結果と生徒会三年生
感想、指摘ありがとうございます!
ここのところ忙しいので更新が遅くなっていくと思います。申し訳ありません。
「はじめ!」
私は一気に駆け出した。だが、双子の反応もはやかった。掛け声などなく、弟が姉のパレットの絵の具を使い、地面を一撫でした。するとその部分のみ緑色になった。そしてそこから植物が現れ私と双子の間に壁を作ってしまった。急停止せざるを得なかった。
だが、止まっている暇などなかった。
植物の壁を突き抜け火が吹いてきた。それをぎりぎりで躱す。いやー危ない危ない。服が焦げるとこだった。いやでも、魔法繊維で出来ているから焦げたりしないのかな。……こんなこと考えている場合じゃない。
火のおかげか植物が全て燃え消え双子の弟が姿を現した。片手には雷を纏った剣、もう片方の手には炎を纏った剣を持っていた。
姉の方は見当たらない。一応訊いてみるか。
「お姉さんは?」
「隠れてるよ。大丈夫。僕が機器に陥ない限り手は出してこないから」
じゃあ目の前の奴に専念しても大丈夫だな。
「どこからでもいいよ」
ではお言葉に甘えるとしようか。
腰を低くし間合いを埋める。刀は鞘に入ったまま二刀流を相手取る。
きん、きんきんきん
戦いが進まない。やはり二刀流はきつい。決め手が見つからない。だがずっと競り合っていても仕方がないので、何度も弟と距離を取っていた。
「どうしたのー。はやく攻めてきてよ。つまんないからさ」
挑発してきた。今回はその挑発に乗ることにした。
鞘から刀を抜く。右手に刀、左手に鞘。これで私も二刀流だ。
ふぅ、そろそろ調子を上げようか。相手の力量は十分に分かった。このところ魔物ばかりと戦っていたから加減がわからなかった。間違えて殺すなんてことしたくはなかったから。
そして私は先程よりも低い姿勢で相手に向かって行く。そして、ぎんっっ。相手の剣を二つ同時にはね上げた。そのまま鞘で相手に叩き込もうとした。だが殺気を感じその場から飛び退いた。それと同時に、たーん。と音がし私がいた場所に毒の池が出来ていた。見上げると双子の姉がいた。
その背には翼がついていた。弟が具現化した物だろう。そして髪の毛が紫色になっていた。
これで彼女の魔法が分かった。魔法は『色操』だ。髪に色を塗ることでその色に応じた能力が使えるようになる。使える色は人によって違うので、他に何色があるのか判断は出来ない。取り敢えず今は紫、それで毒を生み出せるといったところか。
それにしてもやっかいだな。魔力で飛んでいる訳ではないから弟をたおさないと姉は降りてこない。先に姉を倒せばいいかもしれないが飛ぶのがめんどくさい。やはり弟を倒すしかないのか。
「ねえ細原さん。もしかして手ぇ抜いてた?」
私は首を横に振った。
「ふーん、ま、いいか。次で決めるよ」
そして弟は剣を持ち直す。
私達は静かに睨み合う。そして駆け出そうとした、だができなかった。体が重い。足が地面に縫い付けられているみたいだ。体がどこも動かない。弟の方もどうかと見ると動けないみたいだ。
姉の方はどうかとなんとかして首を上に目を向けると、ひゅーと私に向かって落ちてきていた。
確かイカロスは太陽に近付き過ぎてってこんな事考えている場合じゃない。避けなきゃいけないし、助けなければ。だがどちらも出来ない。
何か妙案はないかと考えるが出てこない。もう駄目だと思っていると、横から誰かが走ってきて空から落ちてくる絵本さんを空中で横抱きにして助けそのまま地面に着地した。
その人物は入学式で魔物を倒した黒木先輩だった。
そして私達の方を見て
