノからメッセージが来た。
文面は「これ何?」 何だろうと思いながら添付ファイルを開くと、それは私がニノのことが好きだったときに「ノート」 に書いていたものだった。
そこには、ニノが好きとかなんとか、いろいろなことが書いてあって、ニノだけには見られたくなかった。
するとニノが、「みづきってもしかして、僕のこと好き??」 って聞いてきた。
なんて返事をしよう。
考えていると、あることに気づいた。
「ニノ、あなた私が好きだったことしってるでしょ?」
「私、アニーナにそういわれたんだけど。」
するとニノは、アニーナの言うことなんて信じたらだめだと送ってきた。
唐突に、私の頭にアイデアが浮かんだ。
今日、この瞬間、恋を終わらせようと。
私は、勇気を振り絞って、震える指で、メッセージを紡いだ。
「ニノ、私ね、あなたが好きだった。
焼きもちもいっぱいやいたし、悲しい思いもたくさんしたけど、でもね、あなたを好きだった時間は、とっても楽しくて、充実してて、輝いてた。
だから、ありがとう。そして、ごめんね。
みづきはニノの事が好きでした。」
一気に言いたいことを言ったら、もやもやも消えた。するとニノが、「みづき、気持ちには応えられないけど、友達でいてくれるかな?」と送ってきた。
返事はもちろんYES。
私はニノの隣に立ってる。
でも、友達として。それは、3年半の片想いの、最高の終わり方だと思う。