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少年少女の日常  作者: 村本鹿波
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お咎めはなし

「皆の処罰はね……お咎めなし!」

「え」


一年生の声が綺麗に揃った。


「どういうことなんですか凍堂先輩」


海破がそう訊くと


「あのね、実は試合が始まる前に連絡があったのよ、一年生がグラウンドで試合をするって。そしたら黒木くんが一年生の実力を見たいから少しの間放置しておこうって言ったのよ」

「俺は言ってねーぞ。全部凍堂が決めたんだろう!」

「黒木くん嘘は駄目よ」


凍堂先輩は真面目な顔で言ってのけた。それを見て黒木先輩は諦めたように溜息を吐いた。それをうけて凍堂先輩が満足げな顔をしていた。

目の前のやり取りは非常に楽しいが早く私達がお咎めなしの理由を聞きたい。


「ふぅ、黒木くんが余計な嘘をつくから一年生が怒ったじゃない」

「凍堂!いい加減に」

「黒木くん騒がないの、はしたない」

「…………もう勝手にしろ」

「じゃあ勝手にするわね。ふふっ」

「……はぁー」


少し黒木先輩が可哀想になってきた。


「それじゃあ、お咎めなしの理由について。簡単なことよ。私達もそれを放置したから。事前に止めとおけばいいのを放っておいたから。だからお互いが悪いの。よってお咎めなし。わかった?」


十分に分かりました。

凍堂先輩から理由を聞き満足したのか、海破が


「では、もう帰っていいですか?」

「ええ、いいわよ。でも細原さんだけ残ってもらっていいかしら?」


私だけ何なんだろう。


「はい。いいですよ」

「じゃあ他の人達は帰ってもいいわよ」


そして絵本姉弟が去っていった。

だが海破は


「俺も残っていいですか?」

「いや、お前は帰れ。お前には関係ないことだ」


ぴしゃりと黒木先輩が言うと名残惜しそうに生徒会室から去っていった。





生徒会室には私と凍堂先輩、黒木先輩、橘先輩だけが残っている。当たり前だが。何か話したほうがいいのかと考えていると


「ありがとうね。あなたが事前に連絡してくれたおかげで一年生の実力がわかったわ」


と凍堂先輩が言ってきた。

ああ、そのことか。

実を言うと連絡をしたのは私だ。グラウンドに行く直前


「友達と約束をしているから連絡してもいい?」


と言って契に連絡をするため一旦一組の教室を離れた。そして契に連絡をしてふと気づいた。グラウンドで戦闘をするのは問題ではないかと、いや普通に考えて問題だよな。そう思ったので生徒会にメールをしたのだ。


「あの、それで何か話があるのですか?」

「ええ、薄々感づいていると思うけど。あなたの魔法についてよ」

「あなたの『回復ヒール』は簡単にはひとに教えないほうがいいわ。いらない出来事を招くことがあるかもしれないわ」


それは重々分かっている。その上でこの魔法を貫いているのだ。


「はい、分かっています」

「そう、分かっているならいいわ。ごめんなさいね他の人より長く留めてしまって」

「いえ、大丈夫です」


そうして私は立つ上がりそのまま生徒会室から去った。






「俺も残っていいですか?」


俺は反射的にそう言ってた。

普通に考えて細原だけ残るのはおかしい。それに少しだけ恐い。

細原の魔法は嫌われている。たぶんそれに関することだから、少し恐かった。だが


「いや、お前は帰れ。お前には関係ないことだ」


ぴしゃりと言われてしまい、仕方なしに生徒会室を去った。



生徒会室を出た後玄関に向かった。

玄関に小柄な少年がいた。知らない奴だったので通り過ぎようとしたところ


「あ、あの海破さんですよね」

「そうだけど、何?」


いったい何だ。俺は苛立った。知らない奴から声をかけられその上目の前の少年は漆黒の髪を目が隠れるほど伸ばしており表情が読み取れない。そのことがさらに俺を苛立たせた。


「あの、僕同じ一組の霧影きりかげ八雲やくもです。そのお、細原さんはどこに?」


その言葉と発した時の態度で分かった。

細原に惚れていると。でも

だからどうした。

それに高校生で恋をしてどうするのだろうか。俺達の最たる義務は魔物の討伐だ。破壊だ。それに性交をすれば固有魔物が失われる。中には飛行と地力で戦う奴がいるがそれは一握りだけだ。だから俺達は恋などしてられない。


「細原はまだ生徒会室だ。それと忠告しておく、恋は諦めろ。断られるのが目に見えている」

「な、何で海破さんにそんなこと言われないと行けないんですか!恋は自由です!」

「自由なのは確かだ。だが相手のことをよく知りもせずに抱くものは相手にとって心地いいものか?俺はそうは思わない」

「で、でも……」


反駁はないようだな。

だが俺とて恋を否定したい訳ではない。ただ望みがないだけだ。細原の魔法を知れば大抵の奴は細原から離れていく、理解し難いが、事実である。それでも構わないのなら否定はしない。


「取り敢えず、細原と接点を持つようにしたらどうだ。そうしてお互いがお互いを知るところから始めるべきだ」


そう言うと霧影は顔を上げて


「わ、分かりました!僕頑張ります!これからよろしくお願いします、海破さん!では、さようなら!」


霧影はそう言い残して去っていった。

ちょっと待て、さっきの言葉から推測すると俺はあいつから恋愛相談を持ちかけられるのか?面倒くさい。

溜息を吐き、俺は帰路についた。







眠い中あげたので間違いがある気がする……

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