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少年少女の日常  作者: 村本鹿波
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1ー1での出会い

細原と別れた後、1組の教室に着くと一人だけ生徒がいた。

生徒玄関には生徒が沢山いたが、教室に来る必要がないからほとんど外で駄弁っているのだろう。


自分の席と思しき席で惚けていると


「よっしゃー!俺が一番のりー!」


と凄い勢いで生徒がやって来た。赤い髪が目に付く。


「あれ?すでに人がいるし。ちぇ、せっかく早く来たのによ」


なんと言うか独り言がでかい。

俺の席は入口から遠い。なのにここまではっきり聞こえてくる。

取り敢えず目を合わせないようにしよう。

関わると面倒だ。関わりたくない。

だが、その思いは叶わなかった。

赤髪の少年がこっちに近づいて来た。

なんでこっちに来るんだ。それも満面の笑みで。


「なあなあ。お前『破壊デストロイ』だろ?」


相手にするのは少々嫌だったが


「ああ。それが?」

「本当に本物なんだなー。純粋な破壊魔法。いいなー俺もそれが良かったー。俺の魔法いろいろとめんどーだからさー。なー、魔法見せてくんね?」


なんなんだこいつは。

初対面だというのに馴れ馴れしい。

こんな奴と一年も一緒のクラスだと思うと気が滅入ってきた。

魔法を見せてやろうかと思った。

目の前の奴を破壊して。

などと、やる訳でもない、至極どうでもいい事を考えていると

たたたたたたたたたっ

と足音が聞こえてきて


月冴つかさー!いい加減礼儀というものを覚えなさい!」

「げ、月紗つかさ


目の前に二人の“つかさ”が現れた。

今怒声を上げて入ってきたのは、灰色のツインテールの少女だ。


「あんた、初対面の人になに、無礼なことをしてるのよ」

「なんで見てないのにそんなことを言えるんだよ!」

「状況と経験」


そう少女が言うと少年は押し黙った。

思い当たる節があるのだろう。


「はあー。今まで散々言ってきたわよね。失礼のないようにと、口を酸っぱくして!」

「だ、だけどよお」

「だけどじゃない」


さっきまでの勢いはどうしたと、問いたくなるほど少年はしょげていた。

その様子をまじまじと見ていると


「ああ、ごめんなさい。先にあなたに謝らなければならないのに。私は絵本月紗えのもとつかさ絵本えほんと書いてえのもと、夜に浮かぶ月に、少ないに糸へんでつかさよ。同じ1組よ。よろしくね。そしてこっちが私の双子の弟。自己紹介は自分でしなさいよ。それと謝罪も」

絵本月冴えのもとつかさ。満月の月と、にすい、さんずいの点が一つないものに牙でつかさ。さっきはすみませんでした。」

「ああ、もういいよ。それにしても同じ名前なんだな。漢字が違うだけで」

「このことに関しては気にしないで。私達の両親少し変わっているのよ」

「あ、ああ」


少しではなく、かなり、だと思うが。

なんて声に出すわけにはいかなくて、思うだけに留めておいた。


「そういえば月紗。お前友達はどうした?一緒にいたんじゃないのか?」

「あんたがまた人様に粗相をしでかすんじゃないかと思ってこっちに来たのよ」

「友達は大事にした方がいいと思うぞ」

「あんたのせいよ!」


二人のやり取りを見て思わず


「仲いいな」

「良くないわ!」

「良くねえよ!」


二人揃って返事をしたので


「やっぱ仲いいじゃねえか」


二人は否定出来ないのかお互い顔を見合わせた。

多分こういったやり取りは日常茶飯事、いつものことなのだろう。


「あ、そういえば名前聞いてなかったな、名前なんて言うの?」

「知っているんじゃないのか?」


俺の魔法知っていたし


「知っているのはあなたの魔法と外見だけよ」

「ほら、魔物討伐の様子ってたまに中継されるじゃん。だから外見と魔法は知っているんだよねー」

「でもそれ以外で知っているのは中学生と所属中学だけ」

「でもすげーよな。中学生で戦っていただなんて」

「普通は高校生からなのに」


二人の話を聞いて、そういえば魔物と戦っている時カメラみたいなのがあったなあ、と、のんびりと思っていた。


「でも、あの学園なら…」


その続きはまた別の機会で誰かが話してくれそうなので無視。

それに月冴が良いタイミングで


「だから、名前を教えてくれ!」


その言葉を聞いて姉も


「これから友達になるのだからね」


と言ってきたので


「海破咬だ。海を破るでかいば。交わるに口偏でこうだ。咬でいい」

「ではよろしくね、咬。私は絵本と呼んでちょうだい」

「よろしくな、咬!俺は月冴って呼べよ。じゃないと区別がつかいないからな!」


確かにと思い


「よろしくな、月冴、絵本」


絵本は笑い、月冴は肩を組んできた。

……ちょっとうざい。





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