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少年少女の日常  作者: 村本鹿波
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食事は大事

途中から本編に関係ない話が始まります

生徒会のちょっとした話。いつ載せようか迷っていていい感じに書くことがなかったので載せました。

「しっかし包月が『破壊』と知り合いだったとはね」


もぐもぐ


「『破壊』って、あの『破壊』!?……ちょっと研究してみてーなー」


もぐもぐもぐもぐ。


「私もちょっと気になるな。テレビでちらっと見たことがあるけど、中学生とは思えない強さだったもん」


もぐもぐもぐもぐ。


「しかし話を聞く限りそこまで仲がいい感じがしないんだが」


皆の視線が私に集まる。

もぐもぐもぐもぐもぐもぐ

もぐもぐもぐもぐもぐもぐ

もぐもぐもぐもぐもぐもぐ

もぐもぐもぐもぐもぐもぐ

もぐもぐ……ごくんっ。


「で、何だっけ?」

「聞いてなかったの!?」


そこまで驚くことかな。えーと確か


「私と海破が不仲、だっけ?」

「不仲だとは言っていない。だが苗字呼びによそよそしさを感じるだけだ」


あーそうか。確かに苗字呼びはそう感じるか。


「特に不仲という訳でもないけど、かといってそこまで仲がいいとは言いきれないけど……。何かあったら真っ先に頼るのは海破だと思う」


一番信頼してるということだ。でもこれは今まで親しかったのが海破しかいなかったからだ。

私は一旦止めていた食事を再開した。

もぐもぐもぐもぐ

もぐもぐもぐもぐ。


「それにしても包月ちゃんよく食べます」

「俺そんな食えないぜ」

「俺も」

「あたしも無理。どんな胃袋しているわけ包月のは?」


契が問いかけてきたが

もぐもぐもぐもぐもぐもぐ

もぐもぐもぐもぐもぐもぐ

もぐもぐもぐもぐもぐもぐ

もぐもぐもぐもぐもぐもぐ

もぐもぐごくんっ。


「で、何だっけ?」

「さっきと同じ!天丼じゃん!」


先ほどから契は何か騒がしいような。ま、いいか。

食事を再開。

もぐもぐもぐもぐもぐ

もぐもぐもぐもぐもぐ

一心不乱にステーキにかぶりつく私を見て皆は溜息をつくだけだった。



私の食事が終わると解散となった。

ファミレスから私の家までそう遠くないので歩いて帰ることにした。

既に空には星が輝いていた。そういえば魔法が生まれる前の東京では星が見えなかったんだっけ。魔法と科学は融合した。そして人々は自然の力を知った。なぜだかは知らないが。でも昔の人はこの星が見れなかったのかと思うと哀れみを覚えた。まあそんなことはどうでもいいことか。しかし今日を振り返ると沢山のことがあった。どれも鮮明に残っているが一番はファミレスだな。

皆が私を受け入れてくれたのが思った以上に嬉しいみたい。だから同時に苦しい。嘘をついていることが。

でも自分で決めたことだ。とうに覚悟は出来ている。でも皆には言ってもいいかなと思う自分がいる。……考えても仕方ない。あとはことの成り行きに任せてしまえばいい。今は取り敢えず学校生活を楽しもう。

私はこれから始まる新しい生活に思いを馳せた。




〜生徒会の小話〜


「今年の一年生は豊作そうね」


細原が生徒会室を去り凍堂がそう切り出した。


「確かに。あと元気があっていいね」


と瑞輝が。元気があるのはいい、ただありすぎだ。


「だけど初日に戦闘だなんて血の気が多すぎだろ」


それに原因があまりいいものではない。はたから見たら男の取り合いだが、ことの発端は差別思想だ。


「でもやっぱり元気がある方がいいよねー」

「そうね。あ、ところで話は変わるんたけど」


この時俺は嫌な予感がした。

凍堂が鞄の中を探ると


「じゃじゃーん。見てこれ!新しいの買ったのよ!『野菜シリーズ』のニンジンのキャロ子さん筆箱!どう、可愛いでしょ?」


取り出したのはニンジンの形を模した筆箱だった。正面には何とも言えない微妙な顔が描かれている。この顔は『野菜シリーズ』共通の顔だ。


「違うわよ。皆少し違うのよ」


らしい。

因みに凍堂は他にもこの『野菜シリーズ』のグッズを持っている。鞄にもえーと、確かトマトくんとかいうトマトのキーホルダーがついている。

だが殆どは家で使っているらしく、生徒会や一部の親しい人しか知らない。


「凍堂、お前そんなののどこがいいんだ?」

「ひどい、黒木くん!すごく可愛いじゃない」

「そうだよ黒木くん。そんなこと言っちゃ駄目だよ」


何故瑞輝にまで咎められているんだ。


「瑞輝。お前は関係」

「黒木くん女性は大切に」


俺は反論するのを諦めた。この二人にはどう頑張っても勝てねえ。


「俺が悪かった。他人の趣味に口は出すもんじゃねぇしな」

「そうよ黒木くん。だからお詫びを兼ねて一緒にグッズを買いに行きましょう」

「いつだ」

「今日よ」

「今日は無理だ。突然すぎる。あと弟達の飯つくらねえと」


嘘は言ってない。だがこう言い、延期すれば凍堂は忘れる!たがそう思った俺が甘かった。


「じゃあ弟君達も呼んで皆でご飯を食べましょう。奢るわよ」

「えーずるいな黒木くん。僕も行ってもいい?凍堂さん」

「もちろんよ!」

「ちょっと待て!俺は行くだなんて言ってないぞ!」

「えーだってどうせ延期して有耶無耶にしようとしてるでしょう?」

「そ、そんなことはない!それに弟達だって急には無理」

「弟君達大丈夫だって」

「瑞輝!?」


いつの間に連絡していたのだろうか。瑞輝の手には端末がありそこを覗くと弟達からの返信で行きたいという趣旨の内容だった。

俺は溜息しか出なかった。


「黒木くん、溜息なんかついたら幸せが逃げるわよ」

「そうだよ。これから皆で出かけるんだからもっと明るく」


もうこの二人ヤダ……。俺はまた深い溜息を、ついた。


このあと、凍堂『野菜シリーズ』のグッズの買い物に付き合わされた。

俺は何がいいのかわからないが一番下の弟が物凄く喜んでいた。そして凍堂がそれを見て一つグッズを買ってくれた。こういう点では凍堂はしっかりしている。

因みに買ってもらったのはトマトの缶バッジだった。凍堂の鞄についてるのと同じかと思っていたが違うらしい。妹だとかなんとか。確かにリボンがついている。

違いもわからないし、何がいいのかもわからないが弟が嬉しそうなので良しとする。

その後俺達は回転寿司で食事をした。弟達の喜びようといったら、俺も嬉しくなるほどだった。

凍堂には感謝で一杯だ。

寿司を食べ終えるとそれぞれ帰路についた。

明日からまた激動の俺達にとっての最後の学生生活が始まる。

今年の一年は厄介だなと思い、溜息をついた。


〜生徒会の小話〜 終


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