殺人事件
その日の朝はとても寒かった。雪国に来て一週間が経つがこの寒さには慣れそうにない。そんなことを考えつつベッドから体を起こすと、隣の部屋から祥子という女と正元という男の話し声が聞こえてきた。
「やっぱりやめましょうよこんなこと」
「ここまで来てやめるわけがないだろう、お前だって親父の借金を返すんじゃなかったのかよ」
なんだ、昨日の夜俺に賭けを申し込んできたのはそういうことだったのか。俺はてっきりペテン師が田舎者の俺から金を巻き上げようとしているかと思ってしまった。申し訳ない。朝食の時にポーカーにでも誘うとするかと考えながら台所に向かっていった。
一日目の朝食
その日は珍しく全員が集まっていた。全員の顔があり、とても面白い。俺はこの宿屋に一週間前からいるが全員が揃ったのは俺が来てから初めてだった。そして正元の隣の席が空いていたのでそこに座ることにした。
「珍しいですね、全員が揃うなんて」
いきなりポーカーをしませんかと言うのも嫌だったので何気ない会話から始めることにした。
「ああ、そうだな私は二週間前からここに居るが初めてだな」
「本当、珍しいこともあるものですね」
この宿屋で一番古株だろう男がこう言っているのだからそうに違いないとそう思った。
朝食を済ませると俺は正元の部屋に行った、昨晩相手をしてやらなかったポーカーをするためだ。途中、マリアさんとすれ違った。マリアさんは俺が来たあとすぐにこの宿屋に来た令嬢だった。俺は軽く会釈したが、相手はこちらを気にしていないのか歩くペースを変えずに去っていった。
俺が自分の部屋の隣の正元さんと祥子さんの部屋に着くと正元さんは
「やあ、よく来てくれたね」
と俺が勝負に乗ったのが嬉しかったのかとても弾んだ声で俺を部屋に入れてくれた。部屋の中には祥子さんは居なかった
「祥子さんはどちらに」
別に聞かなくても良かったことを単に、興味本位で聞いてしまった、すると
「妹なら外に巻を取りに行ったよ、全く他のところと連絡が取れないぐらいの大雪なのによく外にいけるもんだ」
「大丈夫なんですか、一緒に行かなくても」
「大丈夫だ、問題ないそれではゲームをしようか」
勝負は俺の圧勝だった。正元さんの部屋からの帰りに祥子さんの様子を見ていこうと思った。
二日目の朝
祥子さんが死んだ。死因はなにか刃物で首を切られたことだった。第一発見者は俺だった。朝外の天気を見に行ったら首元を切られた祥子さんが倒れていた。
そして今そのことでこの宿屋の全員が容疑者という形でまた、全員が集まった。
「あなた人を集めて何も始めないんですの」
「集めたのは私ですが話があるのは宿屋の主人の修二郎さんです」
なぜ、何も話さない俺が集めなければいけなかったんだ。それにこの宿屋の主人も遅すぎる。呼びに行くしかないか。
「ちょっと、私が読んできます」
「頼みましたわよ」
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次は修二郎さんが死んだ。俺が部屋に行ったときは居なく。そのあと全員で修二郎さんを捜索したところ自室でナイフで首元を切られて死んでいた。
「同一犯じゃないかな」
最初に口を開いたのは中也さんだった。
中也さんはこの中で一番歳が若い人だ。
「確かにその可能性が高いですね、ナイフで首元を切られているんだから」
まだ、同一犯かわからないが多分それが一番有力なんだろう。だから俺も中也さんに賛成だ。
「確かに同一犯かもしれませんが、一体犯人の目的はなんなんでしょうかしら」
確かに殺された二人は金銭面も何も盗られていない一体何が目的なんだろうか。
生存者4人 死亡者2人
下に続く