「お前ら何やってんだ!私闘は校則違反じゃないが事前に学校側の許可を取らずにグラウンドを使用している。ちっ部活がないことが災いとなったか。お前らを今すぐ生徒会室に連れていく!覚悟しとけよ。それと怪我してるようだったら言えよ。怪我は放置して置くと大変だからな」
誰も何も言えなかった。それにしても見た目が完全に不良なので怖い人かと思ったが優しい人みたいだ。
気付くと体が動くようになっていた。
そして私達は生徒会室に向かった。道中誰も喋らない。
黒木先輩が重厚そうな扉の前で立ち止まる。
「ここが生徒会室だ」
黒木先輩はそう言い私達を生徒会室に招いた。
「で、今回の騒動の発端は何なのかしら」
と訊いてきたのは生徒会長である。今私達は生徒会長の向かいに座らされている。さらに両サイドのソファの右側には黒木先輩、反対には知らない人が座っている。
生徒会長の質問にはなんと答えればいいのだろうか、状況から考えると男の取り合い?いやいや海破を取り合う気なんてさらさらない。
どう答えようか悩んでいると
「今回の騒動の発端は俺です」
海破が答えた。
「あなたの名前は?」
「海破咬です」
「海破…咬、そうあなたが『破壊』ね。ほかの三人の名前も教えてちょうだい」
そう言われ
「俺は…絵本月冴で…す」
戦っている時の威勢はどこかに置いて来てしまったかのような弱々しい言い方だ。
「私は絵本月紗です。そこの絵本月冴とは双子です。名前が同じなので私は絵本、弟は月冴と呼んでください」
先輩を目の前に堂々とした体で言い切った。素直に感心してしまった。そうなると残るは私か
「私は細原包月です」
私達か自己紹介を終えると
「一組の絵本姉弟、海破君に四組の細原ちゃんね」
驚いた。いやなに、ちゃん呼びに驚いた訳ではない。私達は一度も何組だとかは言ってない。
他の三人も同様に驚いでいる。
「凍堂さん、一年生が驚いているからちゃんと説明してね」
名前の知らない先輩がそう言うと
「わかったわ。じゃ黒木くんお願いね」
「何で俺に回す!」
「何となく。よろしくね」
ところころ笑いながら言うので黒木先輩はため息をついた。
「じゃ説明するぞ。一回しか言わねえからよく聞けよ」
私達は姿勢を正した。
「今日配布された端末にはGPS機能がついている」
「その位置情報は今生徒会長が座っている机のパソコンあと職員室の特定のパソコンに送られている。あと位置情報が送られて来るのは学校内と学校が所有している敷地内だけだ」
なるほど。でもこれでは疑問の解決には至らない。
「でもこれではお前らの疑問の答えになっていだろ?」
黒木先輩が見透かした様ににやりと笑う。
「まあ、大した事じゃないぜ。送られてくるのは名前と学年と組、あとそいつの魔法が送られてくる。そういう訳でお前らの名前や学年、組は知ってた訳だ。そこの生徒会長は」
そう言われ凍堂先輩は
「ふふっ。皆の反応面白かったわよ」
笑いながら言った。
不思議と苛立ち等はなかった。凍堂先輩の独特な雰囲気のせいだろうか。
それにしても凍堂先輩の雰囲気が入学式と全然違い吃驚している。
それよりも私達は怒られに来たのではないのか、今のここの雰囲気は怒るといったものではない。
だが私の考えが甘かった。
「じゃあ今回のことに対する処罰なんだけど」
私達の顔が引き締まった。どんな処罰が下るのだろうかと戦々恐々としていると
「あ、僕の名前は橘瑞輝ね。一応書記をやっているよ。あと黒木くん、黒木くんは副会長。あと僕達は皆三年生でね、あとね」
「瑞輝」
「どうしたの?黒木くん」
「処罰」
「ああごめんね」
さっきまでの張りつめた雰囲気は橘先輩によってぶち壊された。
「皆の処罰はね……」