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少年少女の日常  作者: 村本鹿波
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世界の始まり

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  少年と少女は破壊する


 時は2500年、ある日を境に世界は一変した


 2200年、科学技術の発達は凄まじいものだった。世界のありとあらゆる問題が解決した。

 平和という言葉そのものだった。

 だが、日本時刻2201年1月1日午前零時二十三世紀が始まった瞬間、凄まじい揺れが人々を襲った。

 その揺れを感じたのは人のみ。

 機械などは記録しておらず、建物の崩壊なども皆無だった。

 だがその日以降に生まれた者には不思議な力が宿っていた。

 科学者は躍起になってその力を解明しようとした。だが既存の力のどれにも当てはまらなかった。

 故に、摩訶不思議なる方法、『魔法』と名づけられた。

 それから人々は魔法の解明に心血を費やした。その結果いくつか判明したことがあった。

 まず、例の1月1日、後に『原初の日』と呼ばれる日、この日以降に生まれた者は空を飛び各々が持つ一つの固有魔法を持っていた。だが固有魔法は大人になると失われた。

 大人になるすなわち性交することで固有魔法を失うのだ。

 その他には、植物や他の生物、空気中にも微量の魔力があるのもわかった。

 魔力はすぐさま科学技術と融合した。

 人類は半永久的なエネルギーを手に入れた。


 だが、1月1日に誕生したのは魔法、魔力だけではなかった。

 『原初の日』より半年後、人のいない南極、北極で未確認生物が発見された。

 その生物は人間と同等もしくはそれ以上の魔力を保持していた。

 それゆえ『魔物』となった。

 それから時は流れた。

 魔法は世界に完全に定着し、そして魔物もそれに呼応するかのように世界各地に現れ始め

 人と魔物の攻防が始まった。



 眼前には少年少女、中には成人した者もいたが大半は少年少女と魔物が入り乱れていた。

 少年少女はあらん限りの魔法で破壊のかぎりを尽くす。

 魔物も火や毒を吐き、巨大な爪、歯で人を破壊する。

 その様子は筆舌に尽くしがたい光景だった。

 人と魔物の痛みに泣け叫ぶ声、悲しみに泣き叫ぶ声、狂気に満ちた笑い声が木霊し、地面は鮮やかな赤色もあれば、赤黒い色もある。

 そんな地獄絵図に魅せられている女の子がいた。

 自分より十ぐらい年上の少年少女が魔法で魔物を破壊していく光景に見惚れている。





  2509年4月24日国立東京魔法高等学校の入学式当日である。

 国立の魔法高校は東京を含め全国に6つしかない。北から順に北海道、新潟、東京、京都、高知、福岡である。

  16になると国立もしくは私立の高等学校に入らばければならない。これは義務だ。高校生になると否が応でも魔物と戦う。

  小中学校でも戦闘訓練はあるが、本格的なものをやるのは一部のみで、ほとんどの生徒が戦闘は素人とうぜんである。故に高校も義務となったのだ。

 その反面義務ではあるが、高校は自由に選択ができる。入試試験は特にないのだが1校だけ入試試験が存在している。

  東京魔法高等学校だ。一番の人気を誇るため試験が必要となったのだ。そして今日新たな少年少女が入学する。




  目の前の鏡には東京魔法高等学校の制服を身にまとった少女が映っている。

  萌黄色の髪をおさげに縛っていて、それは胸元まである。身長は158センチ、体格は平均的なものだ。

  制服は黒のセーラー服で襟と袖に白のラインが入っている。スカーフは赤である。

 そして少女の名は細原包月さいばらほうづきという。



  私は目の前の鏡で自身の体に不具合がないか確認をする。寝癖などあったらたまったもんではない。

 そうして確認し終えると必要最低限の荷物を持ち玄関に向かう。

 玄関を出ると幼なじみの海破咬かいばこうがいた。


「おはよう海破」

「おはよう。忘れ物はないか?」

「大丈夫、持ち物ほとんどないし」

「わかった。じゃあ、行くか」


  私達は軽い挨拶を交わし、学校に向けて歩き出した。

 海破とはかれこれ10年、6歳からのつきあいだ。身長は175センチ長めの黒髪を後ろで括ってある。見目は見てて苦にはならないからいい方ではないかと思う。


「細原は戦闘科と研究科、どっちだ?」


  海破が道中そんなことを聞いてきた。


「一応戦闘科」


  戦闘科、研究科とは高等学校からある二つの学科だ。

  それぞれの授業内容は文字どうり。説明いらずだ。

  東京魔法高等学校では一学年6クラスであり、1から6の数字で組わけがしてある。

  研究科は毎年少ないので5、6組が研究科となっているはずだ。確かパンフレットにそう書いてあったはずだ。

  海破は私の返事に顔を曇らせた。


「大丈夫なのか? 多分俺達は違う組になると思う。何かあったら何時でも相談していいからな」


  時たま思うのだが、海破は少しばかり過保護でうざい。だが海破はそういう奴だ。


「ありがとう、海破」


 暫く歩いていると


「あ、見えてきたぞ」


  十メートルほど先に東京魔法高等学校の校舎が見えてきた。



  校門に着くと生徒がまばらにいるのが見て取れた。


「クラス分けの表は生徒玄関に貼ってあるんだよね。取り敢えずそこまで行こう」


  クラス分けの表を見ると海破は1組、私は4組となっていた。予想どうりだ。なにせ組分けは実力順となっている。

 入試は実技テストもあり、その結果と、当人の魔法と魔力量で決められている。

  海破は実力もさることながら固有魔法も特別だ。1組になるのは当然だ。

  一方私は、戦闘は海破にも劣らない、というよりも私の方が上だ。だが私の固有魔法も海破とは違った意味で特別だ。

  だからこの結果に驚く事は無い。だが海破は


「やっぱりか」

「どうした海破。こんな事わかりきっていた事じゃない」

「それは、そうだが」


  海破の態度は煮えきらないものだった。


「まーまー、取り敢えず入学式まで時間はある。教室にもこの様子だと人は少ないみたいだからそこで陰鬱な空気を吐き出して」


 そう私が言うと少しの間の後


「わかった」


 と返事が返ってきた。



  1年生の教室は4階にある。1階は職員室、生徒会室、資料室など、2階は3年生の、3階は2年生の教室なっている。クラスは校門から見て右から順に1組、2組となっている。

  階段は校舎の中央に一つとなっている。みんな飛べるので階段の必要性を感じないかもしれないが、人によって飛行に使う魔力の量に差が出てき頻繁に皆が飛べる訳ではないのだ。

  まあ、私たちには関係ないが階段があると上ってしまう。なので私たちは階段を上っている。そして4階まで来ると


「じゃ、私こっちだから、帰りに関してはまた後で連絡する」

「わかった。気をつけろよ」

「わかった」


 そうして私達は別れた。


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