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少年少女の日常  作者: 村本鹿波
14/26

本当の魔法

細原ちゃんの本当の魔法がやっと出ます!

今まで回答下さった方ありがとうございました!

昼休みの騒動から教室に戻った。

午後の授業も滞りなく進んだ。

放課後、部活動見学が今日から始まる。


「契、行こう」


約束通り契と部活動見学することにした。

春人と縁は既に見学先を決めているとのことで別行動だ。

ということで現在契と二人で剣道部に来ている。

剣道部は剣道に加え剣術も教えているということなので私にぴったりだ。

体験しようかと思ったが見ているだけにした。契

は実際にやってみるとのことだ。

練習風景を眺めていると見たことがある人がいた。あれは黒木先輩と橘先輩かな。二人とも剣道部だったのか。

黒木先輩が剣道で橘先輩が剣術を教えている。


それから部活動体験が終わるのを待っていた。

終わると契が爽やかな笑顔でこちらにやってきた。


「体験どうだった?」

「結構良かったよ。包月は見てただけだったけど大丈夫?」

「うん。案外外から見た方が分かることも多いから」

「ふーん、そっかあ。じゃあ今日はもう帰る?」

「そうしようかなと」

「じゃあ私も一緒に帰るわ」


契と一緒に帰ることになったが契には取り敢えず汗の処理をしてもらおう。正直


「汗臭い」

「まじで!」

「シャワー室があるから一旦汗流して来て」

「あーい」


そして契がシャワー室からさっぱりした様子で戻ってきた。


「じゃ帰ろ包月」


二人でのんびりと歩きながら帰った。その道中。


「ねえ、包月の魔法って本当に『回復』なの?」

「どうしてそう思うの?」

「あたしの身内でよく嘘をつく人がいるの。その人の様子と少し似てたから」


大した観察眼だ。でも素直に教えるわけにもいかない。


「で、本当のところは」

「どっちだと思う?」

「嘘」


少しの迷いもなく言い放った。感心してしまうほどだ。


「そうだよ。嘘だよ」


だから素直にいった。


「『破壊』は知ってる?」

「ううん。知らない」

「知っているのは今のところ何人?」

「契を含めて二人。もう一人は私の保護者」

「どうして嫌われるような嘘を」

「実際の魔法とそこまでの違いはないから」

「他の人に言うつもりは?」

「ない」

「どうして」

「十年前そう決めたから」

「本当の魔法教えてもらってもいい?」

「ここまで言ったら言うしかない」

「ありがとう」


お互い立ち止まる。

何故私は言う気になったのだろうか。成り行きとはいえ突っぱねればいいだけなのに。でも契には言ってもいい気がした。そうだ春人と縁にも教えよう。昨日会ったばかりだが三人は私にとって既に大事な位置にいる。

私は微笑み契を見た。

こんなに穏やかに笑うのは久しぶりだ。そもそも最後に笑ったのはいつだったけ?

笑った私を見て契は驚いた顔をした。


「私の魔法は『細胞支配セルレイン』」

「セル……レイン。セルは細胞?レインは?」

「レインは支配とかそういう意味」

「じゃ細胞を操るんだね。だから怪我を治せるってわけね」

「そう。そして私はこの魔法が好きじゃない」

「理由は訊いても」


私は黙ってかぶりを振った。


「わかった。春人と縁には?」

「言うつもり」

「そう。でもすぐには言わない方がいいかも」

「どうして?」

「あの二人は私と違って素直だから」

「自分は素直じゃないみたいな言い方」

「事実そうだから。学校と雰囲気違うでしょ」


その問には答えなかった。


「じゃあまだまだ二人には言わないよ」

「まあ言っても大丈夫だと思うけど」

「どっちだよ」

「秘密はみだりに他人に教えない方がいいってことだけ」

「じゃあ今までのは」

「ほぼ戯言」

「……話半分に聞いといて良かったよ」


私達は静かに笑いあった。そしてまた歩き出す。

別れ道にきた。


「じゃ、あたしはこっちだから」

「ここでさよならだね」


黙って見つめ合う。


「じゃーね。包月!」


学校でのいつもの契に戻り帰っていった。


「じゃあね」






家につき、“家族”に声をかける。


「ただいまーてん


そう呼びかけると家の奥から一匹の魔物が出てきた。見た目は天馬ペガサスの子供といった感じだ。凄くかわいい。

魔物の中には人を襲わないのもいる。ペットとして飼うこともある。

天は私が小学五年生の時に出会ったのだ。詳しくはおいおい。


「きゅるー」

「はいはい。夜散歩に行こうね」

「きゅる!」


どうしよう天が凄くかわいい。

取り敢えず夜まで時間はあるしご飯を食べて少し仮眠をとろう。



月が美しく輝く夜。

天と戸外に出て魔法で天の姿を元に戻す。

私の魔法は細胞を操る、つまり生き物を若返らせたり逆に老いらせることも出来る。

天と暮らすにあたって元のままでは無理だった。

何せ大きさが私の倍以上あるからだ。

だが散歩の際は元の、大人に戻す。見る見る内に天の体が大きくなる。筋肉も付き、人が二、三人乗れる程の大きい天馬になった。それと天馬ということもあって立派な翼もある。

白い毛に凛々しい目、かっこいい。


「じゃ、散歩に行こうか」


ひょい、と天にまたがる。


「ゴー!」


ばさあ、と天が空を翔ける。冷たい夜風が気持ちいい。

下を見れば家の明かりがぽつぽつと見える。

どんどん、どんどん明かりが小さくなっていく。

今私達が向かっているのは『原初の日』以降世界各地に現れた島だ。その島には本土より強い魔物がいる。ごく稀に人のいる本土に海を渡ってやってくる。厄介なことだ。

そんな強い魔物がいるので人がいるはずもなく散歩にはうってつけである。


「天降りて」


島に降り立つ。天から下りて辺りを見渡すとちらほらと魔物がいた。


「天、遊んできていいよ」

「ありがとうございます。マスター」


心地いい美声だけがその場に残り天は駆けていった。

魔物の中には喋れるものもいる。知能が高いのに限るが。知能がある魔物は大抵人を襲うことは無いが、知能がある魔物が敵に回ったらとてつもなく厄介である。

その理由は言わずもがな。

知性というのは人の最大のアドバンテージだったものだ。だが魔物ももっていることでこのアドバンテージは消えてしまった。

人に勝機はあるだろうか。

だが人類にとっての勝ちとは何だ、負けとは何だ。

あの戦いから十年。

私の大きな転機となったあの戦いの勝者はどちらだったのだろう。魔物を退けたのだから勝ち?魔物を殺しきれなかったから負け?分からない。

私は勝ち負けというより魔物を破壊することを念頭に置いている。『細胞支配』は破壊出来ない。殺す事はできるくせに。中途半端。だから好きじゃない。嫌いだ。

だから私は魔法を偽った。

私にとっての勝ちは多分破壊だろう。それが人の勝ちになるなら幸いだ。


「………………」


暇だ。

勝ちだの負けだの考えていたがただ単に暇つぶしにしか過ぎない。

暇だ、暇すぎる。

私も魔物狩りでもして遊ぼうかなと考えていると目の前に兎が現れた。

瞳が青いので魔力によって変異したものだろう。確か兎の肉って美味しかったはず。

ちらっと兎を見る。

あの白い毛の下に豊潤な肉が眠っているのかと思うと涎が口内の中に溢れてきた。

よし、食べようと思ったと同時に兎が駆け出した。きっと危険を察知したのだろう。

足速いなあと思いつつ兎を追いかけ始めた。やっぱり変異したものは身体能力が上がるなあと感心しながら兎に迫った。



細原包月ができるまで


最初に細胞を操る能力を思いついた。そしてそこから名前決め。包月はすぐ決まったが苗字が最初糸田にしようかと思ったが包月と合わなかったので細をそのまま使い原をくっつけ細原包月の出来上がり!

